日常の一コマ、入学式の日の夕方
仲良くなった男子たちと一緒に、夕飯を食べる事になり、フードコートへと向かう。
「色々あって悩むよなー。何食べる?」
高校生用の食堂とは思えないほど、多種多様なご飯にありつけるフードコート。何を食べようか考えていなかったので、
「俺はラーメンかな」
「なるほど」
「めっちゃ美味いぞ~! 昨日は豚骨とバター醤油を食べたんだけど、どっちも文句なしに美味しかった! 麺の硬さなんかは選べないけど、俺は満足だったな」
「ほう! バター醤油かぁ! それは美味しそうだな! うし、俺もラーメンにしようかな!」
「じゃあ俺もラーメンかな」「俺も」「僕も」
俺達の会話を聞いていた他のメンバーもラーメンに興味がわいたようで、結局その場にいた全員がラーメンを食べる事になった。前世では、こんな風に友達と飯に行く事は無かったから、新鮮である。いや、前世でも特別陰キャだった訳じゃないぞ? ただ単に、一緒に行動するとかそう言うのってだるいなあと思っていただけなんだ。それって陰キャの考え方だって? 言うな。
それはともかく、この世界に転生してからは、少し人との関わりを増やすようにしている。特別陽キャになるつもりはないけれど、前世のように友人関係を面倒とは思わないようにしているのだ。それはそれで、苦労もあるが、楽しいと思う。
こうして社交的になれたのは、俺が成長したからなのか、それとも俺がゲームの主人公になったからなのか……。いずれにせよ、この生き方も楽しいかな?
席の確保をしてから、ラーメン屋に並ぶ。なかなか繁盛しているようで、数分待つ必要があった。ようやく俺達の番となり、俺はバター醤油を頼む。
そして、伊藤はと言うと……
「俺は味噌ラーメンとつけ麺でお願いします!」
「「「え?」」」
「ああ、俺、結構沢山食べるんだ。気にしないでくれ」
なんとなんと、伊藤は二人分注文したのだ。俺達はギョッとした顔で伊藤を見たが、彼は何という事も無いように注文してのけた。
「まさか、さっき『昨日は豚骨とバター醤油を食べた』って言ったのは……」
「ああ、両方とも夕食に食べたんだ。ちなみに、俺はこのフードコートの全てのレシピを網羅しようとしている所だ!」
「「「ほえ~」」」
その後、席に着いた俺達は、ほぼ同時に食事を開始したが、一番最初に食べきったのは伊藤だった。二倍の量を俺達よりも早く食べきるとか大丈夫か? 体に良くないぞ……?
「ふう。それじゃあ、俺はおやつにドーナツを買ってくるよ」
「「「ええ……」」」
◆Side 七瀬アヤ
私達は仲良くなった女子たちと一緒にフードコートへ向かった。今日は入学式で、初めてクラスメイトと対面した。フォルテメイアは普通の高校とは違う「ちょっと特殊な学園」だけれども、そこに通う学生は普通の高校生らしい子が多いので、安心している次第だ。
なお、一部に腐女子がいた。一部、そういう子がいるところも、「やっぱり普通の高校と変わりないな」と思った
「ねね。そー言えば、出席番号一番の男の子と仲良さそうだったけど、知り合い?」
「それ、私も気になった! 第一印象は優しそうな見た目ね。それと、勝手なイメージだけど、料理とか上手そう! 疲れたクラスメイト達に『召し上がれ!』って手作り弁当を差し出して……! それで男子たちが『違う違う、こいつは男子だ! ……でも』って! ぐへへへ。妄想が捗るわ!」
「その笑いはちょっと引くわ……」
「あははー。駅から学校に向かう途中、スーツケースをぶつけちゃってさー。それ以降、時々喋ってるの。同じ寮ってこともあってさ」
「なるほどねー。同じ中学とかそういう訳じゃないのね」
「違う違う。ほんと偶然知り合ったってだけ。あ、ちなみに、料理は上手いみたいだよ。前にケーキを食べさせてもらったけど、すっごく美味しかった!」
「……そういえば、第2寮でケーキを作ってる男子が居たような? それが彼?」
「第2寮ならそうだと思うわ。第2寮でキッチン使ってるの、彼ともう一人女の子くらいしかいなかったと思うし」
「もう一人……? ああ! あの、不思議な雰囲気の女の子?」
「そうそう」
「ねえねえ! 第2寮じゃない私達が置いてけぼりなんだけどー! どういうこと?」
「えっとね。共有キッチンってあるじゃない? 赤木君は、そこで時々ケーキを作ってるの。写真撮ってつぶやいたーに投稿してるの」
「ちらっと見たけど、クオリティーも高かったわ! いつか食べてみたいなあ~」
「へーー! つまり、私の妄想は正しいという事ね!」
「「「それは違う」」」
その後、私はその日はグラタンパンとドーナツを食べた。とっても美味しかった!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます