竜姫が躍る

湯奈

アナウンス



『ようこそ<Moon・Licht・Online>の世界へ』


女声のような機械音がなった。


声と同時に髪の短い白髪の女の子が現れた。


『私は、アナウンスのLiA。最初に申し上げまスと私への質問等はゲームの中に入ってからになりまス。さっそくでスがこの世界をご案内いたしまス』


LiAと名乗る女の子はクルクルと回りながら説明を始めた。


『あなた様は<Moon・Licht・Online>という世界で冒険者として生活しまス。そちらの世界では<月の光>や<ムーンリヒト>のように様々な呼ばれ方をしていまスね。そうですね~ここでは<MLO>と略しましょうか』


『<MLO>は誰しもが主人公になりえる、なんでもありの遊び場。決められているのは6つの種族と15の専門職業のみでス』


そう言ってLiAはにこりと笑った。


『あなた様には最初に6つの種族[ポーン]、[ルーク]、[ナイト]、[ビショップ]、[クイーン]、[キング]から1つを選んでいただきまス。種族ごとの違いは初期ステータスとスキルの優先度でス』


――パチンッ


LiAは指を鳴らした。


音と共に目の前には画面が表示された。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

[ポーン]―特に秀でているところはなく、ステータスも平均的。


[ルーク]―物理攻撃力と物理、魔法防御力が高い代わりに遠距離スキルを得るこ  とができません。6つの中で唯一【耐久】というステータスがある。


[ナイト]―プレイヤー本人のステータスが[ポーン]よりも低い代わりに6つ中で唯一【テイム】が可能。【テイム】された生き物は【テイム】した者のレベルによって一定数ステータスを上昇させることが可能。


[ビショップ]―ステータスは[ポーン]とたいして差はない。その代わり6つの中で唯一【思考加速】が可能でス。


[クイーン]―物理攻撃力、防御力が低い代わりに魔法攻撃力、防御力が高いでス。6つの中で唯一【創造】が可能。


[キング]―物理攻撃力、防御力が高い代わりに魔法攻撃力、防御力が低いでス。6つの中で唯一【指揮】というステータスがある。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


聞きたいことはたくさんあるがとりあえず選んだ。

LiAは間髪入れずに続けた。


『続いて選んでいただくのは15の専門職業になりまス』


――パチンッ


再びLiAは指を鳴らし、目の前に画面が切り替わった。


―――――――――――――――――――――

15の専門職業


○戦士系職業

 ・守護戦士 通称[ガーディアン]

 ・武人 通称[サムライ]

 ・踊り子 通称[ダンサー]

○物理攻撃系職業

 ・暗殺者 通称[アサシン]

 ・双剣士 通称[ブレイド]

 ・武闘家 通称[ナックラー]

○回復系職業

 ・医療神官 通称[プリエスタ]

 ・神之遣い 通称[ミコ]

 ・森樹官 通称[ユグドラシル]

○魔法攻撃系職業

 ・陰陽師 通称[ソーサラー]

 ・死霊術師 通称[ネクロマンサー]

 ・付与術師 通称[エンチャンター]

○生産系職業

 ・鍛冶師 通称[カグツチ]

 ・料理人 通称[コック]

 ・錬金術師 通称[アルケミスト]

――――――――――――――――――――――


説明はなく、大雑把なくくりしかわからない表示だ。


『このうち1つを選びください。専門職業の細かい内容はここでは説明を行いませんのでご理解を♪ここから先はあなた様の自由になりまス』


LiAは一歩ずつ近づいてくる。


『容姿は、あなた様のイメージしたものがそのまま反映されまス。これで私からのご案内は以上でス。おスきなだけお考え下さい』


ニコニコとしながらまた一歩。


『最後になりますが、あなた様がこれから向かう世界は殺傷、略奪、戦争、なんでもありの世界です。よくお考えの末行動することをオススメいたしまス♪』


言いたいことが言えたのか後ろに下がっていき、最後に言った。


『それでは、自らの思うがままに♪』


LiAは無駄にかわい子ぶりながらクルクル回り姿を消した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る