最終話
「それでも言わせてほしいのだ」
陛下がなおも言い募ろうとすると、シュラウドは謝罪の代わりを求める事にしました。
これ以上、王が醜態をさらす姿を貴族達に見せる訳にはいかないと判断したのです。
「でしたら殿下、ひとつだけ私の望みを聞いてください」
シュラウドはそう言って彼女の元に移動しました。
事の行方を見守っていた人々は息を飲みました。
シュラウドの事を見守ってきた記録係でなくてもこれから起こる事を誰もが理解していました。
曇りのない瞳が彼女を写します。
彼女もまた、シュラウドの瞳に映る自分を不思議な気持ちで見つめかえします。
シュラウドのブルーアイは、この国のどんな空よりも青く澄み渡っていました。
「私の妻は生涯ただ一人、ヘスティア嬢だけであると、今ここで認めていただきたい」
「私の最後の王命にかけて、必ず守ろう」
シュラウドの言葉に陛下は力強く頷きました。
それは今まで望まれてきたどんな願いよりも陛下の心を掴んだ美しい願い事でした。
彼は見ていました。
シュラウドの初恋が叶う奇跡が起こる瞬間を。
喜びに胸がいっぱいとなり、ただ見ていることしか出来なかったのです。
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