LIVING BY NECK HUNTING sidestory 螺旋状の正義

SEN

LIVING BY NECK HUNTING sidestory 螺旋状の正義

LIVING BY NECK HUNTING sidestory 螺旋状の正義

台本:SEN  女3:男3 所要時間:約40分



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登場人物


フラス(37歳・男)

リヴィア帝国七騎士団団長総司令【義心】のフラス。正義とは何かを常に考えて行動している。口数は少ないが剣の腕は達人クラスで頭もきれる。彼の実力を見たものは少ない。


サリア(28歳・女)

世界法諜報員、兼。傭兵インペリアルツヴァイのサリア。【疾風】のサリアと呼ばれる程の居合の達人で自分に厳しくいつも己に負荷をかけ生活している。メスクとリタワの傭兵として同行している。


メスク(34歳・女)

世界法、法王庁代表兼、エフナ大陸の国々での行いを把握し指揮している。平和的な考えでありより良い平和を願う。ヘッドハンターズの考案者の一人である。


リタワ(36歳・女)

世界法、法王庁諜報員の総指揮を指揮する。インペリアルツヴァイや数多の傭兵団を指揮し軍も持つとされている。ヘッドハンターズの考案者の一人である。


ズイル(46歳・男)

政王庁長官。この大陸での政治的指揮権、民の行いを全て指揮している。元高貴な貴族だったが裏金や悪事を行い取り入って王族入りし今の座を勝ち取った。


モイト(78歳・男)

リヴィア帝国七騎士団長の一人【毒司】のモイト。毒薬の使い手。剣技は全くだめだがいつも二手三手先を読み毒薬での勝利を収めて来た。フラスの世話係をずっとしてきた事もある。








本編↓







フラスN

この国は腐っている・・・大国オアスに勝ち大陸制覇をしてからというもの、敵が居なくなったリヴィアはまさに…愚者共の甘い汁を吸うだけの巣窟と化していた。


そんな国を俺は望んではいない。国、内部での足の引っ張り合いなんざ吐き気がする。時間の無駄だ何も進歩しない・・・変えないといけない。誰かが。……誰か?…否。他人に任せてこの俺が果たして納得するだろうか?


母と約束した理想の平和に・・・他者に任せて叶うというのか?いつまでも甘い考えを持つのは辞めだ


俺が変える。この腐れきった政治を法律を武力を国家を民を・・・俺が変える。これは大々的に目立つ革命ではない。


いつまでも続く偽だらけの…螺旋状の階段のような正義はいらない。ただ真っ直ぐに、寄り道せず。自分の信じる正義を貫いてやる。


その為には・・・






リタワ

「さて…揃いましたかな?」


メスク

「そのようだ」


ズイル

「でぇわ…始めようとするかのう」


サリア

「いつでもどうぞ」


リタワ

「では、進行役をよろしいかの?フラスくん」


フラス

「私が…ですか?」


ズイル

「君以外誰がいるというのかねぇん?ぁん?」


フラス

「……畏まりました。では、始めていきたいと思います。改めて各自自己紹介からよろしくお願いいたします。まずは私から…リヴィア帝国七騎士団団長総司令、フラスと申します。貴方方の警護と騎士団長及び全兵士代表としてこの場に参加致します…そして」


モイト

「同じく…リヴィア帝国七騎士団団長の一人。モイトと申しますじゃ」


サリア

「貴公はともかく…なんでこんなジジイまでつれてくるの?いくら七騎士団だからといって理由がないんじゃない?」


メスク

「ふふっ…まったく」


モイト

「……」


ズイル

「大事な大陸間の会議でもあるんだ…考えてくれないかフラスよ」


フラス

「考えての事です」


リタワ

「ほぅ?ならばお教え願おうか」


ズイル

「説明したまえ」


フラス

「このモイトは毒に対する嗅覚が非常に優れております…後の説明は?必要ですか?」


サリア

「……わかったわ。そこまでの配慮だったか」


ズイル

「なるほど…その為のモイトか。理解した…そこまでの警戒見事だ。フラスよ」


フラス

「お褒めの言葉ありがとうございます。では自己紹介を…ズイル様から」


ズイル

「えぇ~…リヴィア帝国、政王庁長官のズイルだ。この大陸での政治的指揮権。民の行いを全て指揮しておる」


メスク

「世界法、法王庁代表兼、エフナ大陸の国々での行いを把握し指揮しているメスクだ。そしてこちらが」


リタワ

「世界法法王庁諜報員の総指揮をとりますリタワです」


サリア

「同じく世界法諜報員、兼。傭兵インペリアルツヴァイのサリアだ。いつもはもう一人キギアというの者が居るのですが今は他の任務についているので休みです」


フラス

「紹介ありがとうございます。皆さまお集りいただきありがとうございます。リヴィア王は変わらず病に伏せられておりますので今現在のリヴィア全ての指揮権は私とズイル様にありますのであしからず」


リタワ

「あら?リヴィア王には確か一人息子が居たような?その方はどうされました?」


メスク

「あぁ…シマク王子でしたかな?彼はどうしました?」


フラス

「誠に情けない話なのですが居場所さえ掴めない所存でして…この日を迎えてしまいました。ズイル様ならどこに居られるか知っておるかと?」


ズイル

「はて?存じあげませんなぁ…しかし私はですなぁ?この国を継ぐ権利はあやつには無いかと思っておりますがなぁ?」


メスク

「おーおー…言いますなぁ?」


フラス

「王の耳に入ればただじゃすみませんよ?」


ズイル

「入るわけがなかろぅ?ここに居る皆が言わなければな?」


モイト

「言いませんて…ふぉふぉふぉっ」


サリア

「じじぃはすっこんでろ」


モイト

「おーおー…最近の娘さんは怖いのぅ」


リタワ

「さて、戯言はいい。少し遅れてしまいサンディオムが沈みかけておる…暗くなると面倒だ、あまり時間が無い。本題に入っていきたいのだが?」


メスク

「では私から…リヴィア帝国がこの大陸を統一してから数年たって初めてのまともな大陸間会議とも言えようこの話場を設けた意味を知っていただきたい」


フラス

「その意味…私にはまだわかりかねますので説明していただけますでしょうか?」


ズイル

「意味もわからんとこの場に居るというのか君は?あん?かぁ~…これだから最近の若いもんは」


モイト

「若くなくてもわしにはわからんのぅ」


サリア

「じじぃはわからんでもいい」


モイト

「ふぉっふぉっふぉ」


メスク

「リヴィアがこの大陸を制覇してからというもの大陸内での民の動きと軍の動きが慌ただしく感じられると…サリアから報告がありましてな?これはと思いリヴィア大陸に数日前から滞在しておりました、色んな所を視察していましたが……酷い有様だった。なあ?サリア」


サリア

「えぇ…城下町でさえ民の飢えは当たり前。疫病で死に絶えている村もありました。半組織も複数みられ暴動が起こる事が当たり前になっている。これはどういうことか?」


ズイル

「答えたまえ。フラス」


フラス

「……今は力で抑え込んでいる。それが今のリヴィアです」


リタワ

「滅茶苦茶もいいところだ…それでは正義というより独裁ではないか」


フラス

「独裁……では正義とは?なんです?」


サリア

「今は理想論を語る場ではない。お前で考えて下せ」


フラス

「考えた結果がこれですが…何か?いちいち他国の事に首を突っ込みそれで改変させることがあなた方のやり方ですか?」


メスク

「貴公は何を言っているのか…まるで話にならない」


ズイル

「少々言葉に棘があるなぁ?フラスよ」


フラス

「……そうでしょうか?」


リタワ

「さっきの言葉、撤回しろ」


フラス

「しません。思ってたことを口にしただけなので」


サリア

「お前っ」


◆SE構える


フラス

「そいつを抜いたらどうなるかわかっているんだろうな」


ズイル

「やめておけフラス」


リタワ

「貴公らは私達が来た理由を本当にわかってないようだ」


メスク

「まったく…大陸間で戦争でもしようというのか?」


サリア

「命拾いしたなぁ?一度やりあってみたかったんだがなぁ?音速の居合とお聞きしておるが?味見したかったなぁ?」


フラス

「近いうちに」


モイト

「まぁまぁお二人ともやめときなさいて…今は話し合いの場じゃからのぅ」


サリア

「じじぃは黙って──」


◆SE剣を喉元につける


フラス

「お前こそ口を開くな…護衛は護衛らしくしていろ。いいな?」


サリア

「くっ……こいつ、いつの間に剣を抜いてっ」


メスク

「サリア!!!いい加減にしないか!!!」


サリア

「ひっ!?……も、申し訳ございませんでした……黙っています…はぃ」


リタワ

「サリアが失礼した。こちらの躾がなっていなかったようだ」


ズイル

「いやいやこちらもだ。フラス、冗談では済まされんぞ?」


フラス

「飼い主以外にすぐに噛みつく犬には躾が必要ですからね、仕方ありません。飼い主がしっかりしないと……首が繋がっているだけ有難く思う事だな」


◆SE納刀


サリア

「っくぅ……」


メスク

「次だ、今エフナ大陸ではヘッドハンターズという形式で国々の治安と平和を設けておる。知っておるな?」


ズイル

「……無論だ。数多くの国々から厳選した兵を5名ずつ出し戦わせる大会でしたなぁ?」


フラス

「優勝者が一年の大陸王者となりその国の言う通りに一年間過ごす……と」


リタワ

「そんな法律が通るんです…面白い大陸でしょう?」


フラス

「あり得ない事ですね」


メスク

「世界法に従い平和的にかつ被害を最小限に抑えられる平和は首狩り大会しかなかったのです」


フラス

「…それが平和…ですか」


リタワ

「何か?言いたい事でも?」


フラス

「多少なりとも犠牲者が出ている。あの大会はどちらかが全滅するまでやるのでしょう?」


メスク

「そうだが」


フラス

「その代表選手の家族は、肉親は?どう思いますか?勝てばいい事でしょうがそう甘くはない…それは本当に正義でしょうか?」


サリア

「……お前」


リタワ

「では戦争をして…数多くの命を無駄に散らす方が良いというのですか?」


フラス

「一人も死傷者の出ることがなく平和がもたらされる事こそが真の平和ではないでしょうか?」


モイト

「そうじゃのそうじゃのぅ」


メスク

「妄言だ。そんな事が意図も容易くできるとしたら神でしかない」


ズイル

「まったくだ…フラスよ、貴公はどうしたいのだ?」


フラス

「誰一人苦しむ事も無く争うことも無い世界を構築することを願っております」


リタワ

「それは凄い理想だがその考えは誰しもが心の底から思っていることだ…だがなフラス卿よ……そう世界は甘くないのだ」


メスク

「エフナ大陸を全て視察してきたが本当に救いようが無かった…だがしっかり皆生きておるのだ…その者達が無下に殺されていくのを私達は見ていられなかった」


ズイル

「それが平和的な考えの最優先でしょうな」


フラス

「貴方方はまだ真の平和に辿り着けていないというのにこちらと会談などしていていいのですか?」


リタワ

「真の平和を願うからこそこうしてここに居るのだ、わかっていただきたい」


フラス

「わかりかねます」


ズイル

「はぁ……こやつの言い分はほおって進めさせていただきます」


リタワ

「それがいいでしょう話にならない」


フラス

「……」


ズイル

「さて、一番の本題に入りましょう」


メスク

「えぇ、それがよろしいかと」


モイト

「…お茶を入れてきましょうか…ついでに新人君を見てくるかのぅ。確かフラス、君の推薦で入った子だったかのぅ?」


フラス

「あぁ…ユクロだ。よろしくしてやってくれ」


ズイル

「雑談はよせ…無駄な話を」


メスク

「良いんですよ?お気になさらず」


サリア

「ついていきますか?」


リタワ

「行くな、ここに居ろ」


サリア

「はっ」


ズイル

「では本題に………そちらが提案してきた件だが」


フラス

「……提案?何か事前に連絡が来ているのですか?」


ズイル

「あぁ……これだ」


◆SE紙を渡す


フラス

「………」


ズイル

「受けよう、私達もヘッドハンターズを」


メスク

「そうですか!でしたら──」


フラス

「断る」


サリア

「こいっ……チィッ」


リタワ

「貴方の意見はどうだっていいのよ?」


フラス

「どうせ推薦されるのは我が騎士団長の誰かだろう、絶対にそんなことはさせない」


メスク

「だがこうやってズイル殿の許可は得たのだ…貴公の有無はどうでもいいのだよ」


フラス

「ズイル卿…これはそのリヴィア大陸を賭けた話なのです……そう簡単に受けられては王も嘆かれますぞ?」


ズイル

「言っておるだろう?王は病に倒れられ命も危ない。そのご子息は今現在行方不明…決定権は私にある」


リタワ

「しかし考えてみろ?フラス卿。……勝てばいいんだよ」


フラス

「………何を」


メスク

「勝てば一年間世界を平和にできる。永続的に勝ち続ければずっと平和だ」


フラス

「同じ話を何度も繰り返すつもりは無いんですが……先ほど話したことをお忘れになられましたか?多少なりとも犠牲者が出ている。ありえない話ですね」


メスク

「貴方がどう思おうが決定はします。よろしいんですね?ズイル卿」


ズイル

「あぁ……構わないな?フラス」


フラス

「結局私の有無は関係ないのでしょう?」


◆SE扉開く


サリア

「誰だっ!!!?」


◆SE抜刀


モイト

「お茶を入れましたのでお飲みください」


リタワ

「そんなに敏感になるなサリア…剣を収めろ」


サリア

「はっ………ノックぐらいしろジジイ」


◆SE納刀


フラス

「ご苦労だったなモイト、湯は温いか?熱いままだとお客人に失礼だからな」


モイト

「無論じゃよ。リヴィア大陸で取れた特上のお茶ですじゃ」


◆SEカップを置いていく


メスク

「ほぅ……良い香りだな」


リタワ

「有難い…サリア、頼む」


サリア

「はっ……んくっ………大丈夫です。……あ、美味しい」


リタワ

「すまない、ありがとう」


ズイル

「毒見ですかな?」


メスク

「あぁ…私達を護るのがインペリアルツヴァイの役目だからな」


フラス

「できた用心棒ですね」


サリア

「貴公が言うと腹がたつな」


フラス

「それはどうも」



ズイル

「どれ……お、美味いなこれ」


モイト

「でしょうでしょう、ふぉっふぉっふぉっ……シメヒバ草と言ってのぅ?滅多に取れない草なんじゃよ。おやおや…もぅこんなに暗くなってきたのかぃ…明かりを灯しますかのぅ」


メスク

「っ!!?」


ズイル

「へぇ~…香草は全くわからんな」


メスク

「これは毒草で一番有名なシメヒバ草だ!!!」


サリア

「なっ!?お前ぇっ!!」


◆SE抜刀→剣交


フラス

「すぐに頭に血が上り剣を抜く女、待て。おすわり」


サリア

「なっ!?お前ぇ!!毒を盛ったのだぞ!?あのジジイが!」


モイト

「ふぉっふぉっふぉ」


リタワ

「どういうことか説明願おうか…モイトとやら」


メスク

「……しかし……シメヒバ草は速攻性の猛毒のはず…臭いも強烈でわかりやすいはずだが」


モイト

「そうじゃよ…中々に詳しいのぅ?そうじゃよ、これは猛毒で有名なシメヒバ草じゃ。だが毒さえ排除できれば何とも美味な紅茶になるのじゃよ」


サリア

「なっ……」


◆SE剣落とす


フラス

「座って美味しくいただいてください。サリア嬢」


◆SE剣収


サリア

「っ!?くっ」


ズイル

「なるほどなるほど!面白い余興をしてくれるなぁフラスよ」


フラス

「喜んでいただけて光栄です」


メスク

「なるほど…粋な計らいをありがとう。さて…あまり時間が無い。決定ということで進めて行くがよろしいか?」


ズイル

「進めてくれ」


フラス

「しかしリヴィア帝国だけがこちらの大陸の代表とはいささかリスクが高いと感じますね」


ズイル

「それは仕方なかろう?こちらの大陸はリヴィアが統一したのだから。それとも何だ?自身が無いか?今の七騎士団長では?ん?」


フラス

「えぇ…私はともかく上には上がいますから」


サリア

「お前はともかくなのかよ」


リタワ

「それでしたら初参戦ということで特別シードとして参加するというのはいかがでしょう?あと騎士団から出さずとも本戦に出る為の予選をリヴィア大陸で開催すると面白いかもですねぇ」


フラス

「なるほど……まぁ私は出場を辞退しますがね。どこぞの王子は行きたがると思いますよ」


ズイル

「シマク王子か?やはり探すしかないか」


メスク

「そんなにこちらに興味がおありなのですか?」


ズイル

「えぇえぇそりゃぁもぅ…こっちの大陸は退屈だのスリルが無いだの言っておりましてなぁ?手に負えないんですよ」


リタワ

「一度お会いしてお話してみたいですねぇ…本当に残念です」


ズイル

「伝えておきますよ、必ず」


メスク

「よろしく頼む。それではそろそろ」


リタワ

「そうですわね」


サリア

「ふぅ……爺さん、美味かったよ紅茶」


モイト

「ふぉっふぉっふぉっ…それは何よりじゃ」


フラス

「外も暗い…何かあれば大事だ。お送りしましょうか」


ズイル

「そうだな…この国は物騒ですからな?はっはっは」


メスク

「どうぞお構いなく。こちらのサリアも相当腕がたちます」


フラス

「…え?そうなのですか?」


サリア

「っ……心配無用だ」


リタワ

「お爺さんもお茶と特殊な警備ありがとうございます」


モイト

「かまいませんて……ふぉっふぉっふぉっ……この状況になってしまって全く役にたてませんですまんでしたのぅ」


メスク

「何を言いますか!あの毒草を紅茶に仕立てる発想は中々に無い…良い経験ができました」


モイト

「そんなおだててもこんな老人からは何も出んて。ふぉっふぉっふぉっ……あと…ずっとしよりましたよ」


リタワ

「ん?何がですか?」


モイト

「シメヒバ草の毒の臭いじゃよ」


サリア

「……そりゃぁ紅茶に仕立てたんだ、少しはして当たり前じゃないのか?」


モイト

「少しもしてはならんのですよ…少しでも残るようであれば───」


ズイル

「ぐっ!!?ぶうぇっ!!?ぐぶぇ!!!ぐぼほぅっ」


◆SE倒れる


モイト

「即効性の猛毒は…無くなりゃあせん。……抜き忘れがありましたかなぁ?ズイル殿のお茶だけ」


フラス

「よくやったモイト、行け」


サリア

「貴様ぁぁっ!!!」


◆SE抜刀


メスク

「くっ!?明かりを消された」


リタワ

「フラス!何が目的なのです!?長官を殺すなどリヴィアへの反逆ですよ!?死刑ですよ!?」


サリア

「どこだ!!くそっ…目が慣れない!!」


フラス

「反逆?……違いますよ…これは粛清。腐ってしまった肉は削ぎ落とし歩くだけです」


メスク

「こんなことをして…貴方はどうも最初から疑わしかった」


フラス

「ほぅ?」


メスク

「自分の正義を棚に上げ今しなければならない政治や正義には全く関心がない!そうでしょう」


フラス

「そう思うか?」


リタワ

「貴方の望む正義の理想は──」


フラス

「この世の正義は巡り巡って結局どれも同じ正義。偽善や欺瞞が蔓延りどれもまっとうな正義をなしていない。真の正義とは何か?俺の望む正義の理想の結論は──」


サリア

「っつぁぁあああ!!」


◆SE剣交わり


フラス

「俺だけでいい」


サリア

「くっ!?この暗闇で私の剣を受けただとっ!?」


フラス

「貴様等より先に闇に慣れていただけだ……やろうと思えば一気にやれたが?」


サリア

「戯言をっ!」


◆SE剣弾き


メスク

「あのお爺さんも協力者ですか…姿がありませんね」


フラス

「モイトにはもう一つ·····毒を撒きにいかせた」


リタワ

「…私達を殺せばどうなるかわかっているんでしょう?諦めなさいフラス卿」


フラス

「殺そうとは思っていませんよ」


メスク

「ならばなぜこのような事……ズイル卿は貴方にとって必要だったはず」


フラス

「必要ありませんこんな腐った肉は」


サリア

「てめぇ……狂ってやがる」


フラス

「どちらがでしょうか?あのような大会こそ虫唾が走る…殺し合いを見世物にし平和に見立てた正義なぞ完全な正義ではない」


メスク

「リヴィアの大陸統一に一番貢献したのは貴方だと伺っております…どうかその頭脳と名声をお貸しください」


フラス

「断る。私は私の正義を叶えるまで止まらない。武で来るというのなら武で答えましょう…頭脳戦で来るならばオアスのように圧倒してみせましょう」


リタワ

「オアス王国…二強でしたわねこの大陸は」


フラス

「私が殲滅した」


メスク

「そのような事を成し遂げなぜ…こちらもあなた方と争いたくて来たわけでは──」


フラス

「よく言う……あの大会であわよくば下し、取ろうとしているのは見え見えではないか」


サリア

「いい加減にしろよ…てめぇ……メスク様」


メスク

「……仕方ありませんね……インペリアルダブルの封印を解きます」


◆SE鍵を外す→重石が数個落ちる


サリア

「封印は解かれた。貴様は今から死ぬ…私は居合に特化している、身軽になった私が構えた時点でお前の首が飛ぶ。これが最後だ」


リタワ

「こちらの要求を呑んではいただけないでしょうか?」


フラス

「断る」


◆SE構える


サリア

「死んだよお前、じゃあな」


フラス

「じゃあな」


◆剣収→血しぶき→落ちる


メスク

「そ、そんな…サリアが……一太刀で」


フラス

「敗因は単純」


リタワ

「インペリアルダブルが…」


フラス

「喋りすぎだ」


メスク

「くっ……殺すというのか…貴様のような夢物語を語る小僧がっ!この私を殺すというのか!」


フラス

「……」


リタワ

「本当にいいのか?小僧…私達に何かあれば戦争が起きる。そう伝えている」


フラス

「それで世界が平和になるなら」


リタワ

「戦争では平和にはならない…悲しみを生み絶望を生み恨みを生み……悪い物ばかり生まれてしまうのだ…当たり前の事だろう?今のリヴィアを見ろ…悲惨な状況じゃないか」


フラス

「まだ途中なのです」


メスク

「途中なものか!!!飢えて死に疫病で死に暴力で死んでいる!!!そんな状況私達の大陸には無い!!!」


フラス

「全て終わった時こそ平和になる。争う必要がなくなる」


リタワ

「貴公の言っている事には矛盾がある……戦争して死人を増やしている事のどこが正義か」


フラス

「世界さえ支配できれば争う必要が無くなる」


メスク

「こっ……こやつ…世界制覇を狙っておるのか……もとよりこちら側に攻め入る気で」


フラス

「……世界を支配するに戦争は当たり前……それまでの犠牲は仕方のない事なのです。強きものは一つで良い。リヴィアは…いえ……私はその一つになろうとしているだけです」


リタワ

「王も王子ももはや眼中に無いか……リヴィアを真に操っているのはこの男だ」


フラス

「ようやくお気づきですか……さぁ…早めに切り上げないとあちらが気になる」


メスク

「近づくな!!!これを見ろ!こんな時もあろうかと私も毒薬を持ってきているのだ!これが割れた瞬間この部屋にいるものは皆死ぬ!!」


フラス

「そうですか」


◆SE構える


リタワ

「ひっ」


メスク

「聞いているのか!!!やめろと言っている!!!」


フラス

「そのような脅し」


◆SE斬る→血しぶき→倒れる


フラス

「私には通用しない」


メスク

「リタワ!!!……くそ…くっそ…くそぉぉぉぉぉっ!!!」


◆SE割れる


フラス

「……自害するか…哀れだな」


メスク

「貴様とっ……ぐっ…心中っ…だっ……ぐぅっ……息がっ……ひゅ…ひ……」


◆SE倒れる


フラス

「………おい、私が見えているか?聞こえているか?残念なお知らせだ……今の私に毒は効かない。モイトが用意したお茶は私だけハマカラバの実でできていた。物凄く苦かったよ…貴様の覚悟が無駄に終わってすまなかったな」


メスク

「な……な……ぜっ………ひゅ……ひ………」


フラス

「……死んだか……窒息系か何かの毒か?いずれにせよ……モイトに助けられたな。急がねば」


◆SE大扉開く



フラス

「やはりここか…中から声がする……七騎士団長ニソア。貴様には悪いが」


◆SE窓を開く



●間5拍



◆SEカーテンの風が吹く


モイト

「……ん………おぉ……良かった…本当に良かった……ありがとうぅな…毒蛾の……リヴィアを…頼ん…だ」


フラス

「モイト……間に合わなかったか……ニソア、世話になったな」


◆SE斬る→血しぶき→倒れる


フラス

「遅くなったな、ユクロ……さぁ、変えるぞ……この腐った世界を」
















































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