名も無き辺境惑星上での海戦(後編)。

「一番二番、魚雷発射」


 シュパア、シュパア。


 と同時に自艦でドラゴンと紅い宇宙船を惑星を挟む様に移動。


 スッとドラゴンと紅い宇宙船が惑星の方に移動した。


「うまくいってますわい」


 やはり戦闘の意思は少なそうだ。

 どちらかというと手をこまねいているという動き。


「ほほっ、どうやら我々を捕まえるつもりのようですなあ」

 初老の副長だ。

 

「やっぱりそう見える?」

 自分が応える。


「一番二番、通常魚雷、再装填」


 捕まらないように、そしてドラゴンと紅い宇宙船を惑星に近づけるように、同じことを何度か繰り返した。

 ドラゴンと紅い宇宙船が惑星を背負う。


「ひやひやですわい」

 繊細せんさいな操艦と魚雷の照準。

 何とかここまで来た。

 

「よしっ」


「五番六番七番、上部魚雷砲塔、閃光魚雷」

「八番九番十番、下部魚雷砲塔、電磁スタン魚雷、装填」

衝角突撃ラムアタック準備っ」

 艦の上と下に、三連装魚雷砲塔が装備されているのだ。

 魚雷砲塔がドラゴンを指向する。


「ほほ、腕が鳴りますわい」

 初老の雷撃手が言った。

「はは、老骨に無茶をさせますなあ」

 初老の操舵士が笑う。


「閃光魚雷、撃えっ」

 小林が大きな声を出した。



「んん、何かがおかしい」


「そうね」


 魚雷を撃ってくるが、命中弾ではない。

 照準が微妙にずれている。


「操縦、うまいなっ、おいっ」

 捕まえようとしてもするりと逃げられてしまう。


「なんだろう」


「何か重大な見落としがありそうね」

 ドラゴ―ニャがふと後ろを見る。

 青い星がかなり近い場所にあった。


「まさかっ、お兄様っ」

「そうかっ」


「うわっ」


 ピカッ


 至近で閃光弾が三発爆発。

 強烈な目くらまし。

 流石はドラゴンだ。

 二人の視界はすぐに戻った。


「まずいっ」


 バリバリバリイ


 三本の電磁魚雷が直撃する。


「キャアアア」

 

 紅い宇宙船の電気がショート。

 火花を散らし一瞬真っ暗になるがすぐに復帰。


「くそおお」


 ドオオオン


 自分と同じくらいの大きさの駆逐艦に体当たりを受けた。


 ”豆狸まめたぬき”の衝角突撃ラムアタックだ。 


 紅い宇宙船のモニターにお腹に当たった駆逐艦が映る。

 駆逐艦の主機関が大きな炎を出していた。


「お兄様っ」


「ああっ」


「惑星に堕ちるっ」

「堕ちるわっ」


 紅い炎を出しながら、ドラゴンと紅い宇宙船と駆逐艦が惑星に堕ちていった。 

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