戦国マニアとファンタジーオタクの異世界冒険譚
淡海乃海
第一章 不思議な飴編
プロローグ
人間は死んだらどこへ行くんだろう?
誰もが一度は考えたことがあるんじゃないだろうか。死んだ後、人間の魂ってやつはどうなるのか。
そもそも魂なんてものが存在するのかどうかすら実証された訳ではないのだが、どういう訳か多くの人間は自分たちには魂というものが宿っていると信じている。
けど、それは生きている人間に限ってのことだ。死んだ人間には魂は宿らないと言われているが、じゃあ仮に魂なんてものが実在するとして、人が死んだ後、魂はどうなってしまうのか?
仏教国家の日本では、前任は極楽浄土へ、悪人は地獄へ行くとされている。海外の他の宗教に目を向けてみてもだいたい同じだ。
死した者の内、善良な人間の魂は天国に招かれ、悪逆な人間の魂は地獄へ落とされる――そういう考えが多数派を占めている。だが何事にも少数派、例外は存在する。
中には、死んだ人間の魂は他の生物に生まれ変わるのだ、という考えも存在する。所謂。前世論というやつだ。人間も、動物も、植物も、昆虫も、皆、魂が存在し、死ぬと魂は肉体から解放され、別の生物へと生まれ変わる。そうして生と死の輪廻と魂の循環を繰り返すことで世界は成り立っているという説らしい。
けどその説だと、地球上から生物が死滅した場合はどうなる?
終末論。生命の絶滅。フィクションの映画や小説なんかで幾度となく取り上げられているテーマだが、あながち非現実的とは言えない部分もある。核兵器だの原発だの、人類どころか地球上の全生命を死滅させかねない危険な兵器や器物が世界には溢れてるからな。そうでなくても隕石が降ってきて唐突に地球が滅びる、なんてことも起こりかねない。実際に恐竜はそうして滅びた。
実際、映画みたいに地球人類が絶滅し、地球そのものが生き物の住めない環境になった時、生まれ変われる生き物がいなくなってしまった時、魂はどうなってしまうのか?
まあ、諸説あるが真実なんて誰にも判らない。
オレか? オレは天国とか地獄とかは信じてないけど、あの世ってやつは案外あるんじゃないかって思ってる。いや違うな。正確には「あったらいいな」って思ってるんだ。どうしてかって?
オレが会いたいと思ってる人間は、みんなあの世とやらに行っちまったからさ。
大切な人、全部な。
だから、あの世ってやつが本当に存在してくれていたら、いつか会えるんじゃないかって思うんだ。ああでも、自殺とかはするつもりはない。小さい頃から、自殺だけは絶対にするなって散々言われてたからな。自殺は犯罪だって。だからそんなことしたら、仮に向こうで再会できたとしても「二度と顔を見せるな!」って怒鳴られること必至だ。だから自分で命を絶ったりはしない。
最後の最後まで生き抜いて、天寿を全うした後で堂々と会いに行こうと思ってる。そしたらきっと、笑って出迎えてくれると思うんだ。「よく頑張ったな」って。
ずっとそう思っていた。
だから予想もしてなかった。
人生なにが起こるか判らないっていうけど、本当にその通りだと思う。
オレの人生の中で、あんな「出会い」と「再会」が待ち受けているなんて、オレは本当に予想もしていなかったんだ。
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