第41話:白、姫様を登録

「魔王が現れるのはいつでしょうか?」

それはわからないんだよ。

でも、私は魔王を追ってこの世界にやってきたんだよ!

「魔王が活動する前に討伐することは可能でしょうか?」

見つけることが出来れば可能かもしれないけど、期待は出来ないんだよ。

「せめて魔王に見た目だけでもわかりませんか?」

おそらく姿を変えていると思うんだよ。


「それでは、現時点では勇者様も力を蓄えるしかないと?」

魔王がどこに居るかもわからないからね。

そもそもこの大陸に居るかも不明なんだよ。

「ふむ、今のところは魔王についての情報は入って来ませんな・・・」

だから、おそらくは他の大陸なんだよ。

ここ以外の大陸にはどうやって行くの?

「船で行くしかないですが、定期航路とかはありません」

なるほど。やっぱりチチカカに頑張ってもらうしかないんだよ・・・

「するとみんなを乗せる籠なりが早急に必要になりますね」

最優先の案件なんだよ。


「ところで、籠というのは?」

私たちが古龍のチチカカに乗るために必要なんだよ。

「馬車の客車のようなものでしょうか?」

そんな感じなんだけど、それだと重いからね。対策を考えてるんだよ。

軽くて丈夫な素材でチチカカが持ちやすいような?

「うーむ、難しそうですな・・・」

とりあえず、有能な錬金術師を紹介して欲しいんだよ。

「錬金術師ですか?手配いたします!」


チチカカのレベルを上げて重いのを持てるようになってもらうとか、

そうだ、転移のゲートとかってないよね?

「空間転移ですか?伝説の魔法といった感じですな・・・」

もっとも、移動先の座標もわからないしね・・・

今のところはチチカカだけが頼りなんだよ。

でも、今後人数が増えるとチチカカだけじゃ全員を運べなくなる時が来るよね?

「そうですね。10人くらいまでならがんばれるかもですけど・・・」

おそらく魔王との戦いは結構な人数になることが予想されるんだよ。


「魔王の手下となると魔物が多いのでしょうか?」

騙されてる人間も居ると思うんだよ。

「なるほど、対人戦も大いにあり得るのですね?」

普通の人間が相手なら、それほどの脅威ではないんだよ。

むしろ、人よりも魔物が危険なんだよ。

チチカカよりも上位のドラゴンとかが出てくると手に負えないんだよ・・・

ちなみに、チチカカってドラゴンの中ではどれくらいの強さなの?

「正直に言いますと、それほどではありません・・・」


今聞いたとおり、このチチカカですらその程度なんだよ。

「あの強さでですか・・・とても信じられませんね・・・」

世の中上には上が居るんだよ。

ドラゴンの人だけじゃなくて、悪魔の人とか邪神の人なんかも強敵なんだよ。

「相手側にはそう言う存在も居ると仮定した戦力が必要という事ですね?」

もちろんなんだよ!


こちらには古龍と大天使が居るとは言え、まだまだ安心なんか出来ないんだよ。

当然、相手も強力な存在を仲間に入れているはずだしね。

とにかく、この世界におけるリズのような存在を手に入れないと。

シャーリーは見つけたけど、まだ強くないし・・・

みんなのレベル上げやスキルアップもしないと。

やっぱりダンジョンかな?

何にしても移動手段を早めにどうにかしないとなんだよ!


「決めました!私も勇者様のお手伝いをいたします!」

突然お姫様が決意を固めたんだよ!?

「もちろん、今すぐに何かのお役に立てるとは思えませんが・・・」

そんなことはないと思うんだよ?

お姫様は・・・

「タルトとお呼び下さい」

タルトさんは・・・

「呼び捨てでお願いします!」

タルトは魔法使いの知り合いはいない?

宮廷魔導師とか、賢者とか聖女とか・・・

「魔法ですか?」

魔法を教えて欲しいんだよ。


「それではそれは手配します。が、まずは冒険者ギルドへ行きましょう!」

タルトの登録だね?


「いらっしゃいませ、冒険者ギルドへようこそ!」


そんなわけで新規登録をお願いなんだよ。

「姫様ですよね?」

タルトは無言で石板に手を乗せる。


名前:タルト・ヴィア・トヨノカ

年齢:12

性別:女

種族:人間

職業:姫

ランク:G

レベル:1

HP:20

MP:25

ちから:5

すばやさ:15

かしこさ:30

きようさ:20

経験値:0

次のレベルまで: 2


状態

心酔(勇者)

溺愛(勇者)

尊敬(勇者)

信仰(勇者)

魅了(勇者)


スキル


レアスキル

花嫁修業:0


ユニークスキル


その他


この勇者って、誰のことなんだよ?

「もちろん、リーゼロッテ様のことですわ!」

やっぱり?

なんだか、とんでもないことになってるんだよ!?

「続いて、『白ウサ王国』に加入もお願いします」

受付のお姉さんもすでに無言で手続きをしてるんだよ・・・

「それにしてもあまりよろしくない状態ね・・・」

グレイスもそう思う?

「ええ、リーゼちゃんには既に私が居ますもの!」

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