第33話 ゲートクリア

 俺達がゲートから現実世界に戻ると...。


『ゲートのクリアを確認しました。このゲートは消滅します』


 とメニュー画面に映し出され、そのままゲートが消失してしまった。


 何を持ってゲートクリアとするのか知らないが、とりあえずゲートをクリアしたらしい。


 消滅した後には何も残ってはいない。


「レイナちゃんとまた会えるかな?」


 と呟く結美が側にいたが、俺はあえて何も言わなかった。


 確実性のない事を言いたくないからだ。


 ガラっと教室のドアを開くとそこには...!


「おんやぁ? クソ雑魚職業の高坂君じゃないですか〜!」


 と俺の事を置いて行った主犯である伊藤が現れた。


「伊藤!!!」


 俺はすぐさま身構えるが、彼はチッチッチッと指を振る。


「今更君と事を構えたって一文の特にもなりやしないよ。そんな事より早くそこをどきたまえ。そこのゲートに愛川グループの御息女である愛川結美さんがまだ取り残されているかもしれないと依頼を受けてね。報酬金のために助けてやろうと思っているのさ」


 などと言ってくる伊藤の前に愛川が前に出る。


「ああ、それはありがとうございました。私が愛川結美です。もうカズ君に助けられていたのであなたの活躍の場はありませんでしたね」


 ニッコリとした笑顔でそう呟く結美だったが、内心怒っているようにも思えた。


「あなたが愛川結美さんですか?」


「はい、私が愛川結美です。クラスメイトが全員死んでしまい、私がもう少しでやられそうになっていたところをカズ君が助けてくれたのです。と言う訳であなたの出番はありませんし何もしてないからには報酬金もキャンセルですね」


 笑いながらも冷たくそう言い放つ彼女。


「そう言う事だ伊藤。分かったらさっさと帰れ!」


 俺の言葉に彼はこう言い返してくるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る