世普 抄
川上世普
2022年12月30日
僕は何もかもが大嫌いなんだ。
なんでかって?
それは、苦手なものを嫌いだと決めつけるから。
嫌いだったらしょうがない。だから距離を置くことができる。
ずっとずっとそうやって、自分を守ってきた。
逃げることで、生きながらえた。
でも、もう無理なんだ。
嫌いなものが増えすぎてしまった世界には、もう僕の居場所はなくなってしまう。出会うものすべてが嫌いなもので、もうにげることなんてできやしない。
「きょうだい児」で十分に愛を享受できなかったから、ずっと愛してくれる人なんて信じることができない? いやいや傲慢すぎるだろ。そんなことは一切ない。妹は何も悪くない。健康な身体をもって、自分の事ばかりでしかも恋愛とかどうでもいいことで悩んで情けない。情けない。ほんっっっとうに情けない。
知ってるよ。全部人のせいにしてばかりでさ。悩んだって、今の僕がダメな理由を過去の自分に押し付けて楽になろうとしてるのなんてさ。
ああ。もう期待に応えるように生きるのなんて疲れた。
別に勉強なんて得意じゃないし好きじゃなかった。
もう何もかも投げうって、嫌いなものだらけの世界に生きてきたのに。
……はは、結局これも悲劇のヒロインだとか言われて罵倒されるんだろうな。
いいや、どうせ世界は僕になんて興味ないんだし、苦しんで生きよう。
「普通」の人生を歩みたかったな。
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