第45話

メニースターズ

第45話 黄金郷編


コツコツと仕事をこなしていく貧乏脱出を目指す者達 今日の依頼は何だろうかと

そんなある日の事だった、いつもの様に屋根の下で集合している各面々 ターンは


「おっし、タローから始めますよ 俺が進行ですって、信じてないでしょ先輩!」

「やっと惣菜パンと紅茶代は稼げるエリカ達であるが あーその後はどうするの」

「メリッサ! ワタクシ達が有利なプロットを仕込みなさい 誰がイエローですか

こんな脂ぎったカレーパン うう、みっともない このカトレアが」ここで涙目~


「む、貴様 今度は思った通りにはいかないからな イケメンを出すべき!」騎士

「ダメ駄目、この中で一番創作に長けてるのシルヴィさんだからマジ 先手来たわ

料理してたら時間をロスするじゃん 私等は別の路線でいくからその辺よろしこ」


小さな依頼を地道に積み重ねながら読み切りの短編を書いていた黄色い屋根の面子

アール王国に出版の権利はない、またもや連盟経由で強引に持ち込みを画策するが


「ふっ シルヴィ先輩の実行力はここから発揮される 実は酒場で予告のビラ配り

今この国には印刷の設備が整ってないけど諸外国はそうじゃない 見てろよ、必ず

いきなり尖った作風は受け入れられないからカトレア嬢をベースに諸国放浪の恋愛

先ずは失恋エンドの短編からよ~♪ ファンを掴んだら続編で長編の流れでいく」


「む、それはこのメリッサの構想だぞ! 横取りするとはけしからんな 貴様達は

苦難の旅路の果てに本当の立役者はこの私という物語なのだ」妄想癖がある模様だ


「ワタクシをネタに稼ごうだなんて厚かましいですわよ! いや、案外いけるかも

この間の山賊討伐 向こうが中抜きしてるのは明らかなのです 交渉の準備中よ」

「売り込むつもりならエリカが連盟の窓口に持ちかけてみるわ、後日に出発よね」

「よっしゃ、ついでに俺の書き殴り集も添付しておきましょうよ やるぞ」タロー


こうしてひそかに小さな野望の序章は始まる まさかの作中内で外伝計画を検討か

だがシルヴィ達が連盟の窓口に出かけている間にメインのストーリーは進んでいく

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                赤屋根のギルド

「えーモカさんからスタート宜しくとか言われても 小説版でしょこれ うーん」

「おかしくない様に繋げておけだって 何時もの流れなんでしょうよ へえ成程、

あー そういえば アノ手紙の出先ってどうなったの」適当な宮廷魔術師だったが

「手紙? 私は知らんな いつ来たのだ(進めろ😡)い、いや待て そうそう先週

そうだ宛名不明とか、悪戯ではないのかね くっ 重圧を感じるが変だな」小夜香


「銀鉱山の件以来 私等もそこそこ知れる様になって来たわけよね 知名度が上昇

そろそろ悪戯の一つぐらいは来てもおかしくないでしょ」空気を読んだコバルト氏

「な? ここでクローバーさんが機転を利かせないと立往生なんだぜ 義理の姉妹

小説だとヤツの替わりに出演してるけどほぼ双子みたいなものなのよ、頼れる存在

実はその手紙悪戯じゃなくて うちの国に戦争でも仕掛ける前触れだったりして」


「戦争ですって 物騒な話は勘弁してくださいよ 肝心の内容はなんて書いてます

改稿を考えているならまだ間に合いますよ」全部を新規にしたら破綻するよロシェ

「私が責任を被れと あーやっぱりな 怪文書かなその線で 確か教団とか言って

盗賊の裏がどうとか 基本はこれでいいでしょうよ、ベースはね」渋顔のアンリだ

「マスターもピジョンですからね諸君 料理重視でも私的にはいいけど 怪しいな

行商ついでに、やたら因縁つけてたもんね 途上国の方が隙はあると見てたのか」



※この物語はフィクションです 実際の世界情勢とは無関係なのでご了承ください

アール王国のギルドや各街中に差出人が不明の手紙が出回っているらしい そして



「うひょーもしかしてバトルの予感でやんすか? 俺っちは構いませんぜ」ハット

「宗教なんて古臭いぜ兄弟 アール王国は無神論者だと思うけど違うのか」ドミノ

「基本は同じでいいんだな? C国の主要信仰、名はラーク教団 教信者の集団よ

信者を増やしてお布施名目で徴収かしら 悪党共が、怪しい実験とか色々と噂もね

クローブは私の義理の姉妹だ、情報共有してて当たり前なんだよ」緑のクローバー



小説だけでも楽しめる様になっていますが 双方シナリオで妥協はしていないので

私の旅団と同様に内容は被る部分と異なる箇所があります 気にせず読んで下さい

 事態はここで転換を迎える事に ピジョンと薄緑の導師はその先を見ている――



「悪戯じゃないとしたらまずいかも ずずず 珈琲ブレイクで会議中です 続きを

敵対意識を持っているのが一つ 盗賊団と繋がっているなら C国が?」錬金術師

「私は教団とか興味ないけど C国と裏で、ってか主要信仰ですって 軍事国家よ

この王国とは比較にならないのよ 標的にされたって事なのかな」アンリは危惧だ


「国土の広さだけじゃなくて ほぼすべてにおいて圧倒してるわ 無論向こう側ね

総動員で攻められたら数日で落とされる アール王国って軍隊ないから」マスター

「位置的にはどうでやんすかC国って この王国からじゃ海を挟んでる場所ですぜ 

陸繋がりじゃないね 俺っちは意外と戦況を把握出来るんですぜ」ハットは熟練者


「軍隊を持ってなくて何処の宗教も入ってない 生意気で手頃な小国があったとさ 

自分達の海域の近くにな? ひゃはは こりゃ狙うだろ 戦争来たぜ~」ドミノ兄

「積み荷を狙ってたから返り討ちにしたのよ フルボッコ んで、なんか捨て台詞

うざいから こき下ろしてやりましたと 全滅はしていない 逃げた奴がさ」モカ


「ピジョンよ 時期を見計らって侵攻します、適当な因縁をつけて来いと 多分」

「いいぜ別にクローバーさん この部屋から動くんじゃねえぞ、まだ理由は聞くな

こっちから攻めさせようとしてやがる それだと敗北するわ 罠を仕掛けている」



事の発端となるC国は アール王国以外の諸国に対しても怪文書を送り付けていた

戦乱に巻き込むには何処かで火種を要する事になるからだ、計画していた挑発行為

宣戦布告を仄めかす文言、他国が無視を決め込んだ場合はどう動いてくるのか――


この手紙の内容何処までが真実なんですか、錬金術師は悪戯の延長だと疑っていた

元は酒場での殴り合い 下町ではよく見かける光景ではないか、何故大袈裟になる

盗賊の中に邪教団のメンバーが含まれていた 地位は低いだろう、噛んでいたのは

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               C国 幹部会議にて

「アデル様 大方の手配は完了致しました だだ宜しいですね どの国にも我らの

国名は記載しておりません内容の方も濁した形で まずは様子見という事で」配下

「ああよい それで構わんぞ 勇んで進軍してくるもよし 悪戯と思われてもよし

いずれにせよ種は撒かれたわ何人たり共 最早復活は止められぬわ」予想どうりな


全身を黒のローブに包んだ上級的な伝道師と上司の軍師らしき姿 詳細はお任せで

善人には思えない雰囲気なのは確かだ、アール王国とは海を挟んで近隣らしい某国

続いて誰かが報告に来た模様 戦いとは先手必勝 与太者の喧嘩で終わるハズ無し


「アデル様 隣国への侵攻をお考えなら 先鋒は私にお任せください ふふ 手ご

ろな小国がありまして実は既に段取りは取っており 後は機を待つのみかと」手下A

「ほう、段取りを取っておると? 一興かな よしでは貴様に先陣を取ってもらお

うか 手頃だと 成程標的はアール王国だな 許可する仕掛けろ 開戦だ!」軍師


こうして幕は開いた 盗賊とのいざこざがやがて世界を巻き込むほどの大戦になる

酒場の事件では誰も想像していなかったのだ、事の発端のC国ですら そして――

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「ち、ちょっと皆 今動ける? 大変よ 今街中で変なのが暴れ回ってて」受付係

「そんなに慌てなくても皆いますよ どうしたんですか チャツネさんですよ彼女

夕飯の食材を買いに行ってたんじゃ、変なモノとは何です」残念な展開さ錬金術師

「また酔っ払いが何かわめいてるんじゃないの暴漢 うーん 私等以外じゃ無理か

最近はその手の輩が減って来てると聞いてたけど いいのか」よかたいアンリさん


不意に乱暴にギルドの扉をノック ドンッドンッ! クローバーの不敵な失笑だが


「ギルドってここだよな! 化け物が出たんだ街中で 今そこら中で騒ぎの最中だ

いきなりで悪いが君達で何とかしてくれ 誰でもいいから」銀鉱山で会った木こり

「承知 出るぞ 皆 遅れるなよ 死臭が漂ってる様だが C国だと?」小夜香が

「始まりか 悪戯じゃないみたいだね どうやら余裕ぶってたツケが来たかしら」


怪訝な気配を察知したスカーレットとモカは同じセリフを放つ 冗談抜きで襲撃だ

今回は依頼されての仕事ではない、白昼堂々の暴挙がアール王国内を襲った――



「ふう 皆仕事なしだと困るけど いきなり来やがったぜ 待つ気なしかよ」導師

「短編だと物足りないのようちらの読者は 強襲されてるのね今」頑張れヒロイン

「長丁場でも構わないわよ私は一向に もう犠牲が出ている 一応生存者の確認を

悪いけどここで参戦させて頂くか このピジョンはまだ隠居出来ない! 来たな」

「裏切り者で悪かったね 私等相手に戦争しましょうってさC国は 馬鹿め」モカ


背景が無いのが幸いか 屍が散乱している、一線を踏み越えたらしい 怒号と悲鳴

自信があるのか、昼間の街 正門から大胆不敵な暴虐の貪り 見過ごせば地獄絵図

アンリ達がギルドから飛び出してくる、横切る人影有り 近くの小屋に隠れようと

武器屋の傍だ 2番地区の町長か「ち、ちょっと どういう事よ 化物騒ぎって?」

すかさず退避する様に指示をする 戦いの扉を開いたのは誰だ! 狂っていたのは


「遅れると犠牲になる人が増えるわ やってくれたね 私は折れないぞ」マスター

「うひょ、ジョークなしでっせ兄貴 先制攻撃が来たでやんすよ 上等で」ハット

「混沌を望む気か C国だっけか 面白い、戦場の匂いだぜ 懐かしのな」ドミノ

「わ、私は戦闘員じゃないからね 冗談じゃ済まないわよ どういう事なの」受付


「私の弟子が世話になった様だな 弱小国め 我が教団の贄となれ 回りくどい!

手紙で挑発などと この国は最早頂いたも同然だ 容赦せんぞ!」襲撃のボス頭か

「ヒャッハー! てめえらが悪いんだ 俺らの事見下しやがって フヒヒ 最高! 

ばんざーい バンザーイ ひっひ 戦いの素人じゃねえんだろ? 来いや」雑魚が


不気味な人体が徘徊している まともな意識で動いている風には感じなかったのだ

「フゴゴ・・・オオオン!」雄叫びなのか嘆きなのか 言葉に成らぬ哀れな骸達が


「いきなり死霊術を使ってくるとは リーダーは誰だ 街中でこんな事をするとは

タダで済むと思うなよ!」普段はクールな錬金術師が激高か 宣戦布告に相違なし

「クソッ 殲滅だ いいね 炎が使えるならなるべくそれで 戦争だ」怒る女騎士

「私さぁ戦争とか興味ないのよ 温いのがいいのよ 全くつまんない事してくれた

現場に出したからには覚悟しなさいクズ教団が うちら一般兵じゃないわよ」モカ

「ああ、始めてくれ クローバーさんの事舐めてやがるな? ぶちのめすからよ」


既に潜伏していたC国の襲撃 今は少数の部隊の様だが、市街戦を余儀なくされる

街を守る為に戦う者達 赤屋根のギルドは立ち向かう事になる イカレている国家


遂に戦闘が始まった「皆気をつけて! 死者を操る連中よ遠慮はいらない」火葬を

マスターの号令を待たずに各自で動き出す面々 紅蓮のファイアボールが敵を襲う

死臭漂う市街地での戦い 前衛組は抜刀しながら憤怒の形相で次々と迎撃していく

後方でこの惨状を目の当たりにした市民達はパニック状態になり 我先に逃げ惑う

既にかなり犠牲者も出ている 無惨な死体がそこら中に転がっている 容赦はない

通りを進むと広場に出る そこには遺骸が積み上げられていた「ファ😊ク野郎が」


小説版を検討した結果、知人達とは15タグまでの約束 凄惨な描写はご遠慮下さい


「皆下がって 私が出る」マスターは不死者との戦いに慣れている(お、そうだな)

屍山血河 今更躊躇はしない 相手は既に一線を越えた、慈悲など必要はあるまい

コバルトは怒りを露わにするこの手口は明らかにプロの仕業「ふざけるな C国」

思いは他のメンバーも同じだ 皆の怒りを代弁するかの様に、小夜香が前へ出るか


「問答無用と来たな? 斬り伏せてみせよう」ゴロツキ相手の徒手では収まらない

不意に眼前に出た穢れた雑魚に撫でるかの如く一刀か ドシュ! ズバッ! とな

汚れ仕事は隠密の真骨頂 一瞥すらしない、命を軽視する相手に敬意も無礼もなし


「奇襲の割には大した事ないでやんすねー 他の街ならいざ知らず よりによって

俺達の赤屋根のギルドに来るなんて、戦争に不慣れだと思ってやがるか」ピザ兄弟

「奥にいる馬鹿が襲撃の大将だろうよ 消滅させとくわ誰を相手にしてる」導師様


・・・ぐああああああ! と最後の断末魔か 仕掛けて来たのは達人を知らぬ末端


「よし殲滅だな しかし いきなり仕掛けて来るとは 手紙は宣戦布告だったか」

「アンリさん敵に回すとか本気かよ、忙しいのよ私は」憂いのロシェとリーダーだ

「お疲れ様、皆 今後について私からお話があります とりあえずは犠牲者の弔い

開戦でしょうね 私達が最初のターゲットなのか C国からの襲撃とは」ピジョン


住民の嗚咽と焼け焦げた途上の街、今日の陽が暮れようとしていた敵は貧困に非ず

先日の和やかな食事が嘘の様だった 時間は止める事が出来ない 友は知っている


            第45話 黄金郷編 5239文字 (続)



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