第204話【ゲートブレイク】③

 俺たちは早速別れて市民救助に向かう。


 戦闘能力の高い結美は1人でも戦えるのだが、今は市民を一人でも多く助けるのが得策だ。


 俺は使い魔達を使って逃げ遅れた人たちを助けていく。


 戦闘は他の【覚醒者】達がやってくれるだろうが、金にならない人民救助を率先してやる訳がないとの判断だ。


 実際町ゆく【覚醒者】達は魔物を狩ってくれてはいるが、それは所詮自分の利益の為としか言えないだろう。


 俺が数十人ほど助けた時だった。


 ビギィ...ンと鈍い音が鳴ったかと思ったら空が紅く染まり始めた。


「なんだ!?」


 驚く俺にインカム越しに蜜香から連絡が入る。


『高坂さん! こちら西区柊木公園前、ドラゴンを確認しました!』


「なっ!? ドラゴンだと!? 分かった! そっちにむか...」


 そう言いかけた時だった。


『カズ君! 【商業高校】側にもドラゴンがいるよ!?』


「あっちにもいるのか?」


 続いて真菜の方からも連絡がきた。


『兄ちゃん! お日様幼稚園前にドラゴンが!』


 そう聞いた時に思わず俺の足も止まる。


「...どうなってるんだ?」


 こんな短期間の内にドラゴンが3匹も出る物なのか!? と驚いていると...。


 後ろから俺に近づく者がいる事に気がついた。


「誰だ!?」


 と俺が声を荒げると、そこにいたのは様子の変わった伊藤なのだった。

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