第210話 因縁⑥
「【ウィークポイント】さっき俺が放った魔法があるだろ? あれの効果でお前はデバフにかかりやすくなってんだよ」
俺の言葉にいちいち過剰反応する伊藤。
「何っ!? そんな魔法を使うなんて卑怯だぞ!!! 正々堂々攻撃で戦え!」
「お前なぁ...、お前がどんなに無理な注文してるのか分かってるのか? 大体なぁ、前衛のいない魔法使い職に前線で戦う前衛職がここまで押されてるんだぜ? いい加減気がつけよ。
その言葉が奴のプライドを傷つけたのか喚き始める。
「ッ...!!! うわぁぁぁぁぁ!!!!!」
無理に剣を振り翳してくるが【速度弱体化】を重ねがけしてやったらめっちゃ鈍くなって笑える。
「おいおい、気合を入れてもその程度かよ、伊藤」
「くそっ!!! くそっ!!!!!! デバフなんて卑怯だぞ!!!!!」
「卑怯、卑怯...。お前はそれしか言えないのか?」
大体お前はデバフを打ち消す魔法あるだろ。
使わなすぎて忘れたのか?
まあ使わないなら使わないで好都合だけどな。
なんかこんなアホに付き合っているのはアホらしくなってきたのでそろそろ終わらせるか。
「伊藤。お前との決着は後でしっかりつけてやる。今はお前なんかよりもドラゴンを倒す方が先決だ」
「くそっ! 逃げるな!!! 高坂!!!」
「...別に逃げてないしお前の状況見てみろよ」
俺は奴の体を拘束の魔法でガチガチに固めた上で攻撃力も防御力も速度も1の状態で生殺しにしている。
俺がこのまま力を入れたらあいつは潰れて死んでしまうだろう。
「くそっ!!! 逃げるな! 高坂! まだ俺は負けてねぇ!!!」
なんて言いながら攻撃力1の体を懸命に動かす伊藤は見ていた滑稽だ。
このままジワジワと締め殺す手もあるが、それでは俺の溜飲が治らない。
こんな奴はただ殺すよりも屈辱と痛みと発狂を与えた上で時間をかけて嬲り殺すに限る。
そう思った俺は奴を拘束したまま放置してドラゴンもいるという場所に向かいながらステータス画面を開くのだった。
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