友達以上恋人未満な幼なじみ
赤猫
関係性を変えることは怖い事で
私は相変わらず彼にその思いを伝えることに抵抗を持っている。
これを伝えることで私と彼の友情が崩れ落ちることへの恐怖があるからだ。
彼とは幼い頃からの…ではなく中学から仲良くなった。
たまたま隣の席になってたまたま話す機会があって話してその後休み時間に一緒に遊んだり、話したり勉強したり。
長期休みになれば遊びに誘われてそれに応じて会ったりと今の今まで男女の友情を成立させてきていた。
好きと伝えて失敗した時のことを考えると…出来ない!
「…ナエ?どうした?手止まってるけど…?」
私の顔を覗き込むように顔を近づけてきた彼にびっくりして私は腰を抜かしそうになった。
今私は片思いの相手であるユウキの家で一緒に課題をしている。
「あ、うん!ごめんごめん!眠たかっただけ!ありがとう目覚めたわ」
「なら良かった」
ニコリと笑う彼を見ると心臓がギュッと締め付けられる。
嗚呼私本当にユウキのことが好きなんだなってこの感情を拒否するべきなのか受け入れるべきなのかと考えてしまう。
「課題終わりそう?」
「も、もちろん!ユウキ終わったらゲームしよ」
「俺にゲームで勝負を挑むなんてナエ…愚かなことを…」
「何その話し方」
面白くて私は声を出して笑う。
課題が無事に終わって私たちは手に持っていたシャーペンをコントローラーに持ち替えて絶賛格ゲーをしている。
「あ、ちょ、ハメ技やめろ!」
ガチャガチャとボタンを適当に押している私と無駄のない動きでボタンを押しているユウキ。
勝負の結果は相変わらず私の惨敗だった。
「手加減してよ!」
私が抗議の声をあげると彼はドヤ顔で私を見る。
「勝てばいいんだよ勝てば」
「クソー!馬鹿アホ!次は勝つ!」
ポカポカと彼の体を叩きつつ私は「馬鹿」だの「アホ」とレベルの低い罵倒をとばす。
「お前力弱くね?」
「は?思いっきりやってるんですけど??」
「それで殴ってるなら終わってる」
私はクッションを手に取ってそれを投げつけた。
彼はそれを容易くキャッチしてしまう。
「当たれよ!」
「何でだよ?!」
こんな他愛のない馬鹿な会話が出来るのは今の関係があるからであって、私の中でずっと潜んでいる恐怖がまたズシリと乗っかるのが分かる。
「こら痛いでしょうが」
「ーっ!」
声にならない悲鳴が出そうになる。
急にユウキの顔が近くなったからだ。
心臓がドキドキとなる速度が早くなっている。
顔もきっと真っ赤になっているだろう。
「顔赤いけど大丈夫か?」
「大丈夫!部屋が暑いだけだから!離れてよ…あんまりその、近いと…その一応私たち男と女なので…その気まずく…」
私の声がどんどん小さくなる。
ユウキはその意味を理解したのか、慌てて離れた。
…私言葉間違えたかもしれない。
わざわざ意識させるようなこと言ったんだろ、悪口とか言って退かせば良いのに…何でこんな時に私…女の子みたいな部分出してるんだろうか?
「か、帰る!」
「お、おう?送ってく」
「いらない!」
「この時間に女の子一人で歩かせるのは…」
お願いだから女の子扱いしないでいつもならそんな事しないでしょ、気を付けて帰れよって言うじゃんそれでいつも終わりじゃないか。
「私これでも力強いし!誰も私に何かしようだなんて思う人いないよ!」
笑って言う私に大してユウキはなんとも言えない複雑そうな顔をしていた。
友達以上恋人未満な幼なじみ 赤猫 @akaneko3779
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