第16話 クエストを進めてみた
「おし! 今日も楽しむか!」
俺は今日も『Lunatic brave online IV』の世界を楽しもうとログインをした。降り立ったのは昨日ログアウトした地点。セフトの街の門番、トーマスの目の前だ。
「さて、今日もメインクエスト進めるか……と、その前に……」
俺はメニューからマーケットを確認する。昨日出品した『冒険者の服』が売れてないか確かめる為だ。
「お、ラッキー! 全部売れてる」
なんと、片っ端から出品した『冒険者の服』は綺麗さっぱいなくなっていた。あの《 千発千中》ってスキル付きの『冒険者の服』もだ。
「能力付いてれば、少し高値でも売れるってことか。売れるかどうか不安だったけど、これなら大丈夫そう。次はもうちょっと高値でもいいかもしれない」
とりあえず100万イクサを超えるお金を手に入れた。当分お金に困ることは無さそう。直近で必要そうなのは回復薬だ。装備は作るには素材が足りないし、レシピも分からない状況じゃ、素材を買うのはリスクが高い。作れなかったり、材料じゃない素材を買っても意味無いからだ。
「よし、じゃあクエストを進めるかな」
と、トーマスに話しかける。確か、昨日は『から揚げ』を渡したところでログアウトしたんだっけ。と、思いながらトーマスに話しかけると会話が始まった。
「いや、助かったよ。腹が減っては門番は出来ないってね。ん? 何か叫び声が聞こえるぞ? どうやらブライトンさんの農場の方から聞こえるようだ。そうだ! 冒険者さん! 様子を見てきてくれないか? 僕はここから離れられないんだ。頼むよ?」
と、会話は終わった。クエスト表を見ると更新されている。『ブライトン農場へ迎え!』とある。マップを確認するとどうやらセフト平原を抜けた先にあるようだ。
「場所もわかったし、さっさと次のクエストに向かうか」
と、俺はブライトン農場に向かう為にセフト平原に入ろうとすると、通知が舞い込む。当然、通知の主はアンバーだ。
「おー! またインしてるね! アオイもイン率高いよね!」
とはアンバーの言葉だ。まぁそれに関しては否定はしない。ゲーマーたる者にとってはその言葉は褒め言葉も同然だからだ。とはいえ、一喜一憂するのもなんだし、俺は軽くあしらうことにした。
「そうかな? まあ楽しんではいるよ」
「今はどんな感じ? 何か手伝ってあげようか? クエスト進める? 金策でもする?」
金策も今は困ってないし、メインクエストもまだ進めたばかり。手伝って貰うことは今はないか。
「金策もしたし、メインクエストもまだトーマスに『から揚げ』をあげたばかり。次にブライトン農場ってとこに行く感じかな。とりあえず詰まったら手助けをお願いするかも。まずは色々とやってみたいから」
アンバーは手伝いたいタイプの人間だ。俺もそうだったからわかる。無下に断るだけじゃなくて、理由があるとアンバーとしては次も誘いやすいし、何ならこっちからお願いするのもいい。頼られることも嬉しいだろう。
「そっか! 次はブライトン農場なんだね! 気をつけてね! キツかったら言ってね」
「ああ、ありがとな」
そこで通話は終わった。しかし、気をつけてか……ボスっぽいな。あの言い方は。ネタバレしたくはないけど、先を知っているからこそ、ああいう発言になるのだろう。俺もかつて
「ふむ……となると準備が必要かもな。そういえば回復薬はまだだったな。とりあえず少し買っておかないと」
と、俺はセフト平原に入る前に雑貨屋で回復薬を買うことにする。いくつか売ってはいるが買うのは最低限の回復量しかない回復薬で充分……と『リバイブⅠ』を十個購入した。効力はHPを100回復するらしい。とりあえずはこれで充分だろう。
準備を終えた俺は早速ブライトン農場へ向かう為にセフト平原へ足を踏み入れたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます