第20話 新たなスキルを確認してみた

「なんだったんだろう。アンバーはどうしたのかな」


 アンバーは俺に通話を申し込んでおいて、一方的に切ってしまった。俺から聞きたいことは聞けたしまあいいか。現実を見てくるとか言ってたから、何か頼み事でもされてログアウトでもしたのかな? ってまだログイン中か。よし、ほっとこう!


 とあっさりとアンバーのことを忘れた俺は、次にステータスの確認へと移る。


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 Lv:11(+5)



 STR:1

 INT:1

 VIT:1

 AGI:1

 DEX:66(+65)


 Unique Skill

 《多段撃ちの極意 》


 Permanent Skill

 《千発千中》《獣の天敵》《水滴石穿》



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 レベルも上がっているし、新たな能力も覚えている。この能力の確認もしないとな……とその前にステータスポイントをDEXに振り分けて……決定っと。


 さて、まずは《 多段撃ちの極意》からだな……


 《 多段撃ちの極意》


『同時に矢を放った場合、全ての矢において命中率や攻撃力、射程範囲の減衰がおこらない』


『ツムール』と戦ってた時に、試しに何本かの矢を同時に射ったから獲得出来たのかな? この書き方だと、普通なら命中率の減衰や攻撃力の減衰があるみたいだ。あと射程範囲も狭くなるようだ。で、この能力があれば、それがそれぞれ一本の矢を放った時と同じように扱われるのだろう。ただ、減衰が起きても問題なさそうな命中率だったし、攻撃力だって、これ以上下がっても意味の無いほどの低さだ。

 影響があるのは射程範囲くらいかな。複数の雑魚狩りにはいいかもしれないけど、俺の攻撃力と防御力では複数の敵を相手にするには危険が大きすぎる。まぁパッシブ系の能力みたいだし、持ってて損は無いくらいに考えておこう。


 次は《水滴石穿》だな……


 《水滴石穿すいてきせきせん》か。水滴、石をも穿つってことか。弱い攻撃でも続ければ石に穴を開けることも出来るって諺だったかな? 『ツムール』の殻を破壊したことで手に入れられた能力なのかもしれない。で、詳細は……と……


『今まで連続して命中してきた回数分の固定ダメージを与える。発動させると回数はリセットされる』


 か……詳細というには心許ないが、俺の足りない火力を補えるスキルなのかもしれない。補正も相まって『ラビィ』や『ツムール』相手なら一回も攻撃を外したことは無かった。一度外したらそこからカウントし直しみたいだし、一回発動するとゼロからのカウントし直しみたいだから、使い所は考えないといけないな。


 とはいえ、特に防御力の高い敵や部位には有効だろう。仮に俺が『ツムール』の殻に与えられるダメージが、一かニだったとしたらこの《水滴石穿》は実質ダメージで50%から100%増加させられるに等しい。と、考えると火力は無くても攻撃を外さない俺には有難い能力だ。これがあれば『ツムール』との戦闘も半分近い時間に削ることが出来る。


 と、まあ確認したいことはこれくらいか。って待てよ、もう一つあったわ……新しい素材を手に入れたとなると、やはり気になるのは新しい装備だ。作れる装備が追加になっているかもしれない。


 と思った俺は『生産』メニューを開いて、『鍛冶』メニューから作れる装備を確認する。

 すると『殻の鎧』が追加されていた。新しく追加された『殻の鎧』をタップして、俺は詳細を確認する。


 ふむふむ。やはり『冒険者の服』より性能は全体的に上だな。付けられる能力の数も多そうだ。で、素材は『ふわふわの毛×20』とある。で、あともう一種類必要なようだ。その必要な素材は『蝸牛の殻』だ。先程手に入れた素材である。で、その数は……三個か。


「ふむ。あと、二個必要か。じゃ、狩りますか」


 そう呟いた俺は、『ツムール』を周回するために柵の中に一歩踏み込んだ。

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