望月夜中

第1話 プロローグ

木の葉が舞う。この季節が来た。愛おしく、痛々しく、切ない空気。冬を運ぶ風。あなたと出会い、そして失った。


ケン。私はまだあなたの欠片を探して

あなたの優しさを追うように生きているよ。


失ったものを数え続けるには人生は長すぎるし、

失ったものを探し続けるにはこの世は目まぐるしすぎる。


私たちはいつも失くしてからしか大切なものに気づけない。それは、神さまのイタズラか。優しさか。

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