第174話 ピクニック気分

 俺達は適当にキャンプを張ってちょっとした遠出気分を味わう。


 何故か結美のアイテム欄にキャンプ道具一式があったのは偶然ではないのだろう。


 彼女はアイテム欄の中に必要そうなものを全部入れているらしく、流石に食事類こそ乾パンなどの日持ちする物しかないものの水はたっぷりと用意してあった。


 まあ、全員で分けても1日くらい余裕だろう。


 そのくらいの予備が彼女のアイテム欄にはあったのだ。


「カズ君は望むなら私の替えの下着も見て良いよ♡ なんなら今直に履いてるのをあげても...きゃっ♡」


 なんか言っているが無視しよう。


 俺がふと見上げるとミルティとスノウが丘の上ではしゃいでいるのが見えた。


「雪が溶けるとこうなるのか!」


「ははっ! 私に追いつけるかな?」


 ミルティとスノウはかけっこをしているみたいだったが、流石に進化しているミルティに追いつくのは難しいだろう。


 そう思いながら眺めていると真菜が草食動物を狩って来てくれた。


 いつのまにかかなり逞しくなっていた妹が難なく動物を狩ってこられるようになったのは少し誇らしい。


「真菜ありがとう。そこに置いておいてくれ。ケロナに調理を任せるからさ」


「うん! 分かったよお兄ちゃん」


 マイペースに狩りを楽しむまでに成長した妹の頭を撫でる。


「カズ君! 私も頭撫でてよ〜!」


「ああ、はいはい結美もありがとうな」


 ついで感覚で結美の頭を撫でてよやると嬉しそうにする。


 ...結美って高校生だよな? 頭を撫でられて喜ぶ歳でもないと思うがツッコミを入れるのはよしておこう。


 そんな中「私だけ仲間はずれにしないでくださいよ!」と蜜香が怒りながら俺達の輪に入ってくるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る