第2話

 朝起きる。家を出て学校に行く。授業を受けて家に、、


「…るのか?聞いてるのか本宮!」

「帰るっ! すんません、聞いてませんでし

 た。」

「もういい、お前もう帰れ。」


 ため息混じりにそう言う国語担当の松井先生の顔を見ながら、帰れるならラッキーと思った俺が馬鹿だった。


「帰れと言われて帰るやつがおるか馬鹿!」


 口はちょっと悪い松井先生にも今回はすまないと思っていたのに、まさかアニメで見るような馬鹿なやり取りでグチグチ怒られるとは。


「直人~お前やっぱ面白いな!

 普通いないって帰れって言われて帰るやつ」


「俺も帰れるじゃん、ラッキーとしか思ってなかったし、俺がまさかこのやり取りに引っかかるとは思ってなかったわ~」


 俺が話すのも唯一友達と呼べる凪斗だけだった。話題は最低限でいいし、無駄に話に突っ込んでこない凪とは気が合うと思ってるのは俺だけだろうか。


「そんなこといいから早く帰ろーぜー」

「そんなこととしか思えへんからお前は怒られるのがわからんか?」

「うわっ、」


 そこに立っていたのは、いかにも鬼の形相という言葉が似合うくらい機嫌の悪そうな松井先生だった。


「うわってなんやおい!

 ったく、本宮はこれ配ってから帰ること」


 そう言って渡されたのは山積みにされたプリント、だけどやっぱりそうだ。松井先生は口が悪いだけでいい教師してる。バラバラだったはずのプリントが番号順になっているのを見ながらそう思う。


「じゃあ、さっさと終わらせて帰るから凪は、、って」


 そこにはもう凪はいなかった。手伝わされると思って帰ったんだろう。

 松井先生の気が利いた行動のおかげで5分とかからずに俺も帰れた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

君がくれた色を次はあなたに 天野三日月 @amanomikaduki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ