・第2集【超人戦争の激突~戦場の国民達は凄まじい戦士の戦いを見た~】
「地球が逆回転する程の衝撃を受けた。時が戻ればと思った。彼は、ごく普通の善良な、良い意味での一般市民だった。彼が去ってしまった事が信じられなかった。だが、我々は彼の居ない時代を生きなければならない。彼の正義を引き継がなければならないのだ」
(戦後の回顧録で、アメイジングマンについて兵士が語った言葉)
「私は唯の人間だ。英雄でも神でも……良き市民でも無い。それ以下の、力あるだけの唯の人間だ。私は私が人類にとって何であるかを見てしまった。何と、痛ましい」
(長い間公開されなかった、1945年8月7日のアメイジングマンの日記)
初の、そして未曾有の世界的超人戦争となった第二次世界大戦。
独逸軍は多数の水陸両用人造兵士【
(記録映像。ダンケルクに追い詰められた英軍を空中から粉砕する、翼と融合した腕で空を飛ぶ人型の飛竜と言うべき姿をした身長数十mの機械巨人の姿をした機動兵器ルデルG37。ドーバー海峡を這い上る半人半両生類の兵士【
また人造超人の総統である【
加えて空のガルデンマン、陸のヴァイスマン、特殊作戦のアイケマンというドイツ三大
これにより、超人戦力を持たなかったポーランド・フランス・ベルギー・オランダ本国・東欧諸国・北欧諸国・北アフリカ・西中東は電撃的に征服され、超人戦力を僅かしか持たなかった英国は圧倒されました。
最終的に諜報活動においてアメリカの超人スパイ【キルロド】が届けた技術による【アルファベットQ】と呼ばれる超人スパイを誕生させます。英国が独自に強化を行った
経済的な理由と先の大戦への怨恨という大衆の願望を超能力でダイレクトに国政に反映した
一方アメリカ合衆国は【アメイジングマン】と【ヒューマンライト】、そしてアメイジングマンの血を輸血する事でアメイジングマン本人は及ばないとはいえ人間の超人化が発生する事を発見し、それにより量産した超人兵士をそれ以外の起源を持つ超人に加え多数投入しました。この【超人輸血】による超人作成は適合者の少なさを補って余りある手軽さで、他国より遙かに多数の超人を有する人的余裕を合衆国にもたらしました。合衆国軍はその戦力を持って、欧州の戦場に介入する事で戦争を逆転する事が可能でした。
同じ頃、大日本帝国においては金鵄髑髏が出現したのと同系統の
(零式艦上戦闘機と共に空を飛ぶ飛行服に羽として機能する陣羽織と鎧兜をつけたような姿を下大日本帝国海軍超人兵士・天空侍)
(水中から上陸する植物で出来た生体潜水服とでも言うべき装備を纏う大日本帝国海軍超人兵士・神兵太郎)
(南洋作戦の勝利でグアム米軍基地に日章旗を立てる全身緑に塗られた黒鉄の、砲弾じみたつるりとした強化鎧を身に纏う大日本帝国陸軍超人兵士・冒険王弾鉄)
この時世界各国で超人兵士を戦力として導入していた者達の技術力では、独自技術で様々な超人兵士を開発していたドイツがトップであり、超人輸血でお手軽に超人を増やす事が可能だったアメリカとレ・ムーリアの技術をリバースエンジニアリングする事で超人を生産していた日本がそれに続き……広い国土を利用しユーラシア大陸中から能力を有する天然自然の超人をかき集めたソ連、アメリカからの技術供与と天然の小数の素材に頼らざるを得なかったイギリスはそれより下、という状況でした。
大日本帝国は「超人を含む軍隊による通常軍隊に対する優越」を目指した独逸の超人電撃戦とはまた違う、「超人を含む軍隊対超人を含む軍隊」の戦術を構築した事でも知られています。
大日本帝国の超人兵力と仮想敵である合衆国の超人兵力を計算すると、傑出して高い戦闘能力を持つのが大日本帝国の【金鵄髑髏】に対して合衆国の【アメイジングマン】【ヒューマンライト】の二人と多く、そして日本の【神兵太郎】【八紘犬士】【天空侍】【冒険王弾鉄】等の一般超人に対するアメリカの一般超人も【ソルジャーステイツ】【ミスターUSA】【初代アトランティスマン】【初代ロビンアロー】【サンダースピード】【初代アマゾネス】等それ以外の超人の数も合衆国が数的有利にありました。
大日本帝国が枢軸側についたのはこの超人格差を埋める為でもあり、それにより【アメイジングマン】と【ヒューマンライト】のどちらか片方、それ以外の超人の半数が想定される敵戦力となりました。これで漸く互角、そして通常戦力は不利。
(当時の大日本帝国ニュース映像。彼我の戦力比を語りながら、艦隊と超人が挙げた戦果、陸軍が征服した土地面積を強調する)
これに対する対策として、海軍は対米開戦時の方針を奇襲攻撃ではなくあくまで漸減戦術による艦隊決戦とする事とし、陸軍は歩兵を減らしてでも航空隊・機甲戦力を強化して軍隊としての機動性と耐久力の向上を志向。
(半人半黒犬の超人兵士・八紘犬士と共に移動する日本陸軍戦車の映像)
(金鵄髑髏の護衛を受けて進む大和級戦艦四隻・雲龍級空母四隻の艦隊映像)
超人を軍隊全体に配備するのではなく集中して運用し、その為に専用の航空機である二七式長距離高速英雄輸送機を開発し、敵超人出現の報に合わせて一点に投入する事で局面的な有利を作って各個撃破し、他の方面では味方超人が来るまで耐えるという方針をとりました。
一説には、これが非殺での制圧を理想とするアメリカのスーパーヒーローと必殺技での確実な勝利を志向する日本の正義の味方の方向性の違いの源流であるとする説もありますが、戦後第一世代の日本の正義の味方はハイパーマン登場まで必殺技を持たない者が多かった事から、これは俗説だとする認識が現代では主流となっています。
ともあれ、これにより日本軍は米軍側のヒーロー戦力を押さえ込む事に成功し、ニューギニアより手前の東南アジア全域とアリューシャン列島、インド西部を制圧。シンガポール沖海戦、カリマタ海峡海戦、ウェーキ海戦、フロレス海戦、シドニー沖海戦、モルディブ沖海戦、第一次ミッドウェー海戦に勝利します。
しかし最終的には通常兵器の物量差と新型戦闘機や戦略爆撃機や近接信管による制空権喪失等の影響でハワイ沖海戦でのハワイ上陸失敗後戦力回復が追いつかなくなり、第二次ミッドウェー海戦で敗北、絶対国防圏海戦では撃沈数的には引き分けか勝利と言って良い数値でしたが物量に劣る大日本帝国海軍は主力艦隊を事実上喪失。
同盟国
主要な島嶼を失い戦略爆撃を受けるようになった日本は残存航空戦力で抵抗するも、アメリカ合衆国は原子爆弾を使用。
(広島に立ち上るキノコ雲の映像)
阻止しようとした【金鵄髑髏】がアメイジングマンによって食い止められた結果、原子爆弾は広島を破壊。続く長崎においての【金鵄髑髏】とアメイジングマンによる原子爆弾を巡る戦いは……原子爆弾の長崎投下失敗と【金鵄髑髏】・アメイジングマン双方の死によって終わりを告げました。
(長崎市街に落ちず、沖合で爆発した原子爆弾のキノコ雲)
防空戦闘に参加出来る超人を喪失した事から、大日本帝国は第三弾以降の核攻撃を阻止出来ないとして降伏、第二次世界大戦は終戦を迎えます。
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