・断章⑫【1971年、組織日本支部基地。マスクドラグーン誕生前夜】
「彼が新型
「その通りだ。同じ事を繰り返すくらいなら死んでしまえ。これまで以上の設計思想、これまでにない新たな
1971年。
何処の国のものでもない飾り気の少ない軍服を着た引き締まった体つきの美女……作家・四島君緒にして
「彼が……
内部に無数の自動手術機械を備えた透明な棺めいたカプセルベッド。そこに寝かせられた青年の姿を眺めながら、どこかときめきを感じさせる口調で四島はカプセルの滑らかな表面に指を這わせ彼がここに至った経緯を反芻する。
「全く驚くべき男や。正義感で咄嗟に飛び込む事ならありえる。やけど
そんな物々しく仰々しい戦力共と、この青年は生身で渡り合った。最終的には瀕死となった所を
今は人間の姿の二人と違い、戦闘介入に参加した為
彼こそが戦闘によって混乱の中から実験体の青年を回収してきた人物でその為に今変身後の姿をしているわけだが、日本再興を大義とする四島とは方針を異にし、真に残るべきものを探求する為に破壊を厭わず、超能力での特殊障壁形成による【首都消失計画】、人工地震による【日本沈没計画】、細菌兵器により優秀な人類を選別する【復活の日計画】】を推進する危険人物だ。
一歩間違えば己が再興せんとする日本を破壊するアイアント=小杉右京の行動を、しかし四島は是認している。その程度を御せず乗り越えられずして、何が日本征服・日本再興かと。四島は新左翼を世の危機感と不安を煽る尖兵として活用するように、日本破壊を目論む男もまた用いていた。
「武士だな。そして端正だ。イタリア旅行をした時に見たアンティノーの大理石像を思わせる」
端的に最大限の賛辞を青年の精神と肉体に対して与え、カプセルの中で生命を維持される青年を四島は熱心に眺めた。
「
調べさせたパーソナルデータを口ずさむ。勇士を好む故に、彼と轡を並べる可能性を夢見る。
……もしもそうならず彼が敵に回ったとしても、それはそれで日本に最高の正義の味方をもたらす事が出来る。それはそれで良い。己の勝利以外の手段でも日本が救済される可能性が増えるのであれば構わぬと、超然と四島は胸の内思いを巡らせた。
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