第40話 家

「うっ...!」


 俺は全身に痛みが感じるのを覚えながら目覚める。


「...あれは誰だ?」


 俺はさっきまでボードゲーム部の夢を見ていた。


 途中までは自分も知っている思い出だったのだが、途中でだれか知らない奴にサイコロを渡したのだ。


 俺たちボードゲーム部は全員で5人のはず。


 存在しない6人目などいるわけがない。


 見慣れた天井を眺めながら、俺が起き上がるとそこは自分の部屋だった。


 特に面白味もない男子高校生の部屋。


 ボードゲーム関連の物が多く、少しだけカードゲームのカードやゲーム機などが置いてあるだけの部屋。


「いってぇ...。伊藤の奴、結構本気でやりやがって...」


 最後の光魔法も途中の斬撃もかなり痛かった。


 俺が覚醒者でなければ恐らく死んでいただろう。


 いくら弱職であるとはいえ、やはり職業に就いているのは大きいのだと思う。


 痛む体を起こしながら俺は自室から出ていくと...。


「あっ! 兄ちゃん! 目が覚めたんだ!


「よう、真菜」


 俺の妹である高坂真菜が声をかけてくる。


「お母さん! 兄ちゃんが目を覚ましたよ!」


 と大きな声を出して母さんの所へと向かう。


「ああ、和希。目を覚ましたのね」


 そう言いながら母さんは俺を抱きしめた。


「ちょっ! 母さん!」


「よかった...。倒れている所を見つけてくれた人に感謝するのよ」


「...うん」


 母さんから話を聞くと、俺の生徒手帳から住所を探して運んでくれたらしいのだ。


 なので後でその人には礼を言いに行こう。


「そうそう、何日も姿を見せないから本当に心配したんだからね! 貴方は私の息子だからある程度の事は問題ないとは思ってるけど、ちゃんと電話には出なさい!」


 などと母さんに怒られてしまったが、俺がゲート内にいて電話が使えなかった事を伝えるのだった。

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