第13話 夢を叶えるのは可能か

 夢を叶えるのは可能か?

 これは正直にいって、難しいテーマです。

 僕は子どもの頃から夢がコロコロ変わる子どもでした。

 はじめはプロ野球選手。これは少年野球をしていた5歳離れた兄の影響を受けた結果です。だから僕も少年野球団に入りました。しかし4年生あたりで、実力的にプロ野球選手にはなれないなと思って、夢を諦めました。

 プロ野球選手の次はスノーボードのインストラクターでした。これは家族旅行で信州にスキーにいってスノーボードをした結果です。スノーボードは楽しくて、何と言ってもあのウェアがカッコ良かったからです。スノーボードしている人、イコール、イケメンだと思っていました。僕はイケメンではありませんが、スノーボードをしているとかっこ良く見えるかなと思ったので、スノーボードのインストラクターになりたいと思いました。

 でもスノーボードのインストラクターは夏場、仕事がありません。夏は雪が溶けてなくなってスノーボードができませんから。

 なので僕は夏場は草刈りのおっちゃんになろうと思いました。草刈りのおっちゃんが持っているあの草刈り機を使ってみたくてたまらなかったのです。あの草刈り機は小学生の僕にとって魅力的でした。冬はスノーボードのインストラクター、夏は草刈りのおっちゃん。でもその夢は現実離れしていました。

 中学生になって音楽に興味をもちました。いきものがかりが好きでした。20000円のフォークギターを買いました。友達も僕につられてギターを買いました。いつか一緒にバンドを組んで、紅白歌合戦に出ようと約束しましたが、ギターは三日で挫折し、部屋のインテリアと化しました。結局、ギターは高校生になってから、楽器屋に売りに行きました。3000円で売れました。このとき、僕には音楽の才能がないと思いました。人はなんでもしてみないと才能があるかどうかわからないと悟ったのもこの頃でした。

 高校生になると夢はなくなりました。病気になり夢がどうのこうのと言ってられなくなりました。でも精神科で働く心理士さんを見てカウンセラーになりたいと思いましたが、自分の学力ではなれないと思い、断念しました。他にも理学療法士、プロサッカーチームの職員、ジムのインストラクター、いろいろありましたが、どれも本格的に目指す前に諦めました。僕にはなんでも早々に諦める癖があるようです。しかしあまり物事に執着しない割には女の人には執着する癖があったようです。学生の頃の話ですが。

 大学生の頃は何になりたいとかは特にありませんでした。4年生になっても、就活はしないでおこうと思っていました。病気が結構きつかったからです。結局、大学は3年生ときに辞めてしまいしまた。学校に行く気力も卒業論文を書く能力もありませんでした。

 

 夢を叶えるのは可能か?ですが、夢はコロコロ変えると叶いません。ひとつの夢をずっと想い続けで初めて叶うのかなと思います。僕の27年の人生経験ではここまでしかまだわからないですが。夢を叶えるには、夢を叶えるための努力を継続しないといけないのでしょう。しかもここでは正しい努力の仕方も求められます。例えば、間違った計算方法でいくらたくさん方程式を解いても、正解には辿り着けません。このように間違った努力をしても、夢はいつまで経っても叶わないでしょう。

 小学生の頃の卒業アルバムにみんなの将来の夢が書いてありました。 

 27歳になった僕たちは誰ひとりとして小学生の時の夢を叶えていません。それどころか、みんな全然違うことをしています。

 叶えるための夢も、寝ているときに見る夢も、字は同じです。

 夢というのは寝ているときに見る夢とそう変わらないのかもしれません。寝ているときに見る夢はコロコロ変わります。一晩で3回ぐらい見るときもあります。夢は文字通り、寝ている夢を見るのとそう変わらなく、何回でも見るものかもしれません。夢とは、もしかしたら叶えるものではなく、見るものではないでしょうか。

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