第2話 天界
足利義輝視点
(ここはどこだ?私はどうなったのだ?)
・・・・・・あたり一面が白い世界。しかし、それは冬の冷たい銀世界とは異なる。何か暖かい光があたり一帯を包んでいる。
そういえば、先ほどから感じているこの浮遊感は何だろう?ん?目の前が急に眩しくなった?これは何だ?
そうしてしばらくするとその光の塊は徐々に大きくなりやがて一人の女が現れた。
(聞こえますか?)
(なんだ?この声は私に語り掛けているのか?)
(ええ、そうです。今、あなたの魂に直接語り掛けています。)
(あなたは一体、何者なのですか?)
(私なら目の前にいるではありませんか。)
そうするとその女ははっきりと私の前に近づいてきた。その姿、天女の如き美しさ。今まで出会ったどの女性よりも美しい。その形容し難い美しさから、その存在が人ではないことがすぐにわかった。
(私は天界の神です。世界の
(第3世界?世界は1つではないのですか?それに神と名乗られるが、私の国では
(驚くのも無理はありません。ですが、今述べたことは真実であり、世界はひとつではないのです。複数存在しております。その世界の数は数えきれないほど多くあり、その数だけ統括神も数多存在するのです。それらすべての神々の頂点に君臨する万物の創造神であらせられる最高神様こそ、万物すべての父であり、母なのです。)
・・・にわかには信じがたいが、おそらくこの方はうそをついてはいない。それは何故だか納得してしまう。形容し難い何かがその話が真実だと感じさせる。
おそらく、私では想像もつかないような本質がそこにはあるのだろう。それを私が理解するのは至難の業だ。だが、真実の断片だけでも理解してみよう。そう思い、私は彼女の話に耳を傾けた。
(まず、わかっていると思いますが、あなたはすでに亡くなっています。そして、ここは天界。つまり、あなた方の言う『あの世』というものだと思っていただいて構いません。)
(あの世。やはり。)
(ええ、そして、俗にいう『あの世』はあなた方の星『地球』の魂のみが来る場所ではありません。そう、この天界には数多の世界の魂がさまよっています。そして、中でもあなたのように生前に強い後悔や無念のある魂は私の統括する第三世界へと合流するのです。)
(強い後悔や無念ですか?)
(はい。あなたにもそれは心当たりがおありではないですか?)
(いかにも。)
言うまでもない。私は結局父上より託された足利家を守れなかった。何より将軍としても無力であり、愛した女性一人すら守れなかった。私にもっと力があれば・・・
(では、その力を与えて差し上げましょう。)
私の心の内を見透かしたように天界神ルスヤエルは答えた。
(私の統括する第三世界に来た魂には我が加護を与えることができます。・・・ソウルアビリティ・・・それが我が加護の名。)
(・・・ソウルアビリティ?)
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