ベンザイテン
ひまり
愛が実までの物語
プロローグ
「お願いします!」
俺は叫ぶ。目の前の女の子へと。
「え、嫌です」
いや、否定される可能性は想像してたけどもこんなバッサリいかれるとは……
普段の俺ならここで折れてしまっているだろう。
だが、今はそういうわけにはいかない。
こうなったら……一か八かの強硬手段だ!
「俺……」
「?」
「生田目さんがいいっていってくれるまでここ、どきませんから!」
俺は人の家の玄関先へと居座る。
迷惑極まりないだろう。
「うーん。そうはいってもなぁ」
目の前の女子中学生は長い黒髪を人差し指でクルクルしながら感情が皆無といった声でいう。
「まぁ、寒いでしょ?上がってってくださいよ」
……本当に掴めない人だ。
でも、今は十二月中旬の夕方、この好意は素直に嬉しい。
「お邪魔します……」
「はい」
彼女は━━生田目愛さんはまっすぐと俺を見つめてきた。
彼女の目つきが怖いと、業界では有名だが、その時、彼女の座った目の中にある桃色の瞳の輝きを見た俺は、あまりそうは思えなかった。
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