第6話:ポーターは不遇すぎた
おはようございます。宿屋の天井・・・
よし、朝ご飯を食べてギルドに行こう!
適当に露店で買ったパンを食べつつ、ギルドへ。
「いらっしゃいませ、冒険者ギルドへようこそ!」
さてと、まずは依頼書かな?
朝早い時間帯だからいっぱい貼ってあるんじゃないかな?
うーん、相変わらず討伐依頼が多いね。
やっぱり荷物持ちの依頼とか無いんだよ。
もちろん、パーティーメンバーの募集もないね。
仕方がない、受付で相談してみよう。
「あら?昨日のお嬢ちゃんじゃない、まだ査定は終わってないの。ごめんね?」
それはひとまず置いといて、荷物持ちの依頼とか無いかな?
「そう言えばものすごい収納量だったわね・・・」
この私の長所を最大限に生かせるのはポーターだと思うんだよ!
「まあ、職業表示もポーターだったしね、でもね依頼はないのよ」
なんで?
「というよりも、今までそんな依頼を頼む人が居なかったのよ」
なるほど。
「より正確に言うと、そういう職業の存在を知らないって感じかしら?」
そうだよね、荷物をたくさん持ち運べる人が居るなんて思わないんだよ。
知らなければ依頼の出しようもないし、パーティーのメンバーも募集出来ないんだよ。
そうか・・・ポーターなんてやってる人は居ないんだよ・・・
がっかりした気分でギルドを後にして街の中を散歩。
とぼとぼとぼとぼ・・・
まさかの、ポーターという職業が認知されていなかったんだよ。
それを踏まえて何か出来る仕事をあらためて探さないと。
ギルドには私に出来そうな依頼はなかったからね。
うーん、どこかの商会に言えばいくらでもお仕事はありそうだけど、犯罪に利用される予感なんだよ。密輸とか。
なんせ、私が自分自身の身を守れないからね。悪いヤツに利用されまくりの予感なんだよ・・・
護衛を雇う?
しかし、護衛に騙される可能性が高いんだよ。
そこまでは想定の範囲内なんだよ。
それで騙したり裏切ったりしない護衛が必要なんだけど、そんな都合のいい人材は・・・
使い魔?奴隷?
うーん、使い魔は裏切りはしなくても言うことは聞かないことも多かった気が・・・
ドラゴンの人たちも悪魔の人たちも割と自由だったんだよ・・・
やりたい放題な感じだったんだよ。
だとすると奴隷?奴隷ってのは今までいなかったね・・・
自称奴隷の人とかはたまにいたけど・・・
そもそも、奴隷って売ってるの?どこで手に入るの?
オークションで出品されてるのは見かけたね。
でも、オークションは一般の人は参加できないんだよ?
盗賊の人とかをギルドに突き出すと犯罪奴隷になるんだよ?
そうすると犯罪奴隷とか?そもそも悪人なんだよ!?
でも、実際に奴隷になった後の人を見たことが無いような?
鉱山とかで強制労働なんだよね?
それか、借金奴隷?私も昨日は危うかったんだよ・・・
そういった意味では借金奴隷の人は別に悪人ではない?
でも、借金を返せなかった人なんだよね?
だいたい、奴隷ってどうなんだよ?
言うこと聞いてくれるの?裏切ったりしないの?だまされたりしないの?
奴隷商人?一度どんな所か見てみたい気もするけど、私がそのまま売り飛ばされる未来しか見えないんだよ・・・
何かいい解決方法はないかな?
「なーに、奴隷を買うの?」
ニニアさん!?
「あはは、そんなにびっくりしないでよ」
それにしても、なんで奴隷の話を?
「考え事が全部口から駄々洩れだったよ?」
え?
秘密の考え事が全部漏れてただなんて・・・
「奴隷は『隷属の首輪』を着けてるから絶対服従だよ?」
そうなの!?
「それにしても、そんなに色々裏切られてたの?」
そういうわけじゃないけど、私ってこんなに小さいから騙そうとする人は多いんじゃないかな?
それに、私はレベルが上がらないんだよ。呪いのせいで。
だからレベル1だけど、もう最高レベルなんだよ・・・
そんな私をパーティーメンバーに入れてくれる人は居ないと思うんだよ。
最初の頃はよくても、他の人はレベルが上がるからね。
どんどん強くなっていって、私はあっという間に足手まといになるんだよ。
「そういう事なのね・・・」
たぶん、ニニアさんも高ランクの冒険者なんでしょ?
私の面倒を見てくれようとしてるのかもしれないけど、私は一生レベル1なんだよ。
これ以上強くなるのは大変なんだよ。スキルを増やすくらいしかないから。
魔法を覚えることは出来るかもしれないけど、MPが10しかないから使えないんだよ。
「初級魔法もMPを15くらいは消費するからね・・・」
精霊の力が満ち溢れている場所なら、魔法の真似事は出来るんだけどね?
強力な装備品を手に入れればどうにかなるかもしれないけど、そんなものを手に入れるのはほぼ不可能なんだよ。
だから、現状ではほぼ唯一ともいえる収納スキルで商売出来ないかと思ったんだけど、需要が無いみたいだしね・・・
それに、仮に商売に出来たとしても、騙されたり犯罪に巻き込まれたりしないように自分の身を守る方法が欲しかったんだよ。
「それで裏切らない奴隷だったのね・・・」
そんな感じかな?
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