1+1は2にはならないことを、僕は証明した
Kitsuny_Story
第1話
「おーいお茶のペットボトル」これが待ち合わせの目印だった。メッセージだけのやりとりを一ヶ月ほどして、明日初めて相手に会う。お互いのことが分かるように、共通の持ち物を決めておく。そうすれば、人混みの中でも相手を見つけることができる。二人だけの秘密の暗号なのだ。僕らにとっての秘密の暗号は「おーいお茶のペットボトル」に決まった。
「それでは明日十一時に大和西大寺駅の改札前で。僕は白いジャケットに黒のズボンを着ています」僕が掲示板に書き込むと、すぐに相手から返信が来た。
「了解です。私はベージュのコートを着て行きますね」
僕はワクワクしながら銀色のガラケーを半分に閉じた。顔を上げると、いま自分が町の図書館にいることを思い出す。机の上には解きかけの高校の課題が広がっている。周りは静かに本を読んだり探したり、そして椅子の上で居眠りをしている者たちが整然と鎮座していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます