第3話 戦闘指数






超スピードで移動し続けること数時間、どれくらい進んだのだろうか。


私は並走するリリに目配せをすると、いったんその場で足を止めた。




辺りはすっかり闇に包まれており、光魔法を使用していなければ1メートル先も見えない状況だ。





私は『千里眼』スキルを使うと、今いる場所を確認する。






「随分、進んだ」


「うん。マルヴィン王国の隣のアスラーニ王国まで来ちゃったみたい。あと30分位で王都までいけるかも」


「それは、あり」






行き先を決めないまま進んだ私達は、いつの間にか隣国の王都近くまで来ていた。


これは私達だからできることであって、本来はここまで来るのに馬車で2週間はかかる距離だ。






「あれ?近くの村が盗賊に襲われてるみたい」




『千里眼』に近くの村に盗賊がいることを示すアイコンが20人程表示された。





「助けに行く?」



「知っちゃったからには、行くしかないよね」




私の返答に、リリはその可愛い顔からは想像できない悪魔の笑みを浮かべると、『亜空間収納』から自慢の大剣を取り出した。


この大剣は前世でマルティナが使っていたプラチナソードを真似てリリが作ったものだ。



ただ、苦労してプラチナ鉱石を見つけたはいいものの、プラチナを扱える鍛治職人が見つからず、素人のリリが打ったので正直使い物にならない。




リリはそんなのお構いなしに自分の身長より長い大剣を肩から斜めがけにすると、満足気に笑みを浮かべる。





「行くよ」


「準備、万端」




私とリリは村に向かって超スピードで走ると、1分足らずで村まで到着し、村人1名と対峙する20人の盗賊の間で止まった。





「な、なんだこのガキは!!どこから来やがった!?」


「村のガキか?どちらにしろ、この辺鄙な村に上玉のガキがいたのはラッキーだったぜ」





盗賊の言葉を無視し、私は辺りの状況を確認する。

1つの建物に女性や子供が避難していることと、村の男性30人が毒状態で倒れていることが分かった。






「毒・・・。毒を盛られたの?」



「そ、そうだ・・・」



後ろにいる村人の男性に聞くと、悔しそうに地面を殴りながら答えてくれた。







「ガーハッハッ!!そうさ、この村は男しか酒を飲まねーからな、2日前、酒に仕込んだのさ」



「そいつは酒が飲めねーみたいだな。少しだけの時間、命拾いしたな」





私と村人の会話を聞いていた盗賊達は高らかに笑った。


盗賊とはいえ、人数的には村人の方が多いことを計算しての行動かもしれない。



以外と頭が切れるのかな?






「へっへっへ。少し脅かしてやるかな」



盗賊の1人がそう言うと、リリに向かって走り出し、剣を上から振り下ろした。





パキンッ




リリは自慢の大剣を抜いて盗賊の剣を受け止めるが、プラチナソードは無惨にも折れてしまう。




「はーっはっはっ!!お嬢ちゃん、剣が折れちゃったね?」


「はーはっはっ」





見守っていた盗賊達は腹を抱えて笑い出す。


やはり盗賊は盗賊。

お馬鹿に変わりなかった。






「鍛冶職人への道は、まだまだ」




折れた剣を見つめながら呟くリリの足元で、襲ってきた盗賊はピクリとも動かない。


剣が折れた瞬間に、普通の人間では見えない高速のパンチをリリは繰り出していたのだ。






「お、おい、あいつ倒れてるぞ・・・」


「どうなってんだ??」




動揺する盗賊達を無視して、私は20本の稲妻の槍を頭上に作り出す。




「ま、魔法使いか!?」


「無詠唱だと!?」


「おい、メーター持って来い!!」






ボス風の男が指示を出すと、部下が水晶タイプのメーターを持ってきた。



メーターは相手の戦闘指数を測れる機械であり、高価な物であるため、通常、貴族が持っているか、ギルドで取り扱うのが一般的だ。


きっと、どこぞの貴族から盗んだものだろう。





盗賊が水晶メーターを私に向ける。





「は・・・、嘘だろ・・・」


「ぼ、ボス??」



「戦闘指数、じゅ、159,030・・・」


「15万!!や、やばい、やばい」


「逃げろー!!」





盗賊達は一斉に逃げ出すが、私が見逃すはずがない。




前世で学んだこと



悪には悪で、甘さは一切、必要ない







【ライトニング・スピア】







私の手から放たれた稲妻の槍が盗賊全員に突き刺さり、先程までの喧騒が嘘のようにその場が静まり返った。






「あ、あの・・・、ありがとうございました」




村人がお礼を言ってくるが、表情は暗い。

周辺で倒れている村人の男達を見れば、手放しで喜べないのは当たり前だろう。



だが、『千里眼』で捉えた村人達は、まだ死んではいない。


解毒ポーションを利用しても回復できない程、毒が全身を侵食しているが、私とリリなら助けられる。





「リリ、夜の営業開始するよ」



「了解と告げる」





私は村の空き地に『稼働ハウス』を出すと、村人に「村の人達を助けたいなら、中に入ってきて下さい」と告げ、リリと一緒に中に入った。










▪️戦闘指数




この世界では、『鑑定』スキルを用いても人のレベルや攻撃力等、個々の詳細能力を見ることができない。


メーターは、HP・MP・攻撃・防御・魔力を足した値を算出する機械。



恐らく、先程の盗賊の戦闘指数は、500以下・・・。





みなさんには、ミミのステータスを見せておきますね。








◇◇◇ミミ◇◇◇


Lv509

HP:16,970

MP:解放前

攻撃:23,200

防御:18,500

魔力:100,360


戦闘指数:159,030




好きなタイプ:優しいぽっちゃり男子



『加護』悪神の飲み友










★★★★ ★★★★ お知らせ★★★★ ★★★★



今後の更新頻度、話数の参考にさせていただきますので、是非、感想や★マーク、どんな形でもいいので教えて下さい。


また、今後の更新間隔は現段階で未定のため、ブックマーク後に通知機能をONにして待っていていだけると嬉しいです⭐︎

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