第3話 最初の武器を決めてみた
「初期ステータスは決まりましたね? では次に初期装備の武器を選択して頂きます」
俺がステータスを決めたのを見計らったかのように、再度女性の声が響き渡った。
この『Lunatic brave online IV』には職というものがない。それは公式サイトで確認して知っている。『Lunatic brave online』でも同じシステムだったし、その情報があったから俺は安心してこのゲームを購入したんだ。全然知らないシステムだと久々やるにはちょっと大変かなと思ってね。ちなみにこのステータス画面に表示されている『Unique Skill』ってのは武器固有スキルのこと、ここに表示されているスキルは特定種類の武器を装備した時にしか使えないとか効果を示さない。弓系の武器を装備して『二段切り』とか何で切るんだ? って話になるしね。盾を持ってないのに、『盾回避率10%UP』とかも意味ないし。
逆に『Permanent Skill』ってのは装備している武器に依存しないで使えたり効果を示すスキル。『ファイアアロー』とかの魔法は武器に依存しないで使うことは出来るし、例えば生産に関わるスキルなんかもそう。ま、魔法なんかは杖系の武器を装備しないとその威力は目も当てられない結果になるから、魔法は武器依存って言っても過言じゃないけど……
この辺の表記自体は『Lunatic brave online』のシステムと変わってないから感覚的に覚えてるし、そう理解した。
「じゃあまずは弓だね」
DEX極の利点は命中率の高さと弓を装備した時の攻撃力補正があること。命中率の低い弓のデメリットをカバーするだけでなく、攻撃力まで上がるの。俺のプレイスタイルは遠くから敵を射抜くアーチャーってとこかな。
それに『Lunatic brave online IV』には職の概念がない。遊んでしまえば武器は選び放題となる。まあ、武器用にステータスを構築するのだから、真に強さを求めるなら一つの武器を極めるべきなのだが、スキル構成を考えれば前線で戦ったりも出来る。自由度の高いゲーム性もウリのゲームだ。
「最後に外見を決めて頂きます」
と、最後に俺のゲーム内での見た目を決めるのだが……
「宜しければこちらを参考にお選び下さい」
俺の目の前に現れる様々な容姿たち。背の高い低いだけでなく、男性の姿も女性の姿もある。顔のパーツも様々だし、目の色や髪の色も多くあるみたいだ。でも……
「これって課金コンテンツだよな?」
そう、『Lunatic brave online』には課金コンテンツがあった。他のMMORPGと違ってガチャで引いた装備だけにって、キャラの強さが決まってしまうような性格のものでは無かったが……『Lunatic brave online』の課金コンテンツは見た目装備やオシャレ装備と言われ、通常の武具とは別にその武具を装備することによって、ゲーム内アバターの見た目を変えるといった性格のものだった。
つまり金を費やせば強くなる性質のゲームではない。純粋に費やした時間や技術、知識が反映されるやり込み要素の高いゲームであった。冒険を有利にする課金コンテンツもないことはないが、経験値アップやドロップ率アップ等、課金すればすぐに強くなるような要素では無かった。だから息が長いゲームになったんだけど……
このアバターの容姿を決められるというシステムは、その課金コンテンツに似てるな、と俺は思った。
「ええ、仰る通りです」
「あー! やっぱり! あれ? でも、ここで試さなかったら一生同じアバターのままなの?」
「いえ、ゲーム内ショップで購入することも出来ます」
なるほど。アカウントの再作成とかならまだしも後で容姿を変更出来るなら、ここで容姿に課金する必要はないかな。遊んでて気になる物があったら買えばいいし、そもそも、そういうのって追加されちゃうから、今決めてもまた欲しいもの出てくるかもしれないしなぁ……それに、色々試しだしちゃうと沼にはまるのは間違いないだろうし、さっさとゲームをやりたいし……
そう思った俺は断ることにした。
「よし! 今はいいや!」
「かしこまりました。それではこちらでステータスや現在の貴方の情報を考慮してランダムで決定させて頂きます。それでは『Lunatic brave online IV』の世界をお楽しみください」
その言葉が響き渡ると同時に俺の視界は再び明るい闇に包まれて行った。
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