旅行の感想文(課題、もしくは仮題のダブルミーニングと見せかけた過大表現)

草村 悠真

感想文(1200文字)

 歓送迎会にスピーチが必要なように、今回の旅行には感想文が付きものらしい。歓送迎会をしてくれるのは嬉しいけれど、スピーチがあるとどうにも楽しめない(あるいは、スピーチを終えた後は精神的に解放されて、より楽しめるという意図があるのかもしれないが、それは深読みしすぎかな)。もっと身近なところで言うと、焼き魚に骨が入ってなければいいのにとか、スイカに種がなければいいのにとか、そういう気持ちに近い。

 さて、本分を忘れてはいけない(この場合、本文と書いた方が正確か。これだから日本語は楽しい。グローバル化が謳われすぎなぐらい謳われている昨今、そちらに力を入れすぎて日本語が疎かになってはいないだろうか。あらゆる感情を「ヤバい」の一言で表現したり(まあ、それはそれで感情表現が豊かになったと評価してもいいのかもしれない)、やりすぎて意味が正確に伝わらない略語とか(これはメールなどの、口ではなく文字でコミュニケーションを取ることが増えた現代人には仕方のないことではあるけれど)。なんて、突然社会に警鐘を促してみたりした(警鐘って、どんな音だろう。個人的には消防車のサイレンをイメージしている(実際、パトカーや救急車と違って、消防車のサイレンには鐘を鳴らすような音が入っている。きっと、昔は本当に鐘を鳴らして火事を知らせていて、その名残として残っているのだろう(おっと、本文を忘れてはいけないなんて言いつつ、大幅に話題が逸れてしまった。気がつけば四重括弧の中だ))))。よし、抜け出せた。他人が組んだエクセルをいじっていると、煩雑な数式に出会って、いったいこの数式の括弧はどこからどこを囲っているのかと悩まされることがあるけれど、まさか感想文でそれと同じことが起こるとは、驚きである。貴重な体験だった(今回の旅行よりも貴重な体験だった、なんて言うと怒られそうだ)。

 話は飛び飛び、時間も飛び飛びする。バスでの移動や、施設の見学は置いといて、宿での夜のこと。今思い出しても笑みが漏れてしまう。本当に楽しかった。施設の見学について全く触れない感想文はいかがなものかと、自分でも思うけれど、感想文という文字からして、感じて想ったことを文にすればそれが感想文なのだから、ぱっと頭に浮かんだ思い出を書くことを誰が止められようか(もちろん、誰にも止められない。なぜなら、これを書いている時点では、自分しかこれを読んでいないからだ)。

 さっきから括弧を多用しているが、もう面倒になって括弧内を読み飛ばされていることだろう。どうせ関係ないことしか書いていないのだからと。これで変なことを書いても括弧に囲んでおける。ほら(女風呂を覗きました)こんな風に。ところで、この感想文には約1000文字という制限がある。中学校の国語の先生が、約何文字というときは、その0.8~1.2割と言っていたことをよく覚えている

 とにかくこれで1200文字だ。

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旅行の感想文(課題、もしくは仮題のダブルミーニングと見せかけた過大表現) 草村 悠真 @yuma_kusamura

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