第104話 進化③

 木刀にすら遠慮なく炎をエンチャントするミルティ。


「うぉぉぉ!!!」


 大きな声を張り上げながら【血染めのグレイン】に斬りかかる!!!


 2刀の剣の勢いがグレインの体勢を崩した。


「何っ!? やはり先ほどまでとは段違いだな! 何をした!?」


「教えてやろうか? 今この戦いで進化したんだよミルティは。進化できたのはお前のおかげでもあるからそこは感謝しないとな【血染めのグレイン】」


 使役する魔物が進化するにはそれぞれ条件がある。


 ミルティの場合はただただ越えるべき強い敵が立ち並ぶだけでよかったので非常に楽だが、ちょっと面倒そうな進化条件の奴もいるからそこは一長一短だろう。


 しかし、進化しただけで相当な戦力アップだと思える。


 基本的なステータス向上は勿論の事、新たなスキルや魔法の取得も見込める進化はこれからも組み込んでいくべき事だろう。


 ガンガンに押し込んでいるミルティの攻撃に奴は防戦一方だ。


「ぐっ...! やるな小娘よ」


「誰が小娘だって? その口閉ざしてやる! 【バースト】!」


 彼女がバーストと唱えると、真っ赤な炎で全身が紅く染まり、一種のパワーアップ状態となった。


「一気に決めてやる! 【火炎玉】!」


 まずは遠距離攻撃の【火炎玉】を逃げ道を封じるように配置し、そのまま一直線に突っ込んだ!


「【炎剣】!!」


 剣と木刀に炎の力を宿し、破壊力を底上げする!


 2刀の構えからなる一撃を受け止めた奴は後ずさった。


「ぐぅ...!」


「安心したか? 【炎柱】!」


 相手が油断した瞬間を狙い、奴の足元から極太の炎柱を出現させ止めを刺すのだった。

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