吾輩はグルメである
遥風はじめ
食えぬ魚肉ソーセージ
吾輩は猫である。名前はまだない。というより今は
体がどんどん伸ばされて行く。引くに引けない状況になってしまっている。このままでは
だが普通、魚肉ソーセージを扉の収納に立てて置くものだろうか。そんな
そんなことよりどうしたらよかろう。よもやこのような事態になるとは
ばん。がん。いてっ。しゅたっ。
頭をしこたま打った。痛くて
冷蔵庫の扉は、吾輩が起こしたどさくさで、なんだか
まあ、なんだ。それは
吾輩はこの家に来てしばらくは観察、様子見に徹した。人間は誰がいるのか、人間以外のものはどんなのがいるのか、またどのような生活習慣なのか、暖かいのか寒いのか、心地良く収まれそうな所はあるのか、寝床はあるのか。きちんと把握できるまでは
この家には
このような集合住宅、ぎっしり詰め込まれているのは一見それはどうにも
あとは大体この家は
台所である。
さて、あの
魚肉ソーセージは獣の肉のソーセージと違って、
さて、
また魚肉ソーセージは、焼くのも
さらに、このソーセージに
さて、魚肉ソーセージの調理法などを
そういえば
玄関扉の錠がガチャリと回る。扉が開いて主が入ってくる。吾輩を
「ねこー、おかえりー」
おかえり!?おかえりは
「おなかすいたよー」
腹が減っているようである。
吾輩は最初、
「冷蔵庫にしまうよー」
鞄の中のがさごそが終わった
「これは今日使うやつ」
何やら一部の野菜と肉は脇のキッチンシンクのところに置いている。今夜の夕食で使うようだ。そして
これは期待が持ててきた。吾輩にくれるのであろうか。それとも今夜の
「
「だめだよー、これは、ねこにはあげられないんだよ。添加物が色々入ってるからねー」
添加物など知らぬ。吾輩は魚肉ソーセージを
「だめだよー。これは人間用だからね。ねこにはあげられないよ」
駄目なのか。添加物というのは一体何なのか。そんなに駄目なものなのか。吾輩としてはここまで語っておいて食えぬとなると、あとはもう
ところが
「んー♡、んぐんぐ♡」
主はそのまま風呂に入るようだ。浴室の方へ行き着替え始めた。吾輩は座布団の上に丸まり、ふんと溜め息をついて、猫の手の上に顎を乗せた。風呂に入る前につまみ喰いをするとは、余程腹が減っていたと見える。
まあ本人が
見届けなければならぬ。
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