Tokyo Final ――東京決戦――
ディスプレイに表示される順位表の順位は、先頭こそフィエスタなものの、i20とミラージュもしぶとく食らいついている。
3台きれいに編隊走行をしているようでもあった。
「……思った以上に食らいつかれているな。ってゆーか、思った以上に飛ばしすぎじゃねーか?」
裏でメンバーとともにノートPCを眺める優は、ぽそっとつぶやく。
レース前、ヤーナは、
「ぶっちぎりだよ!」
と威勢のいいことを言っていたものだったが。
「飛ばしますねえ」
優佳がはらはらするように言う。ソキョンたちもうなずく。
i20とミラージュがかなりのハイペースでフィエスタを追う。ディスプレイに表示されるタイムは、予選のときより半秒ほど速い。
「最初からガンガンいって、Honey Bearにプレッシャーを掛ける、って龍一言ったけど」
「イチかバチかの一発勝負、ですね……」
逆転の機会は、この第2レースにしかないから、なおさら後悔しないよう、馬鹿正直にガンガン頑張りたいと、龍一は言ったものだった。
相手のミラージュカーは見えないが、ディスプレイには順位表があり、タイム差も表示されている。順位こそまだ変わらないものの、タイム差は詰めている。
100インチ大型ディスプレイやウェブ配信では、3台の拮抗した走りが映し出されて、時には重なっているようにも見えて、第1レース以上に互角の闘いを見せていた。
「……くッ!」
ある左中速カーブで、ミラージュのリアが流れ大きくカウンターを当てざるを得なかった。カウンターを当て、ミラージュは派手なドリフトを決めたように見えるが、そうではない、ミスをしてオーバーステアを出してしまったのだ。
どうにか立て直したものの、1秒以内のところにいたのが、そこから離れてしまった。
「……Honey Bearより自分にプレッシャーを掛けすぎちゃったみたいね」
ソキョンは眉をひそめてしまう。
と思ったら、
「……あッ!」
とある右ヘアピンカーブで、フィエスタは突っ込みすぎ、やむなく急ブレーキを掛け、大幅な減速を余儀なくされ。立て直してカーブをクリアするも、ミラージュに追いつかれi20に少し引き離されてしまった。
順位表のタイム差の変動から、フィチと龍一はヤーナがミスったのを察した。
「作戦効いてる!?」
ソキョンたちの心にわずかながら希望が芽生えた。
(だめだ、これ以上飛ばしてたらもたないッ!)
i20のペースが落ちた。いや、それまでが飛ばしすぎも飛ばしすぎだったのだ。
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