勝つためではなく、負けないための行動
1組:6615点 ※落とされた回数:1回
2組:1285点
3組:10435点 ※落とされた回数:2回
4組:1850点 ※落とされた回数:1回
拠点は落とされてから2分間は落とされる事は無い。というのも、その間は杯玉が無敵になるのだ。よって、4組、3組、1組の拠点がほぼ同時に落とされた今、点数が大きく動く事は無い。この隙を狙って3組は人を集め、緊急作戦会議を開いていた。
「今後の作戦を伝えるぞ。まずみんなに知っておいてほしいのはここからは『勝つためではなく、負けないための行動』が必要って事。今から伝える作戦は、負けないための戦略であり、優勝する為に欠かせない事だ」
一呼吸おいてから、俺は具体的な話をする。
「ここから負ける可能性は3つある。一つ目は俺達の拠点が落とされる事だ。当たり前だが、こうなれば逆転される。2回落とされてる今、杯玉のHPは最初の2倍以上になっている。である以上、そうそう落とされる事は無いと思うけど、防衛に専念する必要はあるだろう。特に異常状態や拘束魔法持ちには注意したい」
「睡眠魔法とか土魔法だね。あと、オバケダコみたいな攻撃とか」
合いの手を入れてくれたのは七瀬さん。凄く助かる。
「ああ。俺達が使えるんだ、敵だって似たような手段を持っていると考えた方が良いだろう。という訳で防衛斑は準備を整えて。あと、固定砲台は所定の位置に」
「「「了解~!」」」
「次、二つ目の負ける道筋としては、1組がどこかのクラスに二回以上落とされる可能性。4組が1組を二回落とせば、その時点で逆転されるからな」
「それを阻止ししないといけない、と」
「そう。ただ、1組を2回落とすのはかなり大変だ。もう既に俺達が一回落として、HPが増えてるんだ。そこから、もう二回落とすのは、無理があると思う。一組も抵抗するだろうしね」
もちろん、1組が「どーぞどーぞ、うちらの拠点を落としてくだせえ」なんて行動に出たらもう2回落とされる可能性はある。けど、1組だって2位を死守したいはずだからな。
「そして最後。1組が2組に単独で落とされ、その後2組を1組だけで落とした場合も俺達が負ける」
「あーなるほど。まだこの可能性の方があり得そうだね」
「そう。そして、それを阻止する為の行動をする。まず2組を一回落とす」
「了解だよ! すぐにでも出発?」
「いや、焦らなくて大丈夫。最後まで聞いてほしい。2組の杯玉を倒した後は、4組を落とす準備をする。ここで分岐だ。4組が抵抗するようなら、1組を落とす方向に切り替える。4組が抵抗しないなら4組の拠点内で待機だ」
「分かったわ」
「じゃあ、行くか!」
◆
その後の試合展開はこうだ。まず、2組は俺達の攻撃に抵抗しなかった。ここで3組が点数を増やそうが、ぶっちゃけ焼け石に水だ。むしろ、自分達の拠点のHPが上がるのだからラッキーと考えたのだろう。
1組:6750点
2組:1405点
3組:10470→11875点(+1405)
4組:1930点
その後、4組に攻め入った俺達。そこには3人の女性が待機していた。
「リーダーから伝言です。1組を落とすのをサポートして貰えるなら、抵抗しないとのことです」
「ここに3組が来るのを読んでいたのか。驚きだな」
「いえ、可能性程度にしか考えていませんでしたよ」
なるほどな。
俺達は攻撃班を二班に分けた。2組攻撃班と4組内待機斑だ。
その後、2組と4組による1組攻略戦が始まったのだが、2組は3組に妨害された。2組は前後から攻撃され、四苦八苦する事になる。
1組:6840点
2組:1680→2892点(+1212点)
3組:12015点
4組:2110→7738点(+5628点)
直後、4組内で待機していた3組が4組を落とした。再び点数が動く
1組:6840点
2組:2892点
3組:12015→19753点(+7738)
4組:7738点
この時点で残り7分。
◆ Side 4組 ◆
「本当に3組に点数を譲ってよかったのか?」
「ええ。1組の所為で3組の勝利は確定になったわ。正直、逆転のビジョンが見えなかった。ならせめて、確実に2位になる手段を講じるべき」
「それもそうか。今、5千点近く手に入ったのも3組のおかげだし……」
「ここで3組とも対立していたら、確実にこうなってたはず」
1組:6840点
2組:1680→3960点(+2280点)
3組:12015→14295点(+2280点)
4組:2110→4390点(+2280点)
「ああ……3位になってしまうのか」
「ええ。今の方がマシでしょ? しかも、拠点が落とされたって事は」
「俺達は防衛に振るリソースを減らせる」
「そういうこと」
「なるほどなあ。で次の行動は……」
「どうするのが良いと思う?」
「少し現状を整理させてくれ」
[現状整理]
1組:6840点 ※2回落とされている
2組:2892点 ※まだ1回
3組:19753点 ※2回落とされている
4組:7738点 ※2回落とされている
「俺達の勝ち筋は……1組をもう一回落として2組をもう二回落とす……?」
「無理ね。1位は諦めて2位を死守する方向を考えてみて。今の私達に必要なのは『勝つためではなく、負けないための行動』よ」
「なら……。今一番の脅威は1組。1組が2組を落とせば逆転される」
「そうね。だから、2組を落とすわよ!!」
◆
残り4分の時点で2組が落ちた。
そして最後。一発逆転を狙って、1組、2組、4組が俺達3組を倒しにきたが、余裕でやり過ごす事が出来た。
[最終結果]
1組:8425点 ※2回落とされた
2組:3242点 ※2回落とされた
3組:23333点 ※2回落とされた
4組:10123点 ※2回落とされた
3組、予選突破だぜ!
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