・第8集【組織の時代の陰謀~東西世界の運命は秘密結社の手中にあった~】
「青年達は、自分らが嘗て正義の味方から学んだ英雄類型が、やがて自分が置かれるべき未来の社会の中で無惨な敗北と腐敗に晒されていくのを、焦燥を持って見守らなければならない。そして、英雄類型を滅ぼす社会全体に向かって否定を叫び、彼等自身の
(
(
ベトナム戦争の敗戦と
『汎公民権法』の成立という成果はありましたが、ディ・シィ・コデックス制度やマーベラス・コミュニティを今後どうしていくのか、【
この、敵国と戦っていたゴールドエイジ、スパイと戦っていたシルバーエイジに次ぐ、何と戦うべきかを探し迷う時代を、アメリカではブロンズエイジと呼びます。
(当時の反ヒーロー的論調の新聞・デイリービューイングの風刺画。ヒーロー業界の混乱をローマ帝国の崩壊に準えている)
一方日本のヒーロー事情は全く別の状況を呈していました。
(居並ぶ巨大超人達。
ハイパーマンと彼に力を分け与えられた彼には及びませんが怪獣と戦えるクリスタルマン、マグママン、ライトマン、コメットファイター、ワイルドマン等の巨大超人達が現れ、その献身と金光星龍ズメルゴ事件のような犠牲の下、漸く怪獣災害に対応出来るようになった日本は東南アジアやアメリカの戦乱を余所に高度経済成長期の最高潮に到達。繁栄を謳歌していたのです。
(発展したビル街を忙しく歩く日本人達)
しかしその日本と世界を【
(後世流出した
【
かつての
そして
とはいえあくまでそれは、そんな正義の味方を
いずれにせよ前述のように
この時代日本では怪獣災害を含む環境汚染、沖縄返還、高度経済成長に残存する貧困、開発反対運動、企業権力拡大、反戦運動、左右学生運動、
様々な
怪獣災害最盛期を除いては最も激しい戦いの時代であり、社会にも正義の味方にも多数の犠牲者が出ました。
(当時の新聞記事、ニュース映像一覧。武器と獣と人を融合させたもの、獣を象った機械人形、人間サイズの怪獣の如きもの、妖怪、異形化した超能力者等の日本各地に現れ暴れ回る様々な怪人達と、それと闘う白金色の仮面戦士、白黒の
引退し記者活動に専念していたジェットキッドの暗殺、
忍者捕物隊の全員殉職に関しては、日本政府は装備を刷新した新しい特殊部隊・チームファイブの結成を計画しますが……その時点で、じわじわと【
更に重要な事が、【
その状況を決定づけたのがジャガーフォー事件でした。【
「殺して、あのバケモノを!」
「死ね獣野郎め、てめえの何処がヒーローだ!」
(コーアンナインのアイカメラ映像。ジャカーを囲み激昂する群衆を掻き分けて進む一人称視点)
ですが【
そして、東南アジア、タイ王国で起きたラングール事件。
それまでハイパーマンから選ばれた者が力を分け与えられる事で出現していた巨大超人を、タイの、後にDrチャイヨーというヴィランネームで恐れられるユーゼポート・ゴーンドゥッツォが人工的に作成する事に成功したのです。
その人造巨大超人の名前が、ラングールでした。
(仏像泥棒を捕まえて残虐に捻り殺す白猿神像を思わせる姿をした巨大超人)
東南アジアでの怪獣災害に対して出動したラングールは暴走、凶暴な戦闘ぶりで町を破壊するだけでなく、興奮したラングールは変身者の残留思念が嫌っていた人間を次々殺害、その過程で更に多くの被害者を巻き込んでしまい、最終的にハイパーマンに退治される結果となります。
国威発揚を目論んでいたタイ政府の怒りによる逮捕を恐れたユーゼポート・ゴーンドゥッツォは、よりによって当時最悪の原始共産制を敷いていた民主カンプチアに、同国に降っていたベトナム派遣アメリカンヒーローのヴィラン化した生き残りであるキャプテンガッツの手引きで亡命してしまいます。
民主カンプチアの背後に居るのは
(何れもハイパーマンに似ているが何処かいびつに歪んで、皺の寄った皮膚やアンバランスで装飾過剰な顔、ギラギラした攻撃的な武装、不安を覚える印象を与える姿をした粗製巨大超人達が各地で怪獣狩りやデモ鎮圧等の活動をする映像)
粗製巨大超人は対怪獣兵器として使われるだけでなく侵略と弾圧の手段ともなりました。この〈第二次プラハの春を制圧蹂躙するレッドキル〉の映像は広く知られています。
「私達の希望はまたも裏切られた。私達はまるで怪獣のように叩き潰された。あんな巨人が正義であるものか。私は、事の原因となった東洋の巨人と学者を憎んだ」
……第二次プラハの春、参加者の一人の手記です。立て籠もった市議会の、瓦礫の下から発見されました。
そして更に彼等はこれら粗製巨人を用いて凶暴では無い怪獣までも狩りたて、それを改造して兵器にしたり、素材として活用する事を始めました。
かつて人類の脅威であった、人類の愚行の結果誕生したものも多い怪獣を、野生動物や家畜と同じように駆り立て、保護区と称した牧場に押し込め、屠殺の対象としようとしたのです。
だから、罰が当たりました。
怪獣を守って人類と戦うハイパーマンと同種の巨大超人、ハイパーマン・ネガの出現です。これまで守護怪獣ダドラ、精霊怪獣マハロアなど、他の怪獣とコンタクトを取り荒ぶる怪獣を倒すのではなく故郷に帰そうとする怪獣はいましたが、
(ハイパーマンの銀・銅・金色を燻銀・黒皮鉄・緑青の三色に塗り替えた様な巨大超人が、
更にかつては共に金光星龍ズメルゴを倒すべく人類と共闘すらした破壊怪獣ガグラが怪獣を狩る人類への怒りから再度凶暴化、守護怪獣ダドラ・精霊怪獣マハリアが阻止の為戦う中、人類社会への攻撃を再開します。
これにより防衛計画は大いに混乱し、そしてまたハイパーマンだけは無謬の正義であろうという民衆の心も千々に乱れる事になります。私達人類は地球の破壊者で、生命を虐げる圧制者なのではないかという論が、四大公害怪獣事件もあって巻き起こります。これらの事件により、政府の方針や民心が変化。
かつては新安保条約正義の味方登録事項が国民的運動で否定されたにも関わらず、日米政府どちらにも【
また当時正義の味方の戦いを描いたTV番組や漫画などが過激であるとして悪書追放運動の対象となり、運動を推進した市民団体が正義の味方の存在自体が本来違法であり公序良俗に悪ではないかという運動まで起こし、それに呼応した正義の味方を法律でより強く縛ったり定義付けをアメリカ側に寄せるべきでは無いかという動きが再び一部の政治家にまで出てくる等、正義の味方と社会の関係は冷えていきました。
そう、アメリカは悪化するベトナム戦争の状況に対し日本の正義の味方に戦力として用いる事を求め、その正義の味方登録状況に反米・反
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