第11話 時は満ちた

 昼休み、第二生徒会室でまったりしていると……。伍代さんが飛び込んでくる。


「やられました、敵陣による合成写真のばらまきです」


 伍代さんは写真の載ったチラシを手にしている。


「それでその内容は?」

「人形町さんのスキャンダルです。掲示板などに貼られていました」


 それは、女子生徒の髪を掴んで地面に叩きつける画像であった。


「それで、肝心の人形町さんは?」


 職員室に呼び出されています。


「とにかく、第一種緊急体制でいきます」


 職員室から帰ってきた、人形町さんは元気がなくふさぎ込んでいた。


「結果は?」

「自宅待機だそうです」


 事実上の停学処分か……。


 うん?伍代さんがスマホに向かって何か難しい顔をしている。


「ビンゴです」


 内通者からのメールです。


「ぬいぐるみを拾う人形町さんと寝ころんだ女子生徒の画像が二枚、完全な合成です。まさに策士策に溺れる。これで、リコール運動の大義ができました」


 つまりは第一生徒会に内通者がいる事を知らず策に出た失策であった。


「よし、リコール活動の開始をここに宣言する」


 それから、わたし達第二生徒会は校舎の中庭に本陣を置きリコール活動をしていた。


「あら、これは偶然、リコール活動ですか?」


 それは生徒会長の菊一であった。


「再選挙、楽しみだな」


 伍代さんが挑発する。菊一は冷静さを装っているが、かなりの焦りかたである。


「はいはい、わたしの部下が合成写真をばらまいたのです。責任はわたしにありますからね」


 あくまで、自分指示を否定するのか。


 ま、当然なことだな。


「わたしも一票入れていいかしら?」

「どうぞ」


 菊一が名前を書くと鉛筆の芯がバキっと折れる。


「NO、NO、不可抗力ですわ」

「大丈夫だ、問題ない」


 伍代さんが笑顔で代わりの鉛筆を用意する。この厳しい神経戦はわたしのお腹を直撃する。あーお腹、痛い。


「浅野さん、ここはわたしが引き受けます。トイレを済まして来て下さい」


 流石、伍代さん、しかし、死亡フラグだ。わたしは腕を組み長考するがお腹は素直だ。


「少し、失礼」


 あああ、痛い、痛い。トイレに直行して用をたす。中庭に戻ると菊一は居なかった。


「情けない、リーダーでゴメン……」

「菊一は強敵です、皆で力を合わせて打倒しましょう」


 わたし達は円陣を組み掛け声をする。


「おし!」


 それから、署名期間の間に過半数を取り。リコール成立となり、結果は再選挙であった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る