4、神秘との対面

 彼女が鉢植えを持ってきた。なんだか嬉しそうだ。


「エルさん、新しい芽が出てきました。生命の神秘ですね」


「この前、種を蒔いたからね」


「理屈では理解できますが、不思議です」


 土から顔を出した青々した芽を、彼女はまじまじと見つめる。目が好奇心に輝いているように見える。


「そんなに興味あるの?」


「あります。細胞増殖の妙というものですね」


 やや興奮したように彼女は強く頷いた。


「じゃあ、お世話してみる、それ?」


「いいんですか?」


「うん。きっと学べることも多いと思うよ」


 彼女は鉢植えを胸に抱いた。


「やったー」

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