第14話

 二人は郊外まで出掛け、傷を治す力のあるキュアリフという薬草を集めた。

 薬草集めは仕事がない者や子供がお小遣い稼ぎでやることなので馬鹿にする冒険者もいたが、めげずに袋に詰めていく。

 途中キュアリフが好物なモンスター、『ツノウサギ』に襲われることもあった。

 だがなんとか逃げ延び、夕方には袋をいっぱいにし、それを街の商店へと持っていく。

「なんだかボロボロだな?」

 商人のおじさんはクレイを見て面白がる。

「うう……。ツノウサギに追いかけられまして……。なぜか僕だけ角で突かれました……。まだお尻がヒリヒリします……」

 クレイは恥ずかしそうにお尻をおさえた。

「なんだ。ウサギ避けの香り袋を持ってなかったのか。あれがあれば楽なのに」

 クレイもそのことは知っていたが買うためのお金がなかった。

「五キロンか。じゃあこれくらいだな」

 商人は袋の中身を秤にかけると四千ゴルをクレイに渡した。

 格安宿に泊まれば食費も合わせてなんとか一日暮らせる額だ。

「まあ、昼から働いたにしては上出来かな……」

 満足はしてないがクレイは自分を納得させた。

 すると商人がクレイの後ろにいたアリアを見た。

「坊主。良い奴隷連れてるなあ。どうだ? その子を一晩貸してくれたらもう一万ゴル払うぜ」

「だ、ダメですよ! そんなの!」

「そうかい? カネがないなら悪い話じゃないと思うけどな」

「それでもダメです! ほらアリア。行こう」

 クレイはカネをポケットに入れるとアリアの手を掴み、逃げるように連れ去った。

「あ、あの、クレイ様。お金が必要ならわたしを使ってもらっても大丈夫ですよ?」

「ダメだって。それだけはしたくない。大丈夫。僕がなんとかするから」

 クレイはそう言うが全くあてはなかった。

 そんなクレイにアリアは喜んだ。

「ありがとうございます」

「うん。とりあえず今日は泊まれるところを探そう。アリアも疲れたでしょ?」

「いえ。まだまだ大丈夫です」

 亜人は人間に比べて体力があるのは常識だった。

 クレイが普通の人間より体力がないのもあるが。

(もっと強くならないと)

 クレイはそう決心して今日の宿を探した。


「それじゃあごゆっくり」

 見つかった宿は一泊二千ゴルの格安宿だった。

 部屋にあるのはベッドと小さなテーブルと風呂場だけ。

 男達が買った亜人の娼婦を連れ込むのを目的とした通称連れ込み宿だ。

 今日稼いだカネではここに泊まるのが精一杯とは言え、初めて泊まる歓楽街の連れ込み宿にクレイは緊張しながらチェックインしていた。

 ここに来るまでの路上では客目当ての娼婦とそれを買う客で溢れ、怪しい雰囲気が流れていた。

 特に娼婦達の格好はほとんど裸同然のため、クレイには刺激が強すぎる。

 入れ墨やピアスをした亜人の女の子達に誘われ、断るのが大変だった。

 薬草集めで疲れていたクレイはさっそく風呂に入る。

 先に入るようアリアに勧めたが、主人より前には入れないと断られた。

 炎の魔鉱石によって温められたお湯は心地よく、椅子に座ったクレイは動いて汚れた体をシャワーで流していた。

(それにしてもアリアになにが起きているんだろう? 傷が治ったり、ビッグマウスを倒したり。聖刻印が効いてるのかな? だとしても元々紋章術はそんな大きな効果があるものじゃないはずなのに。もしかして僕もまだ分かってないことがあるとか?)

 クレイな思考は後ろのドアが開く音で中断された。

「失礼します」

 声に反応したクレイが振り向くとそこにはタオル一枚で胸を隠したアリアがいた。

 だが大きな胸は隠しきれず、半分は横から見えている。

「え? その、ちょっ!」

「お背中お流ししますね」

 慌てて前を向くクレイにアリアは色っぽく膝をついた。

 アリアは身に付けていたタオルで石鹸を泡立て、クレイの背を洗い始めた。

「あの、ちょっと、アリア?」

「さっきはありがとうございました。とても嬉しかったです」

「え? それって商人に君を売らなかったこと?」

「はい。奴隷の貸し借りなんてよくあることなのに断ってくれたじゃないですか」

「いや、だって、アリアが一時的にでも他の誰かのものになるのはイヤだったし……」

 クレイは恥ずかしがりながらむくれた。

「それに傷も治してくれました」

 微笑を浮かべるアリアは自らの胸をクレイの背中にむにゅりと密着させる。

「ア、アリア?」

「じっとしていてください」

 アリアは自らの胸をクレイの背中に滑らせた。

 手どころか腕にも収まらない豊かな胸を上下に動かすと柔らかな感触がクレイに伝わる。

(うう……。柔らかすぎる……)

 柔らかいだけではなく、アリアの胸の先は固くもなっていた。

「んっ……。あっ……」

 いやらしく形を変える自分の胸を動かしながらアリアの声が漏れる。

 股の内側から滴が滴り、それが床でお湯と混ざっていく。

 クレイは顔を真っ赤にしながら前屈みなってアリアが押しつける柔らかさを感じていた。

「あ、あの……、なにもこんなことまでしなくても……」

「わたしは奴隷なんだから普通ですよ。んっ……。奴隷になる前奴隷の先輩に色々と教えられるんですが、その中にこういうのもありました。どうですか? 気持ちいいですか?」

「それはその……」

 気持ちよくないわけがないが、クレイは答えられなかった。

 クレイが黙るとアリアはもっと積極的になる。

 後ろから抱きつき、大きな胸がより強く感じられた。

「後ろは洗い終わったんで、次は前の方失礼します」

「ま、前って? わっ!」

 アリアの手がクレイの胸に伸びた。

 泡でコーティングされた柔らかい手や腕、太ももまで使ってアリアはクレイの体を洗っていく。

 そして最後にアリアは固くなったクレイのそれに触れた。

「あ」

 さすがのアリアも顔を赤くする。

 教えられたままにやったがここから先は知らなかった。

 女の先輩には全て新しい主人に仕込んでもらうよう言われているからだ。

「こ、これは……」

 クレイは益々赤面した。

 そのかわいらしい顔にアリアも顔を熱くする。

「……こ、ここもきれいにしますね」

 アリアは手を上下に動かし出した。

 左手を下に伸ばすと柔らかい感触にぶつかり、それも優しく洗っていく。

(こ、こんなの気持ちよすぎるって!)

 クレイは体をくねらせながら感じたことのない快楽に全身を熱くしていた。

 想像とは全然違う気持ちよさに頭がおかしくなりそうだった。

 だが同時に興奮しすぎてもいた。

 許容量を超えた快感は童貞のクレイには耐えられるものでなく、絶頂を迎えると同時にのぼせきった体は意識のブレーカーをぷつりと切った。

「え? クレイ様? クレイ様?」

 精液を吹き出すと同時にガクリとうなだれるクレイを前にアリアはしばらく慌てていた。


 布団の上に体を拭いたクレイを乗せるとアリアはその寝顔を眺めていた。

「もう。遠慮なさらないでいいのに」

 そう呟くが、手を出そうとしないからこそクレイを信用でき、ああやって迫っていた。

 アリアは改めて自分の体を見つめる。

 あれだけあった傷がものの見事に消え去っていた。

 そのお礼も込めたのだが、クレイの精神が先にダウンしてしまった。

 静かになるとクレイの寝息だけが部屋の中に聞こえた。

 アリアはクレイの寝顔を見て少しずつ息を荒くする。

 アリアの手は自然に自分の下半身へと伸びていった。

 しばらくすると静かな部屋にくちゅくちゅという音が加わる。

「あっ……。クレイ様……。クレイ様…………。…………んんっ」

 アリアは息を荒くしながらクレイを見つめた。

 手の動きは段々激しくなっていく。

「あ……っ! んっ……っ!」

 声を出さないよう我慢してもつい音が口から漏れた。

 呼吸のペースは速くなり、そしてついに絶頂を迎える。

「~~~~~~~~~~っ!」

 アリアは声を出すのを我慢し、両足をピンと伸ばした。

 下着は漏らしたように濡れ、水滴が太ももをつたわってシーツに染みを作った。

 息を整えるとアリアは寝ているクレイにキスをしてから微笑み、幸せそうに眠りについた。

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