New Challenge ――新たな挑戦――
ウエールズのダートの、曲がりくねった、あるいは高低差があってジャンプもするコースだが。さっきのようなジャンプ台のすぐ後ろや、コーナーのアウト側にあったり、蛇行をさせるようにコースの両端に交互にと、ブロックことゲートが置かれて。
ヤーナは巧みなハンドルさばきを見せて、ゲートを粉々に砕いてゆく。
そう、ゲートクラッシャーとは、ゲートと呼ばれるブロックを壊しながら走る、ゲームならではのレースモードのことだった。
ディスプレイに出ている数字は残り時間だ、最初は3だから、残り時間3秒からはじまり。ブロックを壊せば残り時間が2秒加算される。もしこれが0になれば……。
「あッ!」
フィエスタは余分に膨らみ、コースアウトし、崖に落ちた。幸い浅い崖で、どうにか復帰できたが、残り時間は3秒になった。
「Мы влипли……」(ムイブリープリ・失敗した)
なんと、復帰の途中で岩に当たり、あろうことか右のフロントのタイヤがパンクしてしまい。ペースを上げられない。残り時間は容赦なくカウントダウンされ。
ついに0となった。
画面は暗くなり、Do not finished(リタイヤの意味)の赤い文字が表示される。
「日暮れて道遠し……」
優は苦笑しながら言う。
「ごめん、油断した……」
「むう。まあ、これがゲートクラッシャーの怖いところだな」
コーナーのアウト側に置かれたゲートを壊そうとしたが、スピードコントロールをミスして膨らみ、壊したはいいがコースアウトしてしまったのだ。
通常ならインのラインをなぞって走るところなのだが、ゲートを壊して残り時間を増やさなければならないから……。
「ゲートクラッシャーの勝敗は、残り時間で決まるからな。速さだけじゃなく、上手さも求められる」
速く、かつ確実にゲートを壊して時間を増やしていかなければいけない。
ラリーマスターズ4・ジャパンカップは、3つの課題コースがある。
まず1つは、ウェールズの草原と森を駆け抜ける16キロのダートの林道コース。時間設定は昼。
2つ目は、スペインのターマック(舗装路)コース。これも長さ16キロ。時間設定は夜。
3つ目は、ウェールズの最初の5キロ区間を使用するゲートクラッシャーモード。時間設定は夕方。
それぞれに順位に応じたポイントが与えられ、そのポイントの合計で最終的な順位が決まるルールとなっている。
1位は7ポイント、2位は5ポイント、3位は4ポイント、4位は3ポイント、5位は2ポイント、6位は1ポイント、となっている。
目指すは21ポイントを獲っての総合優勝だが、さて……。
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