第40話:黒、数の暴力
「指揮官さん、25階層までの封鎖完了しました」
副官であるアイリスの報告によると、現時点で25階層までは階段同士をつなぐ1本道になったようだ。
100階層まであるとも言われているラプラスの大迷宮。
まともに攻略するとなるとどれほどの時間がかかることやら・・・
だから私は迷宮を壊すことにした。
迷宮を迷宮たらしめるものはなんだ?もちろん迷路だ。
1本道であれば迷路ではないタダの通路だ。
そしてただの通路がいくら集まろうとそれは迷宮ではない。
そう、すべての分岐路を正解を除いて塞いだ。
これも大人数による数の暴力のなせる業。
もちろん、遭遇した魔物はすべて殲滅するし、宝箱も回収する。
その結果残るのは補給路となった通路。
兵站を確保する。これは基本にして重要なこと。
そしてここは25階層に設置した中継基地。
簡易宿泊施設と浴場、それに食堂が存在する。ダンジョンの中にだ。
「マカロンちゃん大隊第1中隊設営完了しました!」
今回帯同しているのは私の指揮大隊とマカロンちゃん大隊。
およそ200人だ。
すでに冒険者とは言えない。
では、マカロンちゃん大隊はそのまま待機。グラニテちゃん大隊と交代!
クレープちゃん大隊が到着次第マカロンちゃん大隊は後退して物資の補給。
指揮大隊が常に最前線で3つの大隊が交代で前線・待機・補給のローテーション。
それほど消耗はしていないと思うが、損耗してからでは遅い。
何しろここまで休みはほとんどなかった。
ここは女神の試練場じゃない。死ねばそこで終わりだ。
だから万全を期して進む。人的資源の損失は避けなくてはならない。
「そんなわけで休憩だ。食事、入浴、睡眠どれも忘れるな!」
シャノンが自分の中隊メンバーに指示を出す。
補給物資を持ったクレープちゃん大隊が到着するまでの間は自由時間だ。
私ものんびりと風呂に浸かる。
「それにしても我が神はとんでもないことを考える」
シャノン、戦いって言うのは最終的に勝てばいいのよ?
「ここまでは順調です。ギルドの記録にあるのは31階層。それ以降は未知の領域です」
キャンディ、そこからが本当のスタートってことよ。
それに、普通は未知のところを探索するから冒険なんだよ?
「リーゼ様についていけば間違いはないからね!」
ニニアはもう少し緊張感を持ってほしいんだよ・・・
それにしても31階層目に何があったのかしらね?
「探索をあきらめる何かがあったってことだよね?」
罠なのか魔物なのか・・・
まあ、何があろうと進むんだけどね?
黒猫メイド騎士団の本気を見せてあげるんだよ!
◇ ◇ ◇ ◇
おはようございます。ダンジョンの中です。
今日は26階層の攻略から開始。
「まずは斥候だ。グラニテちゃん大隊、第3中隊行動開始!」
私が何も言わなくても部下が勝手に作業を進めてくれる。
ダンジョンはそれほど広くはない。
全員での行軍は出来ない。そもそも1個大隊で96人も居るんだ。
しかもそれが2個大隊での行動なんてできるわけがない。
1中隊だって24人居る。
一般的な冒険者の4パーティー分の人数だ。
この中から斥候に適した人員を抽出してマップの作成を行う。
1個小隊6名で敵の調査や罠の解除なんかも同時に行う。
ただし、戦闘行為は行わない。
それは随行する護衛の小隊が行う。こちらは戦闘に特化した小隊。
物理攻撃魔法攻撃どちらの人員もそろっている。
よほどのことが無い限りてこずることはない。そう言う人員に育てた。
このダンジョンはいわゆる王道タイプと言われる20マスX20マスの地下通路型だ。
古のダンジョンマスターであるロバートやアンドリューが作った試練場と同じ形式。
ただし、試練場は10階層までだったけど、このラプラスの大迷宮は何階層あるか不明。
一説には100階層まであるんじゃないかと言われているけど、誰もそこまで到達していない。
だから、当面の目標は100階層の到達。
もちろん、その手前で最深階層に到達するならそれで構わない。
ここにはダンジョンコアを手に入れに来た。
ダンジョンコアが手に入れば一層の強化が可能になる。
向こうの陣営がどこまで力を蓄えているかわからないし、いつ行動を起こすかもわからない。
だから、こっちもそれまでの間に出来る限りの力を手に入れる。
そんなことを考えていると斥候が戻ってきた。
「報告、モンスターハウスを確認。オーク!上位種多数確認!!」
なるほど、ここにきてようやくか・・・
「敵はオークだが未確認の上位種多数。決して侮れる相手ではない!」
早速グラニテちゃんが編成を変えているね。
「数が多い、まずは範囲攻撃が出来るものを選抜し数を減らす!」
中隊長を中心に1個小隊を選抜する。
こちらも同様に編成を変える。こっちは単体での火力重視。
硬いヤツ、大きいヤツを確実に減らすためだ。
さて、久しぶりの集団戦なんだよ!
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