第383話 VS小日向美穂②

「はっ!」


 ヒュンヒュンと耳の近くで風を切る音がする。


 紙一重で俺が攻撃を躱しているのでダメージにはなっていない。


「くっ...!」


 攻撃が当たらない事に苛立ちを覚えたのか攻撃魔法に切り替えてきた。


「【メガ・ウィンド】!」


 風属性の魔法を直接放ってくるが、流石に結美の物と比べると常識の範囲内な大きさだ。


 俺は余裕でそれも躱す。


「くっ...! 当たらない!」


 そう呟く彼女にアドバイスを送る。


「適当に剣を振ってるだけじゃ俺には当たらないぞ? もう少し魔法を考えて使え」


「はいっ!」


 俺の問いかけにしっかりとした声で返してくれると少し嬉しい。


 今度は攻撃の最中に魔法の詠唱を終えて、レイピアを振り抜きながら魔法を放ってきた。


 流石に避けづらいが、それも躱す。


「これもダメ...か」


「そろそろこっちも反撃させて貰おうか」


 俺は【デバフソード】に【笑い】の状態異常をセットする。


「行くぞ!」


「くるっ!」


 彼女の刺突を躱してからちょんと腕を切りつけると...。


「うひひ...!」


 と言う彼女の笑い声が聞こえてくるのだった。

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