第66話 リムジン

 〜リムジンの中〜


「う...う〜ん...」


 ミルティはいまだに気絶している。


 俺たちは今結美の豪華な車でゲートへと移動していた。


 今から向かうのはまだ宝物が沢山残っている人気のゲートで、順番待ちだったがついに俺たちの番が来たと言うわけだ。


「カズ君、何か飲みたい?」


「じゃあ水で」


「分かった。飲料水用意するね」


 そう言いながらペットボトルを渡してくる彼女。


「真菜ちゃんは?」


「私も水で大丈夫です」


「分かったわ」


 ニコニコしながら真菜にも水を渡してくれる。


「ありがとうな」


「ううん。カズ君の頼みだもん。車くらいいくらでも出すよ」


 先ほどまで鬼のような形相でミルティにお仕置きをしていた人物とは思えない女神にような微笑みである。


 100人がみたらその9割は美人だと答えるような顔を持つ彼女をあそこまで怒らせるのは稀だろう。


 と言うかなぜ結美が俺にここまで依存しているのか正直言うと俺自身分かっていない。


 どう考えても月とすっぽんだ。


 方やただの一般学生。


 方や有名グループのお嬢様。


 価値が全くあっていない。


 なのに彼女は幼い時から俺の事をまるで特別な人のように扱っている。


 これは一体なんなんだろうな? 気になった俺は一応聞いてみる事にした。


「なあ、結美」


「なに? カズ君」


「なんでお前は昔っから俺にここまでしてくれるんだ?」

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