8. 九星と空亡 

 暦を見れば自分が産まれた年の星が一白か九紫かなどとすぐわかる。

 九星では自分の星が東に出たときが力を発揮できる良い時期だと言われている。とはいっても何の計画もなく準備をせず、とにかくやってみようと新しいことを始めてもうまくいかない。特に空亡の時は東に出ていても力不足で失敗することが多い。

 そういう人の失敗談を聞くと、いいかげんに甘い考えで生きているなあと思ってしまう。人間社会は弱肉強食だ。周到に策を練り、根回しも大事、つまりは看板、地盤、そして資金も蓄えておかなければいけない。借金して新期事を始めたいという人には反対している。

 この人は運送関連の経験があり、独立して運送業を始めようとしたのだが、そのための車の購入や種々の手続きなどは考えていなかった。自分で切り拓くならいいけれど、大手の処から仕事を回してもらうには保証金が必要だったり、規約があったりする。仕事もきつく、留守宅へ夜遅く再配達したりして躰をこわし、結局は借金が増えて自己破産したという。新しい仕事は充分考え、検討してから始めたい。下手をすると高い授業料を払うことになりかねない。

 空亡は天中殺とか大殺界と言われている。また、土星人は戌亥空亡とか火星人は午末空亡などと知っている人も増えている。

 つまり十干(甲乙丙丁戊己庚辛壬癸)と十二支(子丑…戌亥)では二支が残ってしまう。六十歳を還暦と言うように、甲子から。癸亥まで六十の干支があり、そのいずれかの日に生まれてくるのだが、十二年のうち必ず二年間は空亡の年がやって来るのだ。

 その時期は力が失われたり判断力が鈍ったりするし、病気になる人や亡くなる人もいる。ちょうど月火…土と働き、日曜を休日とするように、空亡の時は休息と充電の時なのだ。ゆっくり休んで次の飛躍に備える時期ともいえる。人間は十年活動したら二年間はゆっくりする。運気の弱いときに無理は禁物。現実に倒産や詐欺に遭ったりして低迷状態に陥る人たちがいる。病気にも注意したい。

 反対に、大いに活躍せよという良い時期にぽかんとしていてはせっかくのチャンスも逃げてしまう。充電して蓄えておいた力を大いに発揮して活動しよう。

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