Tokyo Final ――東京決戦――
ホテルはチームで予約してあり、龍一、優佳に、フィチとソキョンたちはそのホテルで合流する段取りだった。
金曜の夕時だった。
Forza E World GP以来の再会だ。ホテルのレストランでテーブルを囲み、再会を喜び談笑の花を咲かせた。
翌土曜日の朝。身繕いと朝食を済ませ、マイクロバスに乗り込む。
アリーナまでは手配したマイクロバスで送迎されることになっている。
(東京は、都会だなあ)
地方在住の龍一は、東京の規模に毎度感心させられてしまっていた。本当に同じ国なのか、と思ったりもした。
アリーナは、この土日はPC及びゲーム機器の展示会が開催され。大会はその一角で日曜日の午後1時半開始の予定だ。
「おおー」
思わず声が出る。到着し、アリーナに入れば、参加各社のブースの装いのきらびやかさや来場者の多さや賑わいに、思わず感心させられる。もちろん、まだコロナ禍なので、入場にはマスク着用が義務付けられているので、来場者やスタッフはマスクを着用していた。
(やっぱり東京は、違うなあ)
展示会場の一角とはいえ、これはまたギャラリーも多く盛り上がる大会になるのではと想像させられた。
(ってゆーか、オレ田舎者丸出しだなあ)
ふとふと、そう思った。
大会が開催されるブースにやってきた。大きな黒いパネルが並び、中を隠している。まるでブースが大きなブラックボックスのようだった。
この中に、大会で使用するシムリグがあるという。
ほぼ同時に、赤い装いの一団がやってくる。レッドブレイドだ。
それぞれが目を合わせ会釈しざまに、火花が散るような弾けたものが空気中に漂った。
ヤーナは半そでシャツで左腕のファイヤーパターンのタトゥーを惜しげもなく披露している。会場内は暖房も効いているので、半そででもいられる。
多くの人々は儀礼的無関心で通り過ぎてゆくが、内心注目してしまっていた。が、中には、
(あ、シムレーサーのハニーベアだ!)
と気付く人もいた。タトゥーが目立つので気付きやすい。だが幸いに、これも気遣いのスルー。おかげでわずらわしい思いをせずに済んだ。
大会主催のスタッフもおり、その代表の人物の、スーツ姿の女性が両チームに対し会釈する。
「はじめまして。試合を主催するHOM電気(エイチ・オー・エムでんき)の代表取締役、北条えいこと申します。どうぞよろしくお願いします」
龍一の母親くらいのその女性、北条は丁寧に会釈し挨拶をして。
チームメンバーもそれぞれ、自己紹介しながら、こちらこそと挨拶を返した。
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