VVV0
エリー.ファー
VVV0
もしも、風の中にいて。
君を知ろうとしたら、無理をしてしまうだろう。
ポップコーンの匂いを嗅ぎながら歩き回るはずさ。
随分と自分を知っているようだけど、それだけじゃ生きていけない。
他人の血の色を知っているかい。
何事も経験さ。
いずれ始まる物語には、まだ名前がない。
哀れだと思われても唄い続ける勇気があるかい。
句読点のない物語に文字を突き刺すんだ。
簡単だろう。
何もかも失って。
何もかも見え透いてしまった世界で。
自分の生き方だけは確かだって、とうやったら言えるんだ。
教えてくれよ。
その自信はどこからくるんだい。
何もかも間違えてきたくせに、何を知った気になったんだい。
教えてくれよ。
体と心の間に見えるのは、闇だけだって、そう言いたいだけなんだ。
答えてくれよ。
あぁ、神様。
あぁ、どうか神様。
これが真実だなんて言わないでください。
僕は難しすぎます。
余りにも強烈過ぎるんです。
加熱されてしまいます。
うめき声が、聞こえる。
自分じゃない。
誰かの声。
繊細過ぎるんですよね。
ねぇ、そう言いたいんでしょう。
分かったふりをしておけば、もっと楽に生きられたのに。
知った風に振舞うことだけが不得意なんです。
お願いします。
どうか、お願いします神様。
僕を一人にさせないで下さい。
孤独に埋もれてしまいそうです。
言い訳が余り上手じゃないから。
どうか、お願いします。
繊細さが僕を僕らしくしてくれているのなら、僕は壊れてしまいそうです。
毎日、僕なんです。
昨日も僕だったし、今日も僕で、明日も僕だ。
僕は、僕から離れることができないんです。
心の迷宮の中にいるような気がします。
あぁ、でも。
僕だけじゃないのか。
僕以外の人も同じように悩んでいるのか。
だったら、いいのかもしれない。
凄く高価な紅茶を飲んでいるような感覚さ。
慌ててはいけない。
ゆっくりとしたスネアドラムの音を聞く。
え、違いが分からないだって。
いいんだよ、君はそれでいいんだ。
僕だけが聞き分けられることができるなら、僕は満足さ。
買い物にも行かず、風呂掃除もしない、クリーニング店に行くわけでもない。
一日が潰れていく。
僕のせいかな。
まぁ、僕のせいでもいいかな。
こういうことなんでしょう、神様。
こういう生き方ができるようになるといいねって、そう言いたいんでしょう。
分かってますよ。
逆に、僕はこうも思うんですよ。
生きている間は、生きていこうって。
死ぬのは死んでからでいいかなって。
あはは。
ちょっと質の良い冗談でしょう。
僕もそう思いますよ。
だからね、お願いします。
僕の体を少しだけ健康にしてください。
また、この口に歌声を与えてください。
癌に負けない体を下さい。
まだ、僕はやり残したことがあるんです。
フランスでも、ノルウェーでも、日本でも、ブラジルでも、まだライブをやったことがないんです。
お願いします、神様。
白い光をください。
とびきりの神々しさで私を包んでください。
ビートは浮かんでいて、リリックはもう頭の中で完成しています。
だから、お願いします。
なんでもします。
神様、僕に奇跡を。
僕だけじゃない。
すべての人に奇跡を。
VVV0 エリー.ファー @eri-far-
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