Tokyo Final ――東京決戦――
フィエスタとi20がほぼ重なり、タイヤひとつ遅れてミラージュ。
龍一もしまったと思ったが、どうしようもない。頑張って追いつくしかない。
橋が終われば左の中速カーブ。アウト側にブロックがあり、膨らみ気味なラインを描いてブロックをノーズにぶつける。その次はイン側にブロック、これも壊して、直線の下り坂。やや坂の段差があって、軽くジャンプしそうになるのだが。その坂のはじめの、右側にブロックがある。
アクセル全開で突っ込めばブロックを飛び越してしまうので、ブレーキを軽く踏みフロントに荷重をかけ、ジャンプをしないように下り坂に入り、ブロックにぶつかり壊して、下り坂を駆け下る。
3台ともブロックを全て壊しているから残り時間は同じだが、タイムは、ミラージュが少し遅い。橋でペースダウンをしたのは痛かった。
下り坂が終われば、森林区間を終え草原区間に出る。右のヘアピンカーブ。それから上り坂で左右のS字。ヘアピンカーブ自体はさほど難しくはないが。カーブのイン側にブロックがある。ノーズをぶつけられるよう、早めのタイミングでターンしないといけないが、早すぎればノーズをブロックの奥の木にぶつけてクラッシュだ。
「あッ!」
フィチは思わず呻いた。リアが流れすぎオーバーステアを出してしまい、後れを取った。それと同時にミラージュが追いつく。
「っしゃッー!」
控えめに優たちはガッツポーズをする。ウィングタイガーの2台が遅れ、そのまま行ければヤーナの勝利だ!
対するウィングタイガーは言葉もなく、重い沈黙が降りる。
「もうすぐ終わり……」
優佳はぽそりとつぶやいた。コースも半分を過ぎ、ゴールは迫る。フィエスタが頭ひとつ前で、ひたすらにゴールに迫る。
上り坂のS字を駆け上がりながらブロックを壊してゆく。その先に、左のヘアピンカーブ。思いっきりアウト側にブロックが置かれている。
フィエスタは膨らむようなラインを描いてブロックに迫り、タイミングを見計らってハンドブレーキを引き、リアをスライドさせてターンし、リアテールでブロックを壊そうとする。
……が、しかし。
「しまった!」
ヤーナは呻いた。
無情にも、振られるリアテールは、空振り。
「……!」
今度はレッドブレイドのメンバーたちが無言で固まった。
i20とミラージュはうまくターンし、リアテールをブロックにぶつけて壊し。加速してゆく。
フィエスタは空振りをしたまま、走り続ける。バックして壊せばさらに遅れてしまう。
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