俺と魔竜

セシル

俺も異世界行きてぇ~!



「ありがとうユウキ! あなたのおかげで、この世界は救われたわ!」




ベッドに寝転がりながら見ていたアニメ【転生したら最弱でした!】がついに終わってしまい、俺は溜息をつく。

スマホの小さな画面の中では、イケメン主人公が個性豊かな仲間たちに囲まれて微笑んでいる。


「あ〜俺も異世界行きてぇ~!」

「チート能力で無双してぇ~!」

「仲間に必要とされてぇよ~!」


全話見終えた達成感と同時に主人公への羨ましさが込み上げてきて、俺はベッドの上でジタバタと暴れた。

俺は小学生の頃から、現実とは違う異世界に憧れている。中学生でファンタジーゲームにハマり、かなりやりこんだ。

高校生になってからは戦略ゲームをプレイしてみたり、歴史書を読み漁ったりしていた。

ちょうどその頃、友人から薦められて読んだのが異世界転生ものの小説。それこそが、俺が求めていたものだった。

日本人だった主人公が異世界に転生し、前世の知識と経験を活かして異世界で生き抜いていく、というストーリー。小説を読んでいるだけで、最高にワクワクした。


「俺も異世界に行きたい。それで、アニメで見てきたことを活かしてみたい。戦略ゲームで培った戦術、歴史書で学んだ外交力や交渉術を使って、世界の命運をかけた戦いがしたい」


もちろんどれも実際に試したことはないけれど、だてにゲームや歴史書を読み漁っていたわけではない。戦術や交渉の知識なら、かなりある方だ。

異世界に行って、俺も活躍したい!


俺は天井を見上げ、独り言を呟く。

そうしたら、急にどこかからブチン!と音が鳴り、突然部屋が真っ暗になった。


おいおい、停電か? まあ、どうせすぐに復旧するだろう。そう思い、俺はしばらくの間じっとしていた。


しかし、やがて俺の視界は歪み始め、意識が薄れていく。

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