第24話 愛川結美

「結美!!」


 俺は静かに眠りにつく愛川結美に声をかけるが返事がない。


「愛川さん!!!」


 蜜香も急いで彼女に近づきその体の傷を見る。


 それなりのダメージを受けていたようで、体には包帯が巻かれていたが、命に別状はなさそうだった。


 彼女の寝息はちゃんと聞こえてくるし、流血もきちんと止まっているようだ。


 ホッと一息吐いた俺たちの後ろにエルフの少女とその父親が立ち並ぶ。


「愛川様にはあれから毎日薬草風呂にて療養をして貰っています。着実に良くなっていますのでご安心を」


「それを聞いて安心...」


 そこまで言いかけて俺は静かに聞き返した。


「毎日...? 愛川達が来てから何日経っているんだ?」


 その質問に父親エルフは答える。


「えっと...4日ほどですかね」


(4日!? どうなってんだ!?)


 そう、どう考えても異世界へのゲートが開いてから4日過ぎてると言うのは言い過ぎなのだ。


 せいぜい1日〜2日程経過しているかも怪しいと言うのに4日とこの人は言っているのだ。


 そこから考えられる事は一つ。


(ゲートによってダンジョン内の経過時間と現実世界の時間の流れが違うのか?)


 俺は一応あの異世界に繋がる回転球の事をゲートと呼ぶ事にした。


 いつまでも回転球じゃちょっと言いづらいしな。


 ゲートに関しての情報ももう少し必要だが、今は愛川の回復を待つのだった。

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