第5話 報酬

それから俺と両親は、領主の屋敷へと呼ばれた!


両親は、緊張していたが俺は全く緊張しなかった。


そして、領主が話し始めた。


「初めまして。

私は、ヘザー・カンパニュラと申します。

こちらは、妻のマリーです。

君が私を助けてくれた少年かな?」


「はい。」


「そうか・・・では、報酬はいくら程をご所望かな?」


「お金ですか?」


「そうだとも。

好きな額を言ってくれ!言い値で、払うよ。」


「そうですか・・・。」


「何か不満でもあるのか?」


「いえ!不満と言うか・・・

約束が違うかなぁ〜と。」


「約束?

アッツ君と言ったかね。君は、どんな約束をしたんだ?」


「はい。僕の願いを1つ叶えて欲しい。と約束しました。」


「ほぉ!それで、君の願いとは?」


「僕を貴方達の養子にして下さい。」


「養子?

私達に子供は、居ない。こちらとしても・・・

君みたいな優秀な子が、養子来てくれるなど願ってもない話だが・・・

君は、それでいいのか?」


「はい!もちろんです。」


「だめです!!!」


母親が割って入って来た!


「アッツ!貴方は、なんて事を言うの!」


「そうだぞ、アッツ、!父さんと母さんが嫌いなのか?」


「いえ!そう言う訳では、ございません。

しかし、我が家は貧しく。

私は、自分の見聞を広めたいのです。

それには、貴族様の養子になるのが1番早いかと思い提案いたしました。」


「実に、5歳と思えない考えだが・・・

素晴らしい。

私は、君をますます養子に貰いたくなったよ。」


また母が割って入って来た!


「領主様!それは、お断りいたします。

アッツ!貴方は、本当にそれでいいのですか?

私達の子供では、無くなってしまうのですよ。」


「何を言っているのですか?母様!

僕の父と母は、あなた方2人です。

それは、養子になったとて変わりません!

ここにいる皆んながそれを覚えているはずです。

それとも・・・

僕が養子になったら母様は、僕の事を忘れてしまうのですか?

それは、とても悲しいです。」


「それは、そうなのですが・・・

毎日、会えなくなりますよ。」


「会えます。この屋敷は、家からそんなに遠く無いですから!」


「・・・。」


「なにも、心配しないでください!

それでは、領主様!

今日から僕をよろしくお願いします。」


そうして【アッツ】は、領主の養子となった。

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