LIVING BY NECK HUNTING sidestory 毒蛾の逆鱗

SEN

LIVING BY NECK HUNTING sidestory 毒蛾の逆鱗

LIVING BY NECK HUNTING sidestory 毒蛾の逆鱗

台本:SEN  女2:男3 所要時間:約40分




説明欄や詳細文などに『作品タイトル・台本URL・作者名』の明記をお願い致します。

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※アドリブ等はストーリーを捻じ曲げない、雰囲気を壊さない程度であればOKです



登場人物




ユクロ(男・27歳)

リヴィア帝国七騎士団長の一人【畏怖】のユクロ。物事を淡々とするタイプで感情をあまり表に出さない。剣と歴史が好きでコレクションを色々持っている。薬学にもかなり詳しい。


ニソア (女・34歳)

リヴィア帝国七騎士団長の一人【深紅】のニソア 。鉈の使い手。リヴィアの七騎士団長を束ねすべて指揮する大人の女性。落ち着いているが裏表が激しく異質な趣味を持つ事から異教徒説があがっている。


セノル (男・29歳)

リヴィア帝国七騎士団長の一人【脅殺】のセノル。双剣の使い手。口が悪いが曲がった事が嫌いな男。だが、すぐに脅しや暴力で解決しようとする。リヴィアを変えようと貴族から七騎士団長になるがニソアやフラスに良いように使われる。


ケラヌ (女・28歳)

リヴィア帝国七騎士団長の一人【笑鬼】のケラヌ。長剣の使い手。口が悪く常にキレそうと言っている。暗殺ギルドをいくつも裏で動かすが七騎士団になってからというものセノルと共に行動する。


モイト (男・78歳) 

リヴィア帝国七騎士団長の一人【毒司】のモイト。毒薬の使い手。戦いは全くだめだがいつも二手三手先を読み毒薬での勝利を収めて来た。フラスの世話係をずっとしてきた事もある。




毒蛾の逆鱗






ユクロN

この国は腐っている


この世界に二つしかない大陸をリヴィアが制してからというもの…この国の政治は悪に染まり、民は飢え…疫病が蔓延し内乱が増え続けている。減り続ける人口、増えなくてもいい死人が増えていった


大国オアスに勝ってからというもの、このリヴィア帝国は瞬く間に墜ちていった……エフナ大陸への侵攻の噂も上がっていたが全く動きそうになかった


僕はそんなリヴィア帝国を支える七騎士団の一人


上流階級であり貴族の息子である僕はフラスに推薦されてここに居る

七騎士団長になるには実力を示す必要があるがどいつもこいつも阿呆ばかりだった…チカラでねじ伏せると考えるものや裏工作で負けを認めさせようとする奴ばかりだった


力なんていらない…僕にはこれがある





◆SE倒れる


ユクロ

「あっれぇ?もぅ終わりですか?……体調でも悪いんですかね?」


ニソア

「そこまで。貴公の勝ちだ、ユクロ」


ユクロ

「ふぅ…本気を出すまでも無かったね」


◆SE納刀


ニソア

「旋斧のガムダ相手にその小剣で勝つとは……どんな手を使ったんだ?」


ユクロ

「あー…何のことです?僕は何も?普段通りですよ?偶然にも急所に当たったか相手の体調が悪かっただけじゃないですかね?んー少し違うか?……体調が悪くなっただけじゃないですかね?」


ニソア

「フッ……まぁいい。これで貴公は七騎士団団長の一人だ。おめでとう」


ユクロ

「そりゃぁどうも」


ニソア

「なんだ、嬉しくなさそうだな。この大陸の覇国でありもっとも名誉な地位だぞ?ん?どうだ?この後祝賀会でも──」


ユクロ

「結構です。酒に毒でも盛られたらどう責任取ってくれるんですか?毒見役でもしてくださいますか?それに……僕は騎士団長になれてとっても嬉しいですよ?ではこれで。あ、その男、数日後には肺が腐って死にますよ~」


ニソア

「肺だと?……わかった。任命式には顔を出すように!………ふんっ…あのフラス坊やのお墨付きだ、勝つとは思っていたが……はぁ…中々…喰えん男ばかりだ。衛兵っ!ガムダを医務室に」





ユクロN

僕に力や剣技はそれなりにしかない。だからいつもこいつで勝つ…不可避の、目に見えない力……毒だ


◆SE納刀



●間5拍



ユクロ

「はぁ……ようやく落ち着け───」


セノル

「おいおいおい貴様が新しい七騎士団隊長かぁ?あぁん?どっからどう見ても良いとこのお坊ちゃんじゃねぇかよぉ?」


ケラヌ

「えぇ~!?こぉんなのがあの斧馬鹿ガムダに勝っちゃったのぉ!?まぁじでぇ~!?信じられないんだけどぉ!キレそう」


ユクロ

「はぁ…めんどくさ……初対面なのに失礼な奴らだな。ちゃんと正式に試合はして勝ったんだ。何か意義申し立てでも?」


セノル

「あぁん?口だけはいっちょ前みてぇだけど騎士団長同士のやりあいはご法度だぜ?ってかお前、ぜってぇなんか裏工作して勝ったろ?ぁ?」


ケラヌ

「あぁりえなぁいよねぇ~?斧馬鹿の体調が悪かったなんてさぁ~……あ、まぁあいつ酒癖悪ぃからそれもあんのかぁ?キレそうなんだけどぉ」


ユクロ

「戦いの前に酒を飲む癖があるのを前から知ってただけですよ。だから僕はあの脳筋野郎を指名したんです」


セノル

「へぇへぇへぇ!?言うねぇ~?まぁ?俺様を指名しなかったのは賢かったなぁ~?うわっはっはっは!!!」


ユクロ

「あー…貴方を敵に回すと厄介ですからねぇ……後に何をされるかわからない。脅しのプロですもんねぇ?あー怖い怖い」


セノル

「っな!?」


ケラヌ

「あっはっはっはっはぁぁ!セノルぅ図星つかれてやぁんの~!?ひぃーキレそう!」


ユクロ

「あー…あなたも暗殺業界ではかなり有名ですよねぇ?あちらの大陸にまで手を回しているとか?あ、拷問業界も、でしたっけ?ケラヌ鬼婦人?」


ケラヌ

「あぇ?…………おい………それ以上言ったら、キレるよ?」


ユクロ

「ふふっ…では僕はこれで。貴方達と慣れ合う気はありませんからね?好きにさせてもらいますよ」


◆SE歩いて離れる


セノル

「くっ」


ケラヌ

「ん~なぁにあれぇ??気に入らないぃぃキレそう!キレそう!やっちゃう?やっちゃう?」


セノル

「あぁん?騎士団長同士の殺し合いはご法度だぁ……だぁがしかし?」


ケラヌ

「私達が手をかけなきゃいいんだよぉ?簡単だよねぇ?殺しって」



●間3拍



ユクロ

「へぇ……あ、これは?…うっわ、シメヒバ草まである……さすがリヴィアだ、色んな薬品があるな……これも…これも!かなり希少価値の高い花や草ばかりだ」


モイト

「ぉや?……ちょいと……ぁちょいとちょいと」


ユクロ

「ん?……うわぁ!?……人が居たのか……おじいさん、こんなところに居たらだめですよぉ?ここは城の薬品倉庫なんですから」


モイト

「あぁ知っとるよ?」


ユクロ

「あ、知ってましたか。もしかしてここの管理をされてる薬師の方ですか?」


モイト

「ふおっふおっふおっ……ぉ面白い小童じゃのぅ」


ユクロ

「んー…特に面白いことは言ってはいないですし小童では無いです」


モイト

「わしも七騎士団長の一人じゃよ」


ユクロ

「あー…笑えない冗談だよおじいちゃん」


モイト

「冗談なんぞ言わんわいぃ…ほれ」


ユクロ

「っ!?騎士団長の紋様………え、達人技とか使われるとか…かな?」


モイト

「体術は何も使いやせんよ…この歳じゃからのぅ」


ユクロ

「しかし……あなたのような方が居るとは存じませんでした」


モイト

「秘密兵器じゃからのぅ…リヴィアの」


ユクロ

「そうなんですか!?」


モイト

「嘘じゃ」


ユクロ

「………えっと」


モイト

「お主には少しユーモアが足らんのぅ」


ユクロ

「殺し合いにユーモアはいらないでしょ…で?僕に何か用ですか?」


モイト

「ワシと同じじゃのぅ」


ユクロ

「何がです?」


モイト

「毒じゃよ」


ユクロ

「っ!?」


モイト

「図星かの?」


ユクロ

「……今は何も撒いていない……どうしてわかったか…聞いても?」


モイト

「匂いじゃよ。毒蛾のザヒガナンじゃろ?」


ユクロ

「……さすがです。……ふぅ……七騎士団長全員に会いましたがフラスの次に、脅威を感じましたよ?あの毒蛾の匂いは強烈ですからね」


モイト

「ほうほぅ?あのフラス坊のお知り合いかの?」


ユクロ

「あー…はい、残念ながら。アイツが僕を騎士団長に勝手に推薦しましてねぇ……困ったヤツですよほんと」


モイト

「仲が良いようじゃのぅ」


ユクロ

「お金の関係ですよ……腐れ縁。金で繋がってるだけの腐っている仲です」


モイト

「ほっほっほ!なるほどのぅ……むぅ?もぅ夕刻かい…お前さんの任命式があるころじゃのぅ」


ユクロ

「あぁ本当だ……すっかり忘れてたよ。ありがとう爺さん」


モイト

「モイトじゃよ、毒蛾の少年」


ユクロ

「やだなぁその呼び方…じゃぁね」



◆SE歩き去っていく



モイト

「面白い奴が来たもんじゃのぅ」



●間5拍



ニソア

「フラスは王政の軍事会議に出ているので出席できないが始めよう。これより、七騎士団長任命式を行う!ユクロ、こちらへ」


ユクロ

「はい」


◆SE歩く

◆SE抜刀


ニソア

「……ここに新たな騎士団長が誕生する。元七騎士団長ガムダを討ち倒し、今日これより、七騎士団長ユクロが座に着いた。各々異論はあろうが味方同士で殺し合いはご法度。世界法諜報員や王政皇庁に裁かれることになるだろう、よいな?」


セノル

「……あ?おめぇはなんでこっち見て言うんだ?しねぇよそんなこと!文句なんかねえよ!」


ケラヌ

「ニソアも気をつけなよぉ?キレたらだめだよぉ?キレたらあんた止まんなくなるんだからぁ!」


ニソア

「貴様らに言われたくはないな…ユクロ、気を付けろよ。モイト、部屋まで案内してやれ」


モイト

「ほぃほぃ。こちらじゃよ」


ユクロ

「ありがとうおじいさん」


ニソア

「ユクロ、後で私の部屋までくるように。七騎士団は横の繋がりが大事だ、私が直々に色々教えてやる」


ユクロ

「あー……わかりました。では後程」


◆SE足音遠ざかる


ケラヌ

「ちょぉっとぉ!まぁたあんたのお気に入りにしちゃうのぉ?使い物にならなくなるまで遊んじゃうんだからぁ!キレそう~!」


ニソア

「何のことだ?お前らは早く散れ」


セノル

「気色わりぃ…あんなののどこがいいんだか」


ニソア

「貴様も私のコレクションに──」


セノル

「やっべ!!いくぞケラヌ!!!」


ケラヌ

「ニソア怖い!セノル取るな!嫌い!帰れ!」


ニソア

「どこへだ。散れ」



●間3拍



◆SE歩く二人


セノル

「くそっ・・・・・・こうなったら早めにしかけるぜ、ケラヌ…ニソアがユクロを気に入りかけている…取り込まれると厄介だ」


ケラヌ

「ぁあんたぁ…もうしかけてるよぉ?安心しなぁ?ひあっははは!!」


セノル

「さぁすがだぜぃ……高見の見物といこうや。へへっ」




●間5拍



◆SE歩く二人


モイト

「お前さん……狙われとるのぅ」


ユクロ

「あー……あの方々にでしょう?」


モイト

「なんじゃ、気づいとるのか」


ユクロ

「そりゃぁ気づきますよね…あんな粗雑な殺気向けられちゃぁねぇ…まぁニソアさんからは別の意味で恐怖を感じてますが」


モイト

「……ふぉっふぉっ…できる男よのぅ。お主のようなものこそリヴィアにふさわしい」


ユクロ

「ありがとうお爺さん。・・・お爺さんからは敵意は感じませんよ?」


モイト

「そうじゃろそうじゃろ、ふぉっふぉっふぉ。ワシはお前さんを気に入ったからのぅ。ほれ、ついたぞぃ?ここがお主の部屋じゃよ」


ユクロ

「ありがとうお爺さん。お爺さんも…色々気を付けて。何かあったら申しつけてくださいね?」


モイト

「ありがとうよぉ若いの、大丈夫じゃよワシは」


ユクロ

「余計な心配ですね。じゃぁ」


モイト

「若いの」


ユクロ

「はい?」


モイト

「今夜じゃ…気を付けなされよ」


ユクロ

「……はい」


モイト

「良い夜を」





ユクロN

これを渡してくるということは……きっとモイトの忠告は…俺の命に係わることなのだろう。【今夜】か……準備するか



●間5拍



ユクロ

「もぅ夜も深い…リフィーティアも真上にある。窓からの夜襲があるかと思ったんだがな……ん?この匂いは……オゾハナミの花毒か?……なるほど・・・俺に毒で来るか・・・頭を使ってるつもりだろうが………無能共め」



●間5拍



セノル

「さぁ……そろそろいいだろうなぁ?毒は部屋に充満して、ねんねんコロりしてるころだろうぜぃ?」


ケラヌ

「まっさか毒とはねぇ~っはぁぁさすがあんた・・・頭良いわぁ」


セノル

「こいつを呑んどけ。解毒薬だ、先に呑んでおくと免疫力?が上がるらしい。蔓延してる毒を吸い込むとこちらまで死んじまうからな」


ケラヌ

「ちょっとお・・・どこまで天才なの!?キレそう」


セノル

「キレんなキレんな。ほれ」


ケラヌ

「んぐっ・・・・・・んんん!みうないひゃん!!」


セノル

「ほれ、水もある」


ケラヌ

「ひょぉっとお・・・はふがふぎんひゃん!ひれそう!」


セノル

「キレんな。いいから早く呑めって!いくぞ」


◆SEドア開く


セノル

「一応フードマント覆っておけよ」


ケラヌ

「見られでもしたら厄介ってこと?死んでるから大丈夫だぁってぇ」


セノル

「暗殺や味方同士での殺し合いがもし見つかったらお前…」


ケラヌ

「なぁにあんたぁ!びびっちゃったりしちゃったりなんかしちゃってるわけぇ?大丈夫大丈夫!私がそっち系はもみ消すからさぁ」


セノル

「あぁ…てめぇも色々ヤバい方に顔が広いんだったな。助かるぜ」


ケラヌ

「まっかせといてよぉ?あっひゃひゃひゃ!」


セノル

「よし、入るぞ」


ケラヌ

「どっきどきだねぇ!」


◆SEドア開ける


セノル

「うっ……オゾハナミの毒が充満してやがるぜ」


ケラヌ

「解毒薬飲んでてよかったんねぇ!」


セノル

「奴はベッドだ、見てこい」


ケラヌ

「はいょぉ!ゆぅくろくぅぅぅん朝でっすよぉぉぉ!!」


◆SE布団めくる


ケラヌ

「あぇ?」


セノル

「どうした?!」


ケラヌ

「え…いない…キレそうなんだけど」


セノル

「いない!?そんなばかなっ!?」


ユクロ

「おやお二人さん、こんな夜更けにノックもなしに入ってくるとは・・・夜這いですか?」


セノル・ケラヌ

「っ!?」


ユクロ

「あー…そんな驚かなくてもよくないです?僕はここで紅茶を飲んでるだけなんですから」


セノル

「お……おぅ」


ケラヌ

「……チッ」


ユクロ

「何故?って顔だねぇ」


セノル

「……」


ケラヌ

「うっせ!んな顔してねぇよ!」


ユクロ

「オゾハナミの花」


セノル

「っ!?」


ユクロ

「この花の香りはとても甘く、全く毒を感じさせない。少し吸うだけでは毒も効かず心地良い程度だが長時間吸い続けると・・・体内から痺れ徐々に体の自由を奪っていき最終的には心臓さえ止まる……良い花だよね」


ケラヌ

「は?きっも……何?花なんか好きなのあんた?変わってるわぁ…キレそう」


ユクロ

「オゾハナミの花の毒に対すべきはミシガサナル草。オゾハナミの花がこの草を嫌い絶対に同じ場所には咲かない。ミシガサナルの草は根っこからオゾハナミの花を腐らせるからだ。知ってた?」


セノル

「てめぇを……ここで始末することにしたぜ」


◆SE抜刀


ユクロ

「あー……はぁ…味方同士の殺し合いはご法度って言ったのはあんただよ?それに、何の恨みがあって僕を殺すんだい?」


セノル

「……てめぇはあのフラスの推薦だそうだな」


ユクロ

「そうだけど…あー……まさか」


ケラヌ

「これ以上の歪んだ正義はいらないってことだよぉ!気づけよお坊ちゃん!!キレてんだ私は!」


セノル

「あいつは七騎士団でありながら世界法諜報員や王政皇庁との繋がりもありやがる…これ以上アイツらの好きなようにはさせねぇ」


ユクロ

「なるほどねぇ…やっぱりか。あれらを嫌ってる人は多いが…まさか騎士団長にまでとは…。アイツも大変だなぁ」


ケラヌ

「今ここで私達二人を相手にどうやるぅ?剣の腕なんて無いだろうお前ぇ!」


◆SE抜刀


ユクロ

「誰が剣で勝つって?」


セノル

「俺たちが。お前にだ」


ユクロ

「あー…愚かだねぇぇっ。大丈夫?現実見えてる?」


ケラヌ

「てっめ!!その口黙らせてやるぅよぉぉ!!!!っしゃぁぁ!!!!」


◆SE剣風


ユクロ

「あぶなっ……っと……ひゅぅ、長い剣だねぇ」


ケラヌ

「しゅゅゅっ……ヒュプノサーベルって言ってなぁ?超長剣なんだなこれぇ…それをよぉ??」


セノル

「一太刀目を見切ってかわしやがった…ケラヌ、二人してかかるぞ」


◆SE構える


ケラヌ

「かかるかかるう!!ぶった斬ってやるぁぁぁあっ!!!」


◆SE構える


ユクロ

「あーはいはい。どうぞどうぞ」


セノル

「舐めやがって…俺の双剣の速さとケラヌの長剣との相性は抜群だぜ!うぉぉぉぉおおお!!!」


ケラヌ

「おりゃゃぁぁあああああ!!!!!」


◆SE剣風


ユクロ

「で?お二人さんは誰と戦ってるの?」


セノル

「なっ!?」


ケラヌ

「はぁっ!!??」


ユクロ

「僕はずっと、最初から、ここで、紅茶を飲んでいますが?何か?」


セノル

「な、何がどうなってやがる…今ここに……」


ケラヌ

「居たよね…え?は?」


ユクロ

「おや?居ましたか?」


セノル

「くっ!そっちのやつを斬れぇ!ケラヌ!!」


ケラヌ

「わかってんだよおおお!!ちっきしょぉぉぉぉ!!うぉっしゃぁぁあああ!!!」


◆SE剣風


ユクロ

「人の部屋で無作為に剣を振りまわなさいでもらっていいです?まだ初日なんですが?大きい音立てると皆起きてきますよ?大丈夫ですか?」


セノル

「何故だ……当たんねぇというより…そこに居ねぇじゃねぇか!!!」


ケラヌ

「まっじっで!なんなの!?は?」


ユクロ

「あー…そろそろ気づくかなぁって思ってるんですけど…まだです?」


セノル

「何をだっ!?教えやがれ!!こっのぉぉおお!!」


◆SE空振


ユクロ

「馬鹿はこれ以上相手にしてられませんねぇ・・・では私はこれで。………夢の世界で殺しあえ」


◆SEドアまで歩いて行き開ける


セノル

「くっそ!!!どいつが本物だぁ!?おいケラヌ!!早く見つけろ!!」


ケラヌ

「んなこたぁあたしもわかってんだよお?!あんたも探せやぁ!?キレてんだあたしわぁ!!!」


セノル

「・・・・・・ん?・・・ははぁん?さぁては・・・てめえが本物だな?えぇ?」


ケラヌ

「は?何言っちゃってんのあんた?あの花を吸いすぎて頭いっちゃったんじゃないの?大丈夫?!」


セノル

「・・・・・・やっぱてめぇだわ。死ね」


◆SE刺す


ケラヌ

「う゛っ!?・・・・・・ばっか・・・やろ・・・あたしよ・・・あんた・・・の子供・・・・・・が」


◆SE倒れる


セノル

「へへへぃ~ようやく仕留めたぜぃ・・・ケラヌ!見ろよこいつ!うずくまって許しを乞う様に死にやがった!へぁっはっはっはぁ!!・・・・・・・・・あ?ケラヌ?・・・どこだ?ケラヌ?どこだ?・・・・・・ま・・・待てよ・・・もしかしてこいつが」


◆SE廊下を歩く


ユクロ

「オゾハナミの花を中和したミシガサナルの草は、中和した後しばらくすると相乗効果でより強い毒を発する・・・死ぬまで解かれる事がない幻覚を見せ続ける。そしてその両方の毒を更に中和し逆に取り込んだものを目覚めさせるのがこいつ、ハマカラバの実。飲んどいて良かったよ。国宝級だが超弩級の万能薬なんだよ。さっきお爺さんからいただいてね。勉強不足だったね2人共・・・・・・だがとてつもなく幸せな幻を見れるから・・・・・・安心して自害しろ」


◆SE刺す


セノル

「ぐぅっ・・・・・・ぐぶぁはっ・・・ずまねぇ・・・ケラ・・・ヌ・・・あっぢで・・・幸せになろう・・・あぁ、ぞう・・・だな。子供・・・できると・・・いい・・・な」


◆SE倒れる


●間5拍


ユクロ

「さて・・・・・・ここかな」


◆SEノック


ニソア

「ユクロか。入れ」


ユクロ

「失礼します」


◆SEドア開閉


ユクロ

「・・・・・・」


ニソア

「あぁ・・・こやつか?裏切り者だ。七騎士団を転覆させようとした協力者の1人だ。おかげでセノルとケラヌが死んだ。ほれ、ユクロが来たぞ?・・・おい?・・・喋らぬかっ!!!」


◆SE蹴り


モイト

「ぐぁああっ!!」


ニソア

「骨が折れたか……折れようがしったことか。クソジジイが・・・」


ユクロ

「何故でしょうか」


ニソア

「あ?何がだ?あぁ…七騎士団の転覆か?内部による国家転覆が目的だろう…こやつ…密告のつもりだろうが私に嘘はつけない。眼を見ればわかる」


モイト

「ぅぅぅ」


ユクロ

「爺さん…本当か?」


モイト

「……」


ニソア

「その爺さんはもぅ何も答えない。私がどれだけ蹴っても嘘しか言わないからなぁ」


ユクロ

「仲間同士の争いはご法度では?」


ニソア

「裏切り者への拷問と体罰は許されている。七騎士団長の私に限りだけどなぁ?」


ユクロ

「……やりすぎでは?死んでしまいますよ?」


ニソア

「死ねばいいこんなクソジジイ…こいつが七騎士団長なのも以前から気にくわなかったんだ。恰好がつかないからな……ところでユクロ」


ユクロ

「はい?」


ニソア

「お前にも疑いの容疑がかかっている」


ユクロ

「でしょうね」


ニソア

「ほぅ?……でしょうね?」


ユクロ

「あー……僕とそこの爺さんが親しげに話していたからでしょう?たったそれだけのことで疑われるのもどうかと思いますがね」


ニソア

「どこで誰が何を聞いているかわからない。気を付けないとなぁ?特に内輪ごとはな」


ユクロ

「なるほどね…で?どうしろと?何を白状しろとおっしゃいますか?」


ニソア

「国家の転覆を企んでいるのは誰だ?答えろ」


ユクロ

「知りません」


ニソア

「嘘は良くないぞユクロ……フラスか?」


ユクロ

「さぁ?」


ニソア

「……私は拷問が好きだ」


ユクロ

「へぇ?」


ニソア

「人の苦痛を眺めているのがたまらなくてな」


ユクロ

「変わったご趣味をお持ちで」


ニソア

「お前もそうなるということだ」


ユクロ

「新人の七騎士団長を初日から拷問する…本当面白い国家だ。腐ってやがる」


ニソア

「あ?」


ユクロ

「腐っていると言ったんですよ。そりゃぁ立て直さないとだめだなと、感じたんです」


ニソア

「貴様やはり」


ユクロ

「えぇ。この七騎士団を、国を立て直す為に七騎士団長になりましたよ、嫌々ね?」


ニソア

「今すぐ斬る」


◆SE抜刀


ユクロ

「マチェーテですか……そぅ…なりますよね。仕方ありません、お爺さん…しばらくお待ちを」


◆SE抜刀


モイト

「坊……や」


ユクロ

「……えぇ、大丈夫。もぅ知っていますよ」


ニソア

「何を話している?……折角貴様を私のコレクションにしてやろうとしたのに……まったく残念だ」


ユクロ

「悍ましい」


ニソア

「あ゛?」


ユクロ

「悍ましいと言ったんですよ。気持ちが悪い」


ニソア

「貴様っ………まぁ良い。今から死ぬのだから…許しを乞うてもひと思いには殺さんぞ?一本ずつ指を折ってから切り落としてぇ…少しずつ足から?切断していこうかなぁ?このマチェーテはよく斬れるぞぉ」


ユクロ

「お好きに」


ニソア

「死ね」


◆SE空振


ユクロ

「そんな程度でよく七騎士団長を名乗れるな」


ニソア

「うっふふふふふ」


◆SE抜刀


ユクロ

「二本目ですか…珍しい武器を使いますね?戦いには相応しくないですが」


ニソア

「そうかぃ?でもこいつはな?肉を裂く時の音がたまらなく良いんだ」


ユクロ

「あー…聞いた僕が馬鹿でした。しかし残念です…まともな方だと思っていたのに」


ニソア

「まともに見えたのならそれは結構だねぇ?人はみかけによらないよ?」


ユクロ

「早く終わらせましょう、お爺さんが心配だ」


ニソア

「私の心配はしてくれないのぉ?ユクロぉ」


ユクロ

「はい気持ち悪い」


ニソア

「あっははははははぁっ!死っねぇぇぇえっ!!」


◆SE空振


ユクロ

「そんな単調な攻撃当たらない」


ニソア

「うふっ」


◆SE投げる


ユクロ

「なっ!?」


◆SE剣交→壁に刺さる


ユクロ

「くっ……剣がっ…しかし危なかった…なるほど。投擲用でもあるのか…そりゃ便利だ」


ニソア

「でしょう?しかも?」


◆SE抜刀


ニソア

「何本もあぁるのよぉぅ」


ユクロ

「そりゃぁ厄介ですね」


ニソア

「勝てる?私に?」


ユクロ

「勝てますよ?そろそろじゃないですかね?」


ニソア

「何が?」


ユクロ

「効いてくる頃だろうなと」


ニソア

「あぁ……毒か?」


ユクロ

「………知っているのか」


ニソア

「そりゃぁねぇ?毒で勝つつもりだったのかいぃ?甘ちゃんだねぇ?」


ユクロ

「ならもぅハマカラバの実は食ってるのか」


ニソア

「美味しくいただいたわぁ?」


ユクロ

「国宝級のそいつを超えれる毒は、今の薬学上はもぅ無い…お手上げだね」


ニソア

「剣は弾かれ生身。得意分野でも勝てない…さぁてどうするぅ?どうやってこの鉈女を処理するぅぅ?うっふふふふふぅっ?」


ユクロ

「お手上げ…ですね。観念します」


ニソア

「観念してもおせぇんだよ?その許しは許されないぃ…裏切り者は殺さないといけないぃ」


ユクロ

「はいはい…じゃぁあなたに殺される前に少しだけ僕にお時間くださいます?最後の別れをお爺さんに伝えたいので」


ニソア

「……あっらぁ…いいわよ?私は優しいからねぇ?楽しみは後にとっておく主義なの」


ユクロ

「そりゃぁどうも……モイト、大丈夫かぃ?」


モイト

「色々…だめみたいじゃ……お主こそ…すまんかったのぅ…あの二人は…やったのか?」


ユクロ

「あぁ…お爺さんのおかげですよ。ありがとう」


モイト

「フラスの方も心配じゃったが……お主も頑張ってのぅ…まさか毒対策されているとは」


ユクロ

「ですね……でも」


◆SE風でカーテンがなびく


ユクロ

「もぅ大丈夫みたいです。ほら」


モイト

「……ん………おぉ……良かった…本当に良かった……ありがとうぅな…毒蛾の……リヴィアを…頼ん…だ」


◆SE倒れる


ユクロ

「……爺さん…幸せにいけたかい?ゆっくり寝てな……さぁ」


ニソア

「もぅいいかぃ?じじいは逝ったかい?これで七騎士団長は私と貴様とフラスだけになったな」


ユクロ

「あぁ……じきにもう一人減る」


ニソア

「誰の事だ?もちろん貴様の事だよなぁ?」


ユクロ

「貴女の事ですよ。僕には勝てない」


ニソア

「この状況下でよくもまぁまぁ……今すぐその首飛ばしてやる」


◆SE構える


ユクロ

「どうぞ。毒蛾の逆鱗に触れた貴様は地獄行きだ」


ニソア

「いぃぃぃい度胸だぁぁぁぁっ!!!!」


◆SE飛びかかる




ユクロ

「さようなら」




◆SE斬る→血しぶき→落ちる→倒れる



●間3拍



ユクロ

「さすが、凄いタイミングだね。フラス……さて、変えるか。この毒だらけの世界を」







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