第283話 VS愛川結美③

「行きなさい。私の影」


 そう言いながらスノウに影武者を仕掛けてきた。


「ぐっ!? 強い!」


 それもそのはずだ。


【支配者の影武者】は魔法使いである結美がもしも物理職だったらと言う仮想の姿なのだから、元が強い彼女が弱いわけがない。


 物理職に振り切っても強い者は強いのだ。


 彼女の強さ自身は全く変わらない。


 と言うことはスノウの力で彼女の影に勝つしかないのである。


 それを見ていた結美はこんな事を言い出した。


「カズ君? スノウちゃんが押されてるよ? 手伝ってあげないの?」


「んっ? あいつなら大丈夫だ」


「信頼しているのはわかるけど、今のままだと厳しいわよ? あの子の実力的に1人で私の影に勝てるとは思えないけれど...」


「大丈夫。倒さなくて良いんだよ。俺は結美と戦いたいんだからな」


 その言葉に彼女は過剰に反応した。


「カズ君が私と...戦いたい!?」


 明らかに体をもじもじさせ始める彼女。


「わ...私はいつでもカズ君と戦える...よ♡」


「...変な妄想はするなよ?」


 一応釘を刺していると、スノウが俺の横に飛ばされてきた。


「ガハッ! く...くそっ!」


 片手を地面に置きながらゆっくりと立ち上がる彼女だったが、かなり息が乱れている。


「大丈夫か!? スノウ!」


「ああ...、でも正直勝てそうにないな」


 彼女はゴクリと息を飲みながらそう呟くのだった。

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